用語集概念
レイヤー2(Layer 2)とは?
レイヤー2(Layer 2、L2)とは、土台となるブロックチェーン(レイヤー1)の上に作られ、取引をメインチェーンの外で処理してからデータや証明をレイヤー1に書き戻すネットワークです。レイヤー1の安全性を引き継ぎながら、処理能力を高め、手数料を下げることを目指します。
執筆: COINOTAG Research Desk最終更新 出典
- 利用者は資産をレイヤー1からレイヤー2へ移します(ブリッジ)。
- レイヤー2上で多数の取引を高速かつ低コストで処理します。
- 処理結果をまとめ、データや正しさの証明をレイヤー1に記録します。
レイヤー1に記録が残るため、レイヤー2の運営者が不正をしても、ルールに従って異議を申し立てたり、資産をレイヤー1に引き出したりできる設計が目指されています。
レイヤー2の種類
| 種類 | 仕組み | 例 |
|---|---|---|
| オプティミスティック・ロールアップ | 取引は正しいと仮定して記録し、不正があれば一定期間内に異議を申し立てて取り消す | アービトラム、オプティミズム、Base |
| ZKロールアップ | ゼロ知識証明で取引の正しさを数学的に証明して記録する | zkSync、Starknet、Linea、Scroll、Polygon zkEVM |
| ステートチャネル | 当事者間で取引を繰り返し、最初と最後の状態だけをレイヤー1に記録する | ビットコインのライトニングネットワーク |
| バリディウム | ZK証明を使うが、取引データはレイヤー1の外に保管する | ― |
| プラズマ | 不正証明を使うが、取引データはレイヤー1の外に保管する初期の方式 | 現在はロールアップが主流 |
オプティミスティック・ロールアップでは、異議申し立ての期間(ethereum.orgの説明ではおよそ7日間)が終わるまで、公式ブリッジでレイヤー1へ資金を引き出すことができません。ZKロールアップでは、証明がレイヤー1で検証されれば取引が確定するため、この待ち時間は原則として不要です。一方で、証明を作るための計算には高い性能のハードウェアが必要になります。
どちらの方式でも、利用者はまずメインチェーンからレイヤー2へ資産をブリッジします。各レイヤー2は公式のブリッジを用意しているほか、第三者が提供するブリッジもあります。
レイヤー2の歩み
- 2016年1月:ジョセフ・プーンとサディアス・ドライジャが、ビットコインの支払いチャネルをネットワーク化するライトニングネットワークの論文(草案バージョン0.5.9.2、2016年1月14日付)を公開しました。
- 2017年:イーサリアム向けに、子チェーンを使うプラズマが提案されました。のちに、データをレイヤー1に置くロールアップが主流になります。
- 2021年:オプティミスティック・ロールアップが本格的に稼働し始めました。アービトラム・ワンは2021年8月31日に一般公開され、オプティミズムも同じ年に稼働しています。
- 2022〜2023年:zkSyncやStarknetなどZK系のレイヤー2が相次いで稼働し、2023年にはCoinbaseがオプティミズムの技術(OP Stack)を使ったBaseを公開しました。
現在は、多くのDeFiサービスがレイヤー2上でも展開されています。
2024年3月13日には、イーサリアムのDencunアップグレード(EIP-4844)でロールアップがデータを書き込むための「ブロブ」という専用枠が導入され、レイヤー2の手数料が下がりました。レイヤー2の上にさらに層を重ねるレイヤー3という考え方もあります。
レイヤー2の重要な概念
- データ可用性(DA):レイヤー2が取引データをどこに置くかという問題です。イーサリアムのブロブ、従来のcalldata、セレスティアのような外部のデータ可用性レイヤーなどの選択肢があり、どこに置くかで安全性と手数料が変わります。
- シーケンサー:レイヤー2上の取引の順番を決める役割です。現在は1社が担うことが多く、分散化が課題とされています。
- ブリッジ:レイヤー1とレイヤー2の間で資産を移す仕組みです。多額の資産が集まるため、攻撃の標的になりやすい部分でもあります。
- ロールアップ:取引データや証明をレイヤー1に書き込む方式で、現在のレイヤー2の主流です。
- レイヤー3・アプリチェーン:レイヤー2の上に、特定の用途に特化したチェーンをさらに重ねる考え方です。
レイヤー2を使うときの注意点
- 分散化の段階:多くのレイヤー2は、取引の順番を決める運営者(シーケンサー)が1社であったり、緊急時にコードを変更できる権限が残っていたりします。L2BEATのようなサイトでは、各レイヤー2のリスクの段階(ステージ)が公開されています。
- ブリッジのリスク:資産を移すブリッジは攻撃の標的になりやすく、過去に大きな被害も起きています(クロスチェーンブリッジを参照)。
- ネットワークの取り違え:同じトークンでも、レイヤー1とレイヤー2では別のネットワーク上にあります。送金先が対応しているネットワークを必ず確認します。
利用の流れ(例)
イーサリアムのメインネットからアービトラムに資金を移して使う場合、おおまかな流れは次のとおりです。
- 公式ブリッジなどでETHをアービトラムへ送ります。このときはメインネット側のガス代がかかり、着金まで少し時間がかかります。
- アービトラム上のDEXでトークンを交換したり、DeFiのサービスを使ったりします。ここでの手数料はメインネットより大幅に低くなるのが一般的です。
- メインネットに戻すときは、公式ブリッジなら異議申し立ての期間を待つ必要があります。急ぐ場合に使われる第三者のブリッジには、それぞれ別のリスクがあります。
手数料の水準は混雑状況や時期によって大きく変わるため、送金の前にウォレットの表示で確認します。
よくある質問
レイヤー2とは簡単に言うと何ですか?
イーサリアムなどのブロックチェーンの上に作られた、取引を速く安く処理するためのネットワークです。結果は土台のブロックチェーンに記録されます。
レイヤー1とレイヤー2の違いは何ですか?
レイヤー1はイーサリアムやビットコインのような土台のブロックチェーンで、安全性の基盤です。レイヤー2はその上で取引を処理し、手数料と処理速度を改善します。
オプティミスティック・ロールアップとZKロールアップの違いは?
オプティミスティックは取引を正しいと仮定して記録し、不正があれば異議で取り消します。ZKはゼロ知識証明で正しさを数学的に示してから記録します。
レイヤー2に資産を移すにはどうすればいいですか?
ブリッジを使ってレイヤー1から移すか、レイヤー2に対応した取引所から直接送る方法があります。いずれも、送金先のネットワークを確認することが大切です。

