ウォーシュFRB理事承認、JPモルガンがJLTXX申請、ペイワードとフランクリン・テンプルトン提携
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暗号資産ニュース
米上院は5月12日、ケビン・ウォーシュ氏を51対45の賛成多数でFRB(連邦準備制度理事会)理事として承認した。任期は2040年まで。議長としての別途承認採決も今週中に予定されており、パウエル現議長の4年任期が今週金曜に終了することから事実上の引き継ぎ手続きが進む。ウォーシュ氏は世界金融危機をまたぐ2006~2011年にFRB理事を務めた経歴を持ち、資産公開ではポリマーケットやソラナなど20社超の暗号資産関連資産を保有していることが明らかになっている。かつてのインフレ重視のタカ派スタンスから、就任後の金融政策の方向性に市場の関心が集まる。

米金融大手JPモルガン・チェースは5月12日、イーサリアムブロックチェーン上で新たなトークン化マネー・マーケット・ファンド(MMF)の設立届出書を米証券取引委員会(SEC)に提出した。ファンド名称は「オンチェーン・リクイディティ・トークン・マネー・マーケット・ファンド」で、ティッカーシンボル「JLTXX」として5月13日付で効力が発生する予定。主に米国債およびオーバーナイト・レポ取引に投資し、米国のステーブルコイン規制法案「ジーニアス法」が定める発行体向け適格準備資産の維持要件を満たすよう設計されている点が最大の特徴となる。技術管理はデジタル資産部門Kinexys Digital Assetsが担う。
ブロックチェーン分析企業Ellipticは、シリーズDラウンドで1億2,000万ドル(約190億円)を調達したと発表した。調達後評価額は6億7,000万ドルに達する。本ラウンドはOne Peakが主導し、Nasdaq Ventures、Deutsche Bank、British Business Bankが参加した。同社は2013年創業以来、65以上のチェーンにまたがる独自データセットを構築し、30カ国700社以上の顧客に対し週10億件超の取引をスクリーニングしている。シモーネ・マイニCEOは金融システムがオンチェーンで再構築されつつあると述べ、AIネイティブなコンプライアンスの企業導入を加速する方針を示した。機関投資家の参入加速に伴うコンプライアンス需要が背景にある。
クラーケンの親会社ペイワードと、世界的資産運用大手フランクリン・テンプルトンは5月12日、トークン化資産展開を加速する戦略的提携を発表した。中核となるのはトークン化株式フレームワーク「xStocks」で、2025年の立ち上げ以来の累計取引量は300億ドルを突破した。フランクリン・テンプルトンの運用戦略をオンチェーンで取引可能にする新たなアクティブ運用型商品の検討に加え、グローバル・トークン化MMF群「BENJI」をクラーケン・プラットフォームに統合する。フランクリン・テンプルトンは2025年12月末時点で約18億ドルのデジタル資産を運用する50名超の専門チームを擁し、機関投資家向け仮想通貨運用事業の拡大を本格化させている。

米仮想通貨サービス企業バックト(Bakkt)は5月11日、第1四半期決算を発表し売上高が前年同期比約77%減の2億4,360万ドルに縮小、1,170万ドルの純損失を計上し赤字に転落した。アクシェイ・ナヘタCEOはステーブルコイン事業への全面注力を宣言し、4月30日に完了したAI決済エンジン企業DTRの買収を通じ規制準拠の決済インフラ統合を加速させる方針だ。新戦略の柱は「Bakkt Markets」「Bakkt Agent」「Bakkt Global」の3本柱で、Zothとの提携により南アジア・中東で年間約10億ドルの取引量を狙う。取引量依存のボラティリティの高いモデルからの脱却が焦点となる。
米予測市場プラットフォーム運営のカルシ(Kalshi)は、シリーズFラウンドで10億ドル(約1,570億円)を調達し、企業評価額が220億ドル(約3.5兆円)に達したと明らかにした。本ラウンドはコーチュー・マネジメントが主導し、セコイア、a16z、IVP、パラダイム、モルガン・スタンレー、アーク・インベストが参加した。過去6カ月で機関投資家による取引高は800%増加し、年率換算取引高は520億ドルから1,780億ドルへと3倍超に拡大している。同社は米予測市場の90%超、世界全体の取引量の過半を占めるとしており、ヘッジファンドや自己勘定取引会社、保険会社への導入拡大に資金を充てる方針だ。
今週の市場動向を貫く軸は、伝統金融と暗号資産インフラの構造的融合である。JPモルガンのMMFトークン化、ペイワード×フランクリン・テンプルトンの提携、Elliptic調達への銀行系VC参画は、いずれも機関投資家マネーが規制準拠したオンチェーン基盤へと流入する流れを裏付ける。一方でウォーシュFRB理事の承認は金融政策の不確実性を残し、バックトの戦略転換とカルシの巨額調達はビジネスモデルの再定義を示す。クラリティー法を巡る労組と業界の対立も含め、規制の輪郭が定まる過程で、トークン化とブロックチェーンインフラへの資本配分は不可逆的に加速している。