via NADA NEWS · NADA NEWS編集部著
「なぜビットコインは8万ドルを割ったのか──利益確定とレバレッジ整理が重なった相場構造の変化」【エックスウィン】
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ロングが支払い
● BTCの8万ドル割れは、マクロ要因よりも「利益確定」と「ロング清算連鎖」が主因となった可能性が高い
● 4月以降の37%反発によって市場全体の収益構造は改善し、短期保有者の利益確定圧力が急増している
● 一方で、取引所流入は依然として低水準であり、本格的な大口分配相場にはまだ至っていない
ビットコインは本日、一時80,000ドルを下回った。イーサリアムも2,300ドルを割り込み、暗号資産市場全体では直近高値から900億ドル超が消失。過去24時間では約3.31億ドル、さらに直近2時間だけでも約1億ドル規模のロング清算が発生している。
今回の下落で特徴的だったのは、S&P500やNASDAQが最高値圏を維持していた点だ。通常であれば、米国株の急落や金利急騰など「マクロ要因」が暗号資産市場全体を押し下げる。しかし今回は、株式市場が比較的堅調だったにもかかわらず、暗号資産だけが大きく崩れた。つまり今回の下落は、外部要因というより、暗号資産市場内部の需給構造とレバレッジ環境によって引き起こされた可能性が高い。
その背景として、まず見えてきたのが利益確定の増加である。5月4日、ビットコイン保有者による利益確定は1日で14,600BTCに達した。これは2025年12月以来の高水準だ。4月安値から約37%反発したことで、多くの投資家が再び利益圏へ戻ったことを意味している。
さらに、短期保有者の利益率を示すチャート「Bitcoin: Short Term Holder SOPR」は1.016まで上昇し、4月中旬以降は1を上回る状態を維持している。SOPRが1を超えるということは、短期保有者が「利益を出した状態」で売却していることを意味する。過去の弱気相場では、この利益実現の増加が、局所的な天井や長めの横ばい調整へ繋がるケースが多かった。
実際、市場全体の収益構造も大きく変化している。ビットコイン保有者の30日累計利益は現在「+20,000BTC」となり、2025年12月以来、初めてプラス圏へ戻った。2〜3月には最大で「-398,000BTC」という大規模な損失実現が発生していたが、4〜5月の反発によって状況は大きく改善した。これは単なる価格回復ではなく、「損失を抱えていた市場」が再び利益を生み始めたことを意味する。
特に現在注目されているのが、トレーダーの含み益率の急回復である。チャート「ビットコイン:オンチェーントレーダーの実現価格と損益率」では、短期トレーダー層(主に1〜3か月保有者)の平均取得コストと、含み益・含み損率の推移が示されている。青線で表される含み益率は、2026年2〜3月にはマイナス20〜30%近くまで悪化していたが、4月以降の反発によって急速に改善し、現在は2025年6月以来の高水準へ到達している。これは、多くの短期トレーダーが再び利益圏へ戻ったことを意味する。一方で、過去の相場では、この含み益率の急回復局面は「安心感」が広がると同時に、利益確定売りが増えやすいタイミングでもあった。特にBear Market Rallyでは、含み益が一定水準まで回復すると、短期投資家が戻り売りを出しやすくなり、相場の上値を抑えるケースが多い。今回の8万ドル割れも、こうした“利益回復による売り圧力再開”という市場心理の変化が背景にある可能性が高い。
さらに今回の下落を加速させたのは、現物売りというより「レバレッジ整理」だろう。過去2時間だけで約1億ドル規模のロング清算が発生しており、価格下落がさらに清算を呼ぶ連鎖状態になっている。現在の暗号資産市場は、現物需給だけで動いているわけではない。OI(未決済建玉)やFunding Rate、清算ポイントなど、デリバティブ市場の構造が短期価格へ大きな影響を与えている。
一方で、現時点では「本格的な分配相場」が始まったと断定できる状況でもない。先物市場の需要は依然として強く、4月反発を支えた投機需要も継続している。また、現物需要はまだ弱いものの、2026年初頭のような極端な需要崩壊には至っていない。
さらに重要なのは、取引所へのBTC流入が依然として低水準なことだ。過去の本格下落局面では、大口保有者による取引所送金が急増し、分配売りが明確に確認されていた。しかし今回は、利益が戻っているにもかかわらず、大規模なBTC流入はまだ確認されていない。つまり現在は、「利益確定圧力は増えている」が、「大口投資家が本格的に売り崩している状態ではない」という、非常に微妙な局面にある。
今回の8万ドル割れは、弱気相場再開を即座に意味するわけではない。ただ、市場が「利益を確定したくなる価格帯」に入り始めたことは確かだ。今後の焦点は、ロング清算がどこまで続くか、STH-SOPRが1を維持できるか、そして取引所流入が増加し始めるかどうかになる。
現在のビットコイン市場は、強気転換初期とBear Market Rally終盤、その両方の可能性を同時に抱えた「分岐点」に入っている。
■ショート動画
(朝起きたら)ビットコイン急落の正体|利益確定が連鎖し始めた【エックスウィン / ビットコインリサーチ】
https://youtube.com/shorts/dRPg9VSrTuc
(チャート解説)BTC急落の裏側|「短期保有者の動き」と「ビットコイン含み益」【エックスウィン / ビットコインリサーチ】
https://youtube.com/shorts/CRe9t9sGZx0
■オンチェーン指標の見方
①Bitcoin: Short Term Holder SOPR:短期保有者が利益で売っているのか、損失で売っているのかを示す指標です。1を上回ると利益確定、1を下回ると損失確定が増えている状態を意味します。弱気相場では、1付近が心理的な分岐点として機能しやすい傾向があります。現在は1を上回っており、短期投資家の利益確定圧力が再び強まり始めています。

②オンチェーントレーダーの実現価格と損益率:短期トレーダーの平均取得価格と含み益・含み損状況を見る指標です。
含み益率が急回復すると、市場心理は改善しますが、同時に利益確定売りも増えやすくなります。過去のBear Market Rallyでは、この含み益率回復局面が上値抵抗になりやすい傾向がありました。現在は2025年6月以来の高水準まで回復しており、市場は再び重要な分岐点に近づいています。

