Ethereum(ETH)開発者のPedro UID、EIP-8130を組み合わせ可能な3つのEIPに分割
EthereumのEIP-8130がEIP-8398、8399、8400の3つに再構成。Glamsterdamのガス再価格設定EIP-8037・8038は2026年第4四半期を目指す。
AI要約AI
- EthereumのEIP-8130がPedro UIDによりEIP-8398、8399、8400の3つのEIPに分割(8月27日)
- EIP-8037の仕様書は2026年1月時点のGethのステートを約390GiBと記録
- ブロックガス上限の3,000万→6,000万倍増後、1日あたり新規ステートが約3.1倍に増加
- 新規アカウント作成コストは25,000ガスから183,600ガスへ約7.3倍に引き上げ
EIP-8130が3つのEIPへ再構成
プロトコル層にネイティブなアカウント抽象化(AA)をどう導入するかをめぐり、Ethereum(ETH)で長らく続いてきた論争に決着の目処が立った。コア提案であるEIP-8130が、組み合わせて使える3つのEIP——EIP-8398、EIP-8399、EIP-8400——へと再構成されるのである。開発者のPedro UIDが8月27日、Ethereum Magiciansフォーラムのディスカッションスレッドでこの構成を提示し、同日に対応するGitHubのプルリクエスト#12248もオープンされた。アカウント抽象化とは、スマートコントラクトアカウントを「一人前の住人」として扱い、カスタム検証ロジック、ソーシャルリカバリー、ガス代行支払い、トランザクションのバッチ化を可能にする取り組みだ。現状ではERC-4337とオフチェーンのバンドラーで実現されている機能を、プロトコル自体に引き上げるのがネイティブAAであり、争点はその実装方法だった。EIP-8130が象徴するキーストア陣営は、信頼する検証者のホワイトリストで署名検証を管理し、検証コストを予測可能かつ上限付きに抑える設計を掲げた。Layer 2ネットワークに優しい設計であり、ポリシー制御とセッションキーを備えたアカウント標準を提供する。対抗馬のFrame Transactions提案(EIP-8141)は、トランザクションの任意の段階で任意のEVMコードによる非構造化検証を認める。実行途中でETHを持たないアカウントが資金を調達する、といったフローも可能にする柔軟路線だ。ハードフォークなしでイノベーションを進められる一方、断片化リスクを伴い、一部の高度なパターンはプライベートメンプールを必要とする。EthlabsのリサーチャーDerek Chiangはかつての比較で、このトレードオフを「シンプルさと制御性 vs. 極限の柔軟性」として整理し、Ethereumのプロトコルアップグレードパスをめぐる論点を浮き彫りにしていた。
新スタックは階層的に整理されている。EIP-8398はアクター、検証者、アカウント設定、作成、クロスチェーン間の移植性を網羅するポータブルなアカウントキーストアを定義。EIP-8399はその上に、0x79というネイティブAAトランザクションタイプを構築し、バッチ化、スポンサーシップ、順序付きノンスを追加する。EIP-8400は両者を必須とし、同一のエンベロープを共有するポリシー、アカウントロック、ノンスなしトランザクションを加える。元のEIP-8130は3仕様の前身として変更されずに残る。コミュニティの読み解きの一つとしては、Frame陣営の柔軟アプローチが大筋で制を握り、L2向けだったキーストアのアイデアが折り畳まれた——どちらの陣営も完全には負けていない——と受け止められている。なお、すべてはあくまで提案段階であり、正式なアップグレードスケジュールへの枠割りはまだ決まっていない。
Glamsterdamのガス再価格設定はステート成長に対処
同じアップグレードの地平には、2021年のベルリン以降で初めて本格的なガス代再設計も載る。次期大型アップグレード「Glamsterdam」には、ステートを再価格設定する2つの提案が含まれる。EIP-8037は新規ステートの作成——アカウント、ストレージスロット、コントラクトコード——のコストを引き上げ、EIP-8038は既存ステートへのアクセスコストを引き上げる。いずれも、価格をネットワークが実際に抱えるリソース量に整合させる狙いだ。背景にあるのはステートの肥大化である。EIP-8037の仕様書は、2026年1月時点でGethのデータベースのうちステート部分が約390GiBに達したと記録する。ブロックガス上限が3,000万から6,000万に倍増した結果、1日あたりの新規ステートは約105MiBから326MiBへと約3.1倍に増加し、年間ペースでは約116GiBに達する。この軌跡を2億のガス上限に比例スケールすると、年間約387GiBとなり、1年以内にパフォーマンス指針の650GiBを突破してしまう。そこで両提案は、新規ステート1バイトあたり1,530ガスという共通コストと、ステート専用のガス次元を設定し、1億5,000万ガスの基準ブロック上限の下で年間約120GiBの成長に収めることを目指す。
値上げ幅は大きい。新規アカウントの作成は25,000ガスから183,600ガスへ約7.3倍、新規ストレージスロットは20,000ガスから97,920ガスへ約4.9倍、アカウントと合わせて24KiBコントラクトをデプロイする場合は4,947,200ガスから37,784,880ガスへと約7.6倍になる。公表された影響ダッシュボードは、2024年12月3日から2026年6月15日までの400万ブロックにわたる929,731,274件のトランザクションを、新旧両方のルールセットで再実行した。その結果、EIP-8037では元の上限では失敗する1億7,447万3,898件が上限引き上げ後に成功する一方、2,687,652件(約0.29%)が「壊れる可能性がある」区分に分類された。EIP-8038では8,470万8,228件が上限引き上げで解決され、3,036,537件(0.33%)が要注意と判定されている。ただしこれらはトランザクション数であり、個別のコントラクト数ではない。同一フローを繰り返すアクティブなアプリが件数を水増しするためだ。上限引き上げでも救済できないハードフロアも残る。固定の2,300ガス手当て、ハードコードされたガス転送、gasleft()による分岐、上限付きの事前署名トランザクションである。Ethereum Foundationの報告書は、ERC-4337のEntryPointやZeroDev、Alchemyのスタック、さらにAcross、Socket/Bungee、CoW Protocol、0xで繰り返し失敗が発生したことを記録しており、イミュータブルなコントラクトは新しいEntryPointやファクトリーとユーザーの移行を必要とする。両EIPは正式なReview段階にあり、ロードマップ上の目標は2026年第4四半期。検証用テストネットPlatåbergetは8月17日に稼働した一方、Sepolia、Hoodi、メインネットのフォーク日は未公表のままだ。 市場をリアルタイムで追いたい読者は、Binanceで現物・先物価格をライブで確認できる。
2026年第4四半期の検証期間が始動
2つの議論を並べて読むと、一本の大転換が見えてくる。Glamsterdamは「アカウントとは何か」と「永続ステートにいくら支払うべきか」の両方を塗り替えようとしているのだ。ノード運営者やウォレット開発チームにとって、現時点で実行可能な対応はまだない。8398/8399/8400のスタックも8037/8038のペアも、アクティベーションブロックもフォーク日も持たず、コア開発者の合流を待つ提案段階のテキストにとどまる。これは、約1,040億ドルのステーク済みETHを量子耐性で守るEIP-8394提案と同じ立ち位置だ。ただし、8月17日のPlatåberget稼働は検証期間の入り口をすでに開いた。COINOTAGの見立てはこうだ。開発者は解説記事ではなく公式のEIP仕様書に対してテストを行うべきである。3分割されたAAのモジュール境界は、新設のステートガス次元と同様に、本番環境で何が壊れるかを左右するからだ。アップグレードパスの基礎から押さえたい読者には、Ethereum 2.0アップグレードガイドから始めるのが近道だ。
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