米国での暗号資産に関する証券集団訴訟は、2025年前半だけで2024年の年間申立数にほぼ匹敵しており、規制の変化やAI関連の苦情増加にもかかわらず、投資家の法的対応が持続していることを示しています。
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暗号関連の集団訴訟が急増しており、2025年初頭の6件の申立数は昨年の7件に迫っています。
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投資家の訴訟は、暗号発行者やマイナー、関連企業を対象としており、全体の証券訴訟件数は横ばいの状況です。
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法律専門家は、「AIウォッシング」(AI誇張表示)が、暗号訴訟とともに増加するAI関連証券苦情の主因であると指摘しています。
2025年に暗号資産の証券集団訴訟が急増し、2024年の総数に迫っています。投資家の法的対応に関する主要な動向と専門家の洞察を解説します。
投資家増加で2025年の暗号証券集団訴訟が2024年の総数に迫る
2025年、米国で投資家によって提起された暗号資産関連の証券集団訴訟は、前半だけで6件を記録し、昨年の7件に近づいています。これは2024年からの大幅な増加を示しており、暗号セクターにおける投資家の監視強化と法的責任追及の高まりを示唆しています。暗号証券訴訟は、全体の証券集団訴訟件数が安定している中でも活発に推移しています。
暗号関連訴訟の内訳と業界への影響
2025年に申請された6件の暗号関連訴訟のうち半数は暗号発行者を対象とし、残りは暗号マイナーやマイニング機器の販売業者、暗号ベンチャーと提携する企業など暗号エコシステムに隣接する企業を含んでいます。特に法律事務所Burwick Lawはこれらの半数の訴訟を提起しており、Pump.funやLIBRAメムコインに対する著名な訴訟も含まれます。この動きは、多様な暗号関連企業に対し投資家が法的責任を追及し続けていることを示しています。

企業買収を通じて上場を目指す特別買収目的会社(SPAC)に関する苦情も増加傾向にあります。出典:Cornerstone Research
「AIウォッシング」は証券訴訟トレンドにどのように影響しているか?
AI関連の証券集団訴訟の増加は、「AIウォッシング」と呼ばれる現象と密接に関連しています。これは企業が実際以上にAI能力を誇張し、投資家を誤解させる行為です。スタンフォード大学の法学教授で元SECコミッショナーのジョセフ・グルンドフェストは、この誤認が真実の露呈後に投資家が損失を被ることで法的請求につながると説明しています。2025年前半ではAI関連で12件の申立があり、2024年通年の15件にほぼ迫っています。
AIと暗号訴訟の動向に関する専門家の見解
Burwick Law創設者のマックス・バーウィックは、暗号分野の民事訴訟が、技術革新に規制対応が追いつかない中で重要な説明責任の役割を果たしていると強調しています。この見解は、AIやブロックチェーンの進化に伴う市場の健全性維持において、投資家による訴訟がいかに重要かを示しています。
よくある質問
暗号関連の集団訴訟増加の主な要因は?
主に、暗号発行者や関連企業に対する投資家の監視強化、市場のボラティリティ、そして変化する規制環境が背景にあります。Burwick Lawのような法律事務所が積極的に訴訟を起こし、責任追及を図っています。
なぜAI関連の証券訴訟が暗号訴訟と並行して増えているのか?
多くの企業がAIの活用を過剰に主張し、投資家を誤導しているためです。この「AIウォッシング」が、実際のAI能力が明らかになった際に損失を被った投資家からの訴訟を招いています。
主なポイント
- 暗号証券訴訟が増加中:2025年初頭の6件の申立は2024年の総数に迫り、投資家の行動が活発化しています。
- AI関連訴訟も拡大:「AIウォッシング」がAI証券苦情の急増の主要因です。
- 投資家の説明責任追及が重要:民事訴訟は変動する規制環境で重要な救済手段となっています。
まとめ
2025年に急増する暗号証券集団訴訟は、規制変化にかかわらず投資家の警戒心が根強いことを示しています。増加するAI関連訴訟とともに、証券訴訟の環境は変革期にあります。投資家や市場関係者は、法的動向を常に把握し、リスク管理と市場の健全性維持に努めるべきです。