オーストラリアのSMSF暗号資産保有残高は2025年6月に前年比約4%減の30.2億豪ドルとなったとオーストラリア税務署(ATO)が報告。しかし、業界幹部は申告時期や評価調整の影響で実際の保有額はこれより多い可能性があると指摘している。
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ATOが報告:2025年6月のSMSF暗号資産保有額は30.2億豪ドル
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2025年6月は2024年6月と比べ約4%減だが、評価調整後は2023年6月比で約41%増。
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ビットコイン価格は期間中に大幅に上昇し、取引所はリタイアメント層向けのSMSFサービスを準備中。
オーストラリアのSMSF暗号保有額:2025年6月で30.2億豪ドル、前年比4%減だが過小報告の可能性あり。リタイアメント向けの暗号資産導入に向けてファンドや取引所が動きを加速中。
オーストラリアのSMSF暗号資産保有とは何か?2025年の変化は?
SMSF暗号資産保有額とは、セルフマネージドスーパーファンド内で保有されるデジタル資産投資のこと。オーストラリア税務署によると、2025年6月30日時点のSMSF暗号資産保有は30.2億豪ドルで、2024年6月30日の31.2億豪ドルから評価調整後に減少した。
なぜATOの数値は実際のSMSF暗号保有を過小評価している可能性があるのか?
ATOの数値は毎年6月30日時点の確定申告データをもとに評価調整されている。業界関係者によると、2025年度の申告期限は2026年5月であり、申告遅延や報告タイミングのズレによって数値が実際より低く出る可能性がある。
CoinstashのSMSF戦略責任者サイモン・ホー氏は、「報告された数値は後からの調整や遅延申告を反映しておらず『未完成』の可能性が高い」と述べている。
主要比較データ(ATO):
報告日 | SMSF暗号資産保有額(豪ドル) | 前年比変化 |
---|---|---|
2023年6月 | 21.4億豪ドル | — |
2024年6月 | 31.2億豪ドル | 2023年比 +46% |
2025年6月 | 30.2億豪ドル | 2024年比 −3.2%;2023年比 +41% |

年齢層や市場動向はSMSFの暗号資産採用にどう影響しているか?
SMSFは高齢者が多く、メンバーの96.7%が35歳以上。最も多いのは75~84歳層の13.7%である。一方で、若年層の暗号資産保有率も高く、オーストラリアの取引所データによると25~34歳の53%が暗号を所有している。これらの世代が高齢化するにつれて、SMSFにおける暗号資産の比率は増加が予想される。

取引所と業界はSMSF需要にどう対応しているか?
主要取引所はリタイアメント口座向けのSMSFサービスやカストディ機能を整備中。デジタル資産管理を行う信託受託者やアドバイザー向けに商品やコンプライアンスツールを提供し始めている。
業界団体はオーストラリア政府に対し、制度の明確化と機関投資家向けデジタル資産規制の早期整備を要望しており、リタイアメント層の資産保護を訴えている。
世界のリタイアメントにおける暗号資産採用状況は?
国際的にはリタイアメントプランに暗号資産を組み入れる動きが広がっている。調査によれば、リタイアメント世代の一定割合がリターン期待から暗号資産に積極的であり、一部の国では政策面が整備されつつある。これがオーストラリアの政策や普及に影響を与える可能性もある。
よくある質問
2025年6月にオーストラリアのSMSFはどのくらいの暗号資産を保有していた?
ATOのデータによると、2025年6月30日時点でSMSFは30.2億豪ドル相当の暗号資産を保有。2024年6月30日の31.2億豪ドルから評価調整後に減少している。
若年層が歳をとるにつれてSMSFの暗号資産保有額は増えるのか?
はい。25~34歳の高い暗号資産保有率を踏まえると、これらの世代が将来リタイアメント資産の直接管理を始めるにつれてSMSF内の暗号保有は増加する見込み。
重要ポイントまとめ
- ATOのスナップショット:2025年6月のSMSF暗号資産保有額は30.2億豪ドル、評価調整後で前年同期比約4%減。
- 申告時期要注意:申告遅延や調整により実保有額は報告値より多い場合がある。
- 今後の成長期待:若年層の高い保有率と取引所の準備によりSMSFの暗号採用は増加傾向。
まとめ
オーストラリアのSMSF暗号保有は短期的には変動があるが、長期的には成長が明確。ATOの報告値は2025年でわずかな減少を示すものの、デモグラフィック傾向や取引所のサポート体制は暗号資産のリタイアメント導入を後押ししている。今後の規制動向と信託受託者のガイダンスを注視し、市場や政策の変化に備えることが重要だ。