用語集概念
NFT(非代替性トークン)とは?
NFT(非代替性トークン)とは、ブロックチェーン上で一つひとつが区別され、特定のデジタルアートやゲームアイテムなどの所有記録を表すトークンです。1枚ずつ固有のIDを持つため、通貨のように同じ価値のものと1対1で交換することはできません。
最終更新 出典
基本情報
- 開始
- ERC-721規格の提案:2018年
- 開発者
- ERC-721提案者:William Entriken、Dieter Shirley、Jacob Evans、Nastassia Sachs
- コンセンサス
- 発行されたチェーンのコンセンサスに従う(例:イーサリアムはプルーフ・オブ・ステーク)
- 公式サイト
- eips.ethereum.org
NFTの歴史:コレクション実験から規格化へ
「代替できないトークン」という発想は、イーサリアムの初期に広がりました。
- 2010年代半ば:ビットコインの上に作られたCounterpartyというプラットフォームで、カエルのキャラクターを題材にした「Rare Pepes」のような、一点ものをトークンで表す初期の実験が行われました。
- 2010年代後半:ピクセルアートの「CryptoPunks」や、仮想の猫を育てて売買する「CryptoKitties」が登場。とくにCryptoKittiesは人気が集中してイーサリアムの取引が混雑し、NFTが一般に知られるきっかけになりました。
- 2018年:NFTの標準規格ERC-721(EIP-721)が提案され、ウォレットやマーケットプレイスが同じ方法でNFTを扱えるようになりました。複数種類のトークンを一つのコントラクトで扱えるERC-1155も使われています。
- 2021年:3月11日、デジタルアーティストのBeeple(マイク・ウィンケルマン)の作品「Everydays: The First 5000 Days」のNFTが、老舗オークションハウスのクリスティーズで記録的な高値で落札されました。大手オークションハウスがデジタル作品のみの出品を扱った初めての例とされ、NFTが広く報道されるきっかけになりました。同じ時期に、Bored Ape Yacht Club(BAYC)などのPFP(プロフィール画像)コレクションの売買も急拡大しました。
- 2022〜2023年:相場は大きく冷え込み、多くのコレクションで最低価格(フロアプライス)が大幅に下がりました。マーケットプレイスの競争が激しくなる中で、二次販売のロイヤリティを任意にする動きも広がり、クリエイターの収益をめぐる議論が起きました。
- 2020年代半ば:現在はチケット、会員権、ゲーム内アイテム、ブロックチェーンドメインなど、実用寄りの用途にも広がっています。
ソラナなど、イーサリアム以外のチェーンにも独自のNFT規格があります。
NFTの仕組み:トークンID・メタデータ・スマートコントラクト
NFTはスマートコントラクトによって発行・管理されます。基本的な要素は次の3つです。
- コントラクトアドレスとトークンID:どのコントラクトの何番のトークンかという組み合わせが、世界で一つの識別子になります。
- 所有者の記録:各トークンIDをどのウォレットアドレスが持っているかがブロックチェーンに記録され、譲渡のたびに書き換わります。
- メタデータ:名前、説明、画像や動画の保存先、属性などの情報です。画像そのものはサイズが大きいため、多くの場合チェーンの外(IPFSなどの分散ストレージや通常のサーバー)に置かれ、NFTにはその参照先が記録されます。
NFTを新しく発行することを「ミント(mint)」と呼びます。発行後はマーケットプレイスや個人間で売買・譲渡でき、取引にはガス代がかかります。
通貨として使われるビットコインやERC-20トークンは「1枚と1枚が同じ価値」(代替可能)ですが、NFTはトークンIDごとに別物として扱われる点が根本的な違いです。
売買は、OpenSea、Blur(イーサリアム系)、Magic Eden、Tensor(ソラナ系)などのマーケットプレイスで行われるのが一般的で、定額での販売とオークション形式があります。多くのNFTには、二次販売のたびに元のクリエイターへ代金の一部を支払う「ロイヤリティ」が設定されていますが、支払いを必須とするかどうかはマーケットプレイスによって扱いが異なります。
NFTの重要な概念
- PFP(プロフィール画像)NFT:SNSのアイコンとして使われるコレクションで、所有者のコミュニティやアイデンティティの目印になります。
- ジェネレーティブアート:プログラムで属性を組み合わせて作る、数千〜1万点規模のコレクションです。
- フロアプライス:そのコレクションで出品されている最も安い価格で、コレクションの評価の目安としてよく使われます。
- オンチェーンとオフチェーン:画像やメタデータをブロックチェーン上に直接書き込むか、外部に保存するかの違いで、作品の永続性に影響します。
- ユーティリティ:イベントへの参加権や特典など、NFTを持つことで得られる追加の価値です。
NFTの主な使い道
- デジタルアート・コレクション:作品の発行元と所有の履歴が公開台帳で確認できます。
- ゲームアイテム:キャラクターや装備をNFTにすることで、ゲームの外でも譲渡できる設計があります(メタバース関連の用途も含む)。
- チケット・会員権:イベント入場やコミュニティ参加の権利をNFTで配布する例があります。
- ドメイン名:ENSのように、読みやすい名前をアドレスに結び付けるサービスもNFTを使っています。
- 譲渡できない証明:本人に紐付けて移転できないソウルバウンドトークンという考え方もあります。
NFTを扱うときの注意点
- 所有権と著作権は別物:NFTを持っていても、作品の著作権や商用利用権が自動的に移るわけではありません。権利の範囲は発行者が定める利用規約によります。
- データの保存先:メタデータや画像がチェーン外にある場合、保存先のサーバーが停止すると表示できなくなるおそれがあります。
- 価格変動と流動性:NFTは一点ごとに値付けされるため、買い手が見つからず売却できないこともあります。価格が大きく下落した例も多くあります。
- 詐欺への注意:偽のミントサイトや、署名内容を確認させずに資産を移すブラインド署名による被害が報告されています。承認する取引の内容を必ず確認しましょう。
NFTの保管方法
NFTは、秘密鍵を管理するウォレットで保有します。日常的に売買するならホットウォレットが便利ですが、価値の高いNFTはハードウェアウォレットなどのコールドウォレットで管理する方法もあります。いずれの場合も、復元に必要なシードフレーズは誰にも教えないことが基本です。
よくある質問
NFTとは簡単に言うと何ですか?
ブロックチェーン上で一つずつ区別される「一点物のトークン」です。デジタルアートやゲームアイテムなどについて、誰が持っているかを公開台帳に記録できます。
NFTと普通の暗号資産の違いは何ですか?
ビットコインなどの暗号資産は1枚と1枚が同じ価値で交換できる「代替可能」なトークンです。NFTはトークンIDごとに別物として扱われ、同じ価値のものと1対1で交換できない「非代替性」を持ちます。
NFTを買うと著作権も手に入りますか?
自動的には手に入りません。NFTが示すのはトークンの保有記録で、著作権や商用利用の範囲は発行者の利用規約で決まります。
NFTのミントとは何ですか?
スマートコントラクトを通じてNFTを新しく発行することです。ミントした時点でトークンIDが割り当てられ、最初の所有者のウォレットに記録されます。
NFTの画像はブロックチェーンに保存されているのですか?
多くの場合、画像そのものはチェーンの外(IPFSやサーバー)に保存され、NFTにはその参照先が記録されています。すべてをチェーン上に保存する「フルオンチェーン」のNFTもあります。

