クラリティー法が上院議事日程入り、退職金401k開放案に民主党反発、米財務省がイラン取引所4社を制裁
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米国の仮想通貨市場構造法案「クラリティー法」が6月1日付で上院立法カレンダーに掲載された。上院銀行委員会の修正案を反映した委員会報告書としての位置付けで、ティム・スコット議員が代替修正案を付して正式に報告した形だ。ただし農業委員会案との統合作業が残されており、本会議審議前に管理修正案として一本化される見通しとなっている。フィリバスター回避には60票が必要で、民主党から最低7名の賛成確保が不可欠な状況。ブロックチェーン業界の規制枠組みを左右する同法案の早期成立への期待は依然として残るものの、本会議採決のスケジュールは確定していない。

民主党側ではルーベン・ギャラゴ議員、アンジェラ・アルスブルックス議員、カーステン・ギリブランド議員が、政府当局者の仮想通貨取引に関する倫理規定整備を本会議支持の条件として明示している。マーク・ウォーナー議員は分散型金融分野での不正対処能力の担保を要請。投資銀行アナリストは、大統領への利益相反規定が含まれない限り民主党の支持獲得は政治的に困難との見通しを示している。上院は7月4日の独立記念日休会までに約4週間の会期を残すが、財政調整法案や6月12日が再承認期限となる外国情報監視法(FISA)の審議が優先案件として控えており、予測市場が示す2026年中の成立確率は約56%にとどまっている。
ビットワイズの最高投資責任者マット・ホーガン氏は、暗号資産が「モメンタム取引」から「逆張りの賭け」へと痛みを伴う転換を迫られているとの見解を示した。同氏のメモ公表時点でビットコインは年初来21%安、イーサリアムは33%安、ソラナは37%安、XRPは31%安とアルトコインを含む主要銘柄が軒並み下落。ETFからの資金流出と現物取引高の数年来の低水準が継続している。AI株やロボティクス、SpaceXに資金が集中しナスダック100が前年比43%上昇する一方、暗号資産は市場の主役の座を譲った形だが、堅実な基盤を持つ中小銘柄への資金回転は「冬の終わりの兆し」だとした。
バーニー・サンダース、エリザベス・ウォーレン両上院議員とボビー・スコット下院議員は6月1日付でキース・ソンダーリング労働長官代行に書簡を送付し、401k退職金口座への代替資産解禁規則案の撤回を要求した。3月30日に公表された同規則案は、401k運用責任者が仮想通貨、プライベートエクイティ、不動産を投資対象に組み込む際の法的免責を設定する内容で、約9,000万人の加入者と14.2兆ドル規模の確定拠出型年金市場が対象となる。議員らはFBI報告書を引用し、2025年の仮想通貨関連詐欺損失が110億ドル超と過去最高を記録したと指摘。トランプ家のデジタル通貨事業が約50億ドルの資産を積み上げたとされる利益相反も問題視している。

米財務省外国資産管理局(OFAC)は6月2日、イラン最大の暗号資産取引所Nobitexを含む4社と複数の幹部を特別指定国民リストに追加した。Nobitexは2025年のイラン国内デジタル資産流入の50%超を処理し、革命防衛隊(IRGC)関連取引やランサムウェア決済の経路となっていたとされる。同時にWallex、Bitpin、Ramzinexも対象となり、共同創業者のラド氏、現CEOのコエ氏、ハラジ兄弟も指定された。ベッセント財務長官は対イラン経済圧力作戦の一環として、開戦以降に押収したイラン由来の暗号資産が約10億ドル規模に達したと説明している。
米選挙資金規制委員会(FEC)への届出によれば、CoinbaseとRippleが支援する政治活動委員会フェアシェイク傘下のプロテクト・プログレスは、6月2日のカリフォルニアおよびニュージャージーの下院予備選で民主党候補支援に約300万ドルを投入した。さらに6月23日のメリーランド第5選挙区民主党予備選候補エイドリアン・ボアフォ氏支援に310万ドル超、ニューヨーク第15区のリッチー・トーレス氏再選支援に約32万ドルを計上。傘下のディフェンド・アメリカン・ジョブズはサウスダコタ州の共和党マイク・ラウンズ議員再選支援に41万ドル超を投じた。フェアシェイクは1月時点で1億9,300万ドル超の選挙資金を確保しており、業界の政治影響力を可視化している。
今サイクルの中心的ナラティブは「規制を巡る駆け引きと地政学リスクの交差」へと収斂しつつある。クラリティー法の上院通過への道のりと401k開放案を巡る党派対立は、国内規制の不確実性が弱気相場を長引かせる構造要因となっていることを示す。一方、対イラン制裁の拡大はDeFiと中央集権型取引所の境界を巡る安全保障上の論点を浮上させた。逆張り戦略への注目と政治献金の活発化が示唆するのは、機関投資家マネーが規制明確化を待つ間に、業界自身がワシントンでの影響力構築を加速させている構図だ。