via NADA NEWS · NADA NEWS編集部著
「それでも、なぜビットコインを持つのか」──株高・BTC低迷の時代に考えるポートフォリオの本質【エックスウィン】 | NADA NEWS(ナダ・ニュース)
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● 現在の市場では、株式が利益成長に支えられる一方、ビットコインは需要低下に直面しており、両者のパフォーマンス差が拡大している。
● しかし、ポートフォリオに必要なのは「今最も強い資産」だけではなく、「異なるリスクに備える資産」でもある。
● ビットコインを保有する理由は、供給上限という独自性を持ち、既存金融システムとは異なる性質を持つと同時に、大きな成長余地を残す新しい資産クラスだからである。
最近の市場を見ていると、多くの投資家が同じ疑問を抱いている。
「株がこれだけ強いのに、なぜビットコインを持つ必要があるのか?」
実際、その疑問には一定の合理性がある。現在の米国株市場はAI革命という巨大なテーマに支えられ、NVIDIAやMicrosoftを中心とした企業が利益成長を続けている。その利益が設備投資や自社株買いへと回り、株価を押し上げている以上、株式の方が魅力的に見えるのは自然なことである。
一方で、ビットコインには利益も配当も存在しない。さらに最近はETF流出やオンチェーン需要の低下が続いており、短期的な需給環境だけを見れば株式の方が優位に映る。しかし、それでも世界中の機関投資家や企業がビットコインを保有し続けているのはなぜだろうか。その答えは、単なる期待リターンではなく、「役割」と「成長余地」の違いにある。
まず認識しておきたいのは、株式市場が極めて優れた資産クラスであるという事実だ。S&P500は過去30年間にわたり、ITバブル崩壊、リーマンショック、コロナショックといった歴史的な危機を乗り越えながら、年率約10%前後という高いリターンを生み出してきた。さらに日本の投資家にとっては円安の恩恵も加わり、円ベースでは年率12%近いリターンとなった時期もある。
重要なのは、このリターンが単なる幸運ではないことである。S&P500は世界を代表する企業群の利益成長そのものを反映しており、長期的には技術革新と生産性向上が株価を押し上げてきた。過去30年の実質リターンも年率6〜7%程度と推定されており、多くの資産クラスを上回る成果を残している。だからこそ、株式は現代ポートフォリオの中心であり続けているのである。
しかし、だからといって株式だけで十分なのだろうか。
ここから先が、ビットコインを考える上で最も重要なポイントになる。
株式は企業活動に依存する資産である。企業が利益を生み続ける限り、株主はその成長の恩恵を受けることができる。しかし、その前提には国家、中央銀行、金融システム、証券市場といった既存の経済インフラが存在している。言い換えれば、株式は現在の金融システムが正常に機能し続けることを前提とした資産なのである。
一方、ビットコインはその外側に存在する。発行量はプログラムによって管理されており、最終的な供給上限は2,100万枚とあらかじめ定められている。供給量推移のチャートを見ると、ビットコインは誕生以来、新規発行が続いているものの、その増加ペースは半減期ごとに低下し、最終的には供給上限へ収束していくことが分かる。

これは株式や法定通貨との大きな違いである。企業は必要に応じて新株発行を行うことができる。各国の中央銀行も景気対策や金融政策の一環として通貨供給量を増やすことができる。しかし、ビットコインにはそれが存在しない。需要が増えても供給を増やすことができないため、その希少性こそが価値の源泉の一つになっている。
もちろん、希少性だけで価値が生まれるわけではない。しかし、世界で初めて「供給上限が数学的に保証されたデジタル資産」であることは、多くの投資家がビットコインを長期保有する理由の一つになっている。
歴史を振り返ると、この違いは何度も浮き彫りになってきた。2008年の金融危機では多くの金融機関が破綻し、各国政府は巨額の公的資金を投入した。2020年のコロナ危機では、世界中の中央銀行が前例のない規模で通貨供給を拡大した。そして現在も各国の政府債務は過去最高水準を更新し続けている。こうした環境の中で、一部の投資家は「もし既存金融システムそのものに問題が発生したらどうなるのか」という問いを持ち始めている。
ビットコインは、その問いに対する一つの選択肢として存在している。だからこそ、多くの投資家はビットコインを単なる投機対象ではなく、ゴールドに近い性質を持つ資産として捉えているのである。
さらに見逃せないのは、成長余地の違いである。
添付の「世界の主要資産クラス規模(2025年)」を見ると、その差は一目瞭然だ。米国株式市場は約82兆ドル、米国債券市場は約42兆ドル、欧州債券市場は約28兆ドル、金市場でも約16兆ドル規模に達している。一方で、暗号資産市場全体は約2.6兆ドルに過ぎず、主要資産クラスの中では依然として最も小さい部類に属する。

つまり、ビットコインや暗号資産は、すでに成熟した巨大市場と競争しているのではなく、むしろ「これから制度資金が流入する可能性のある市場」と捉えることもできる。仮に世界の株式市場や債券市場の資金の一部が流入するだけでも、暗号資産市場全体に与える影響は決して小さくない。
もちろん、市場規模が小さいから必ず成長するわけではない。しかし逆に言えば、株式市場や債券市場のような成熟した巨大市場と比較すると、暗号資産市場には資金流入による成長余地が残されているとも考えられる。特にビットコインは、現物ETF承認や企業保有の拡大によって、これまでアクセスできなかった機関投資家マネーの入り口が開き始めた段階にある。
株式市場の歴史は400年以上に及び、S&P500には世界中の年金基金、保険会社、政府系ファンド、個人投資家など、あらゆる資金が参加している。2000年以降のS&P500は約5倍近い成長を遂げたが、その時価総額はすでに数十兆ドル規模に達しており、市場としては成熟段階にある。
一方、ビットコインの歴史はわずか17年しかない。それにもかかわらず、現物ETFの承認、上場企業による保有、国家レベルでの導入議論など、制度化はまだ始まったばかりである。
つまり、株式は「利益成長への投資」であり、ビットコインは「供給上限が定められた希少なデジタル資産への投資」である。そしてもう一つ重要なのは、株式が400年以上かけて世界最大の資産クラスへ成長したのに対し、ビットコインは誕生からわずか17年しか経っていない新しい資産クラスだということである。
株式の方が安定している。
しかし、ビットコインの方が成長余地は大きいかもしれない。
そして、法定通貨や株式とは異なり、供給量を自由に増やすことができない。
だから本当に重要な問いは、「株かビットコインか」ではない。
むしろ、「利益成長資産と希少性資産をどのような比率で保有するか」なのである。
現在のように株式が圧倒的に強く、ビットコインが苦戦している局面では、その違いは見えにくい。しかし、ポートフォリオの価値は好調な時ではなく、想定外の変化が起きた時に初めて明らかになる。
だからこそ、今ビットコインを持つ理由は「明日上がるから」ではない。
既存金融システムとは異なる未来への選択肢を持ちながら、その成長の可能性にも参加するためなのである。
