Prisma(XPL)とは?意味と解説

Prisma(XPL)は、stETH・rETH・cbETHなどのリキッドステーキングトークン(LST)を担保として使用することで、分散型ステーブルコインmkUSDをミントできるEthereum DeFiプロトコルです。CDP(担保付き債務ポジション)モデルで動作しています。

概要と設立背景

Prisma Finance(XPL)は2023年にEthereumメインネットでローンチされたDeFiプロトコルです。MakerDAOとLiquityのCDP(担保付き債務ポジション)モデルにインスピレーションを受けながら、従来のETHではなくリキッドステーキングトークン(LST)を担保として受け入れることで新しいニッチを開拓しました。

Ethereum 2.0(Proof of Stakeへの移行)後、stETH(Lido)・rETH(Rocket Pool)・cbETH(Coinbase)などのリキッドステーキングトークンは大きな市場を形成しました。これらのトークンを保有するユーザーはETHのステーキング報酬を受け取りながらトークンの流動性も維持できます。Prismaはこれらのトークンをさらに活用する手段として、担保としてmkUSDをミントできる仕組みを提供します。

プロトコルのデザインはLiquityに強く影響を受けており、0%の借入金利(代わりに1回限りの発行手数料)と強制清算メカニズムを採用しています。流動性はCurve Financeとそのエコシステム(Convex、Frax、Votiumなど)と密接に統合されています。

mkUSDの生成メカニズム

mkUSDはPrisma Financeが発行する分散型ステーブルコインで、以下のプロセスで生成されます。

担保の預け入れ:ユーザーはstETH・rETH・cbETH・wstETHなどのLSTをPrismaのトローブ(Trove、担保ポジション)に預け入れます。

mkUSDのミント:預け入れた担保の価値に基づいて、最大担保率(通常110〜150%)を超える範囲でmkUSDをミントできます。例えば、1,000ドル相当のstETHを担保に入れれば、担保率110%の場合、最大909 mkUSDをミントできます。

清算メカニズム:担保率が最低閾値(例:110%)を下回ると、ポジションは清算可能になります。清算人はmkUSDを返済してディスカウント価格(通常0.5%割引)で担保を取得します。これにより常にmkUSDが担保で裏付けられることが保証されます。

安定プール:Liquidityと同様に、Prismaは安定プール(Stability Pool)を持ちます。ユーザーはmkUSDをプールに預けることができ、清算発生時に担保資産を取得する代わりにmkUSDが消費されます。安定プール参加者はPRISMAトークンとステーキング報酬で補償されます。

Prisma FinanceのLST担保→mkUSDミントのCDPフロー図

受け入れ担保

担保トークン発行者特徴
stETH / wstETHLido Finance最大のETH LSTプロバイダー
rETHRocket Pool分散型ETHステーキングプロトコル
cbETHCoinbase大手取引所発行LST
sfrxETHFrax FinanceFraxエコシステムのステーキングトークン

複数のLSTを担保として受け入れることで、Prismaは特定のLSTプロバイダーへの依存を分散しています。ただし、Lidoのsteth/wstETHが市場シェアの大部分を占めているため、実質的にはLido依存が大きい状況です。

XPLトークンとガバナンス

PRISMAトークン(後にXPLに改名)はプロトコルのガバナンストークンです。プロトコルパラメーター(担保率・手数料・新担保の追加)への投票権を持ちます。安定プールからの報酬の一部もXPLホルダーに分配される設計となっています。Curve/Convexエコシステムとの統合により、XPLのveCRV(投票エスクロートークン)ゲームへの参加も重要な要素です。

2024年3月のハックと影響

2024年3月28日、Prisma Financeはスマートコントラクトの重大な脆弱性を突かれ、約1,160万ドルの資産が流出しました。攻撃者はmigrationContract機能を悪用してユーザーのトローブから資産を引き出しました。

このハックはプロトコルに深刻な打撃を与えました:TVL(Total Value Locked)が急落し、mkUSDのペッグも一時的に影響を受けました。プロトコルチームはセキュリティ審査と回収努力を行いましたが、一部の資産は回収されませんでした。この事例はDeFiプロトコル、特に比較的新しいプロジェクトへの投資に伴うスマートコントラクトリスクを鮮明に示しています。

リスク

スマートコントラクトリスク:2024年3月のハックが示すように、DeFiプロトコルはスマートコントラクトの脆弱性に常にさらされています。複数の監査を受けていても完全な安全は保証されません。

LST集中リスク:stETH(Lido)が担保の大部分を占めているため、Lidoのセキュリティ問題・脱ペッグ・規制問題はPrismaのシステム全体に影響します。

Curve流動性依存:mkUSDのペッグはCurveプールの流動性に大きく依存しています。Curveエコシステムの問題(2023年7月のCurve Financeハックなど)はmkUSDにも影響します。

COINOTAGの見解

Prismaは増大するLST市場を対象とした革新的なCDPプロトコルとして設計されました。LSTを担保にした分散型ステーブルコインというコンセプトは市場のニーズに応えるものです。しかし、2024年3月のハックはプロトコルの信頼性に大きなダメージを与えました。COINOTAGはPrismaを「回復中のプロトコル」として慎重に評価します。スマートコントラクトリスク・LST集中リスク・Curve依存を十分に理解した上での慎重なポジション管理を強く推奨します。

最終更新: 2026/6/21

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