ビットコインのデカップリングによりアルトコインシーズンは短期的には見込み薄。ナラティブトークンやビットコインへの配分に注目。専門家の分析と次の一手を読むにはこちら。
アルトコインシーズンは短期的には期待薄とBitgetのCOOヴガール・ウシ・ザデ氏は指摘する。ビットコインの独立した上昇とアルトコインにおける技術的な大きな材料不足が、「すべてが一緒に上がる」可能性を低下させている。
ビットコインの上昇はますます独立的に動いており、過去のアルトコインとの相関性は弱まっている。Token2049のステージ上での発言によれば、ビットコインの価格が上昇している一方で、市場全体は下落しているケースも多く、以前のようにBTCからアルトコインへ資金が流れる状況は見られない。
市場シェアデータではビットコインのドミナンスが約58%、イーサリアムは約12%（CoinMarketCap）と示されている。この集中度の高さが明確なナラティブ主導型の材料が無ければ、小型トークンへの資金循環を制限している。
BitgetのCOOヴガール・ウシ・ザデ氏はCointelegraphに、「アルトコイン全体の広範なラリーは期待できない」と述べている。クリプトプロジェクトがトレーダーの関心を刺激するに足る熱狂を生み出せていないためだ。
彼によれば、「すべてが上昇するようなアルトコインシーズンは見込み薄」で、多くのトレーダーがより狭いトレンドに注目するか、ビットコインのみを追っている現状だという。
「アルトシーズンが来るとは思わない」と、シンガポールで開催されたToken2049でのインタビューで述べた。
「『アルトシーズンだからすべてのコインが上がる』という考えは成り立たず、私はその見方に強く反対する」と語り、「論理的な背景がなく、そのような大幅な上昇は難しい」と続けた。
「技術的な進展は見られず、大きなプロジェクトも出ていない。なぜ価格が上がるのか？ ただ『今がその時』だから？ それは違う。」
歴史的にアルトコイン（ビットコイン以外の暗号資産）はビットコインと共に上昇する傾向があった。アルトシーズンとは、リスク対リターンの高さからアルトコインがビットコインを上回る時期を指す。
なぜクリプトの「シーズン」は変わってきているのか？
ウシ・ザデ氏は、クリプト市場が「シーズン」という概念から離れ、より短期かつ頻繁なサイクルの方向に動いていると話す。ビットコインはもはや市場全体を引っ張る力を持っていない。
「ビットコインは独自のラリーを展開し、その影響力は他の市場にほぼゼロだ。株式市場のみならず、アルトコインからもデカップル（連動解消）している」と説明する。
「ビットコインだけが緑色で、市場全体は赤という事例を何度も見てきた。資金はビットコインからアルトコインに流れていない。」
ヴガール・ウシ・ザデ氏、9月の台北ブロックチェーンウィークにて。出典: ヴガール・ウシ・ザデ
現在のラリーは、ナラティブ（物語・コンセプト）主導型である可能性が高い。例えば、実世界資産（RWA）に紐づくトークンは集中して価格上昇する一方で、その他のセクターは停滞することが予想される。
持続可能なアルトコインには市場の考え方はどう変わるべきか？
ウシ・ザデ氏は、投資家の短期志向が長期的なプロジェクトの持続性を困難にしていると指摘。数ヶ月で収益化を期待するのは、何年もかけて成長した従来企業と比べ非現実的だと言う。
「アマゾンが利益を出すまでに10年以上かかったが、今はクリプトベンチャーに8ヶ月でそれを求めている」と説明。その圧力が製品開発よりトークンの短期パフォーマンス優先を強いている。
従来のエグジットでは早期投資家が戦略的企業に売却するが、トークンはすぐにリテール市場で取引可能なためボラティリティが高まり、チームの開発期間が短縮されやすい。
「トークンは別物のプロダクトだ。トレーダーと連携し、価格が下がらないようにする必要がある。価格がほぼゼロに達すると、そのプロダクト、プロジェクトは死んだも同然だ」と述べている。
投資家はいつビットコイン優先にすべきか？
多くの市場参加者が新規投資家にはビットコインのみの保有を推奨し、従来の70:30ビットコイン/イーサリアム配分を見直す傾向にある。ウシ・ザデ氏によれば、これはビットコインの継続的なアウトパフォーマンスとイーサリアムの安定性が反映されているためだ。
ビットコインの当面の勢いと支配的な市場地位は、明確な材料がない限り、リテールがイーサリアムや小型トークンに移る動機を限定的にしている。
この市場見解を裏付けるデータは？
市場シェアはビットコインが約58%、イーサリアムが約12%（CoinMarketCap）で推移しており、資本の集中を示し、広範囲なアルトコインラリーの可能性を低減している。
重要ポイント
- アルトコインシーズンは期待薄： 実質的な技術的突破がない限り、広範なアルトコインの上昇は難しい。
- ビットコインのデカップリング： BTCは独立して上昇し、アルトコインへの資金流入を制限している。
- 投資家への示唆： ビットコインまたはナラティブ主導のトークンに注目し、より短期のセクター別サイクルを意識すべき。
よくある質問
アルトコインは再び一緒に上昇するか？
広範なアルトラリーには多くのプロジェクトに渡る持続的な技術的または採用の材料が必要。そうでなければラリーはセクターごとに限定的かつ短期間になる。
ビットコインのドミナンスは恒久的か？
ビットコインのドミナンスは変動する。現時点では資金集中と独立的な勢いが反映されているが、ナラティブの変化や大きな技術進歩があれば将来的に変わり得る。
新規投資家はどのように資金配分すべきか？
保守的な戦略としては、ビットコインを優先的に保有し、明確なファンダメンタルズとロードマップを持つナラティブ主導のアルトコインを慎重に組み入れること。リスク管理と長期視点が重要。
まとめ
アルトコインシーズンはビットコインのデカップリングと広範な技術的ドライバー不足により制限されている。トレーダーは一括のアルトバブルではなく、よりターゲットを絞ったナラティブ主導のラリーを想定すべきだ。セクターのナラティブを注視し、流動性を優先しながら、プロジェクトの持続的なファンダメンタルを確認してビットコイン中心の配分を検討すべきである。
