用語集概念
KYC(本人確認)とは?
KYC(Know Your Customer)とは、暗号資産取引所を含む金融サービスが、マネーロンダリング対策などの法令に基づいて、利用者の身元を確認する手続きです。日本語では「本人確認」と呼ばれ、口座開設時や取引額が大きくなったときなどに行われます。
執筆: COINOTAG Research Desk最終更新 出典
KYCの目的と仕組み
KYCの主な目的は、犯罪収益の洗浄(マネーロンダリング)やテロ資金供与、詐欺、なりすましを防ぐことです。これらの対策は総称してAML/CFTと呼ばれ、KYCはその入り口にあたります。
国際的には、FATF(金融活動作業部会)が各国の対策の基準を定めており、2010年代後半には暗号資産を扱う事業者(VASP)もこの基準の対象に加えられました。送金時に送り手と受け手の情報を事業者間で受け渡す「トラベルルール」も、この流れの中で導入が進んでいます。
日本では、2017年4月1日から暗号資産と法定通貨の交換サービスに登録制が導入されました。登録を受けた取引所は、口座開設の際に本人確認を行います。
暗号資産取引所でのKYCの流れ
事業者や国によって異なりますが、一般的には次のような手順です。
- 基本情報の登録:氏名、生年月日、住所、職業、取引の目的などを入力します。
- 本人確認書類の提出:運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの画像を提出します。
- 本人の撮影:スマホで顔写真や動画を撮影し、書類の本人と同一人物かを確認します(eKYC)。
- 審査:事業者が内容を確認し、問題がなければ取引が可能になります。
- 追加の確認:取引額が大きい場合や、資金の出どころの説明が必要な場合には、追加の書類を求められることがあります。
審査を通過した後も、住所や職業が変わったときには情報の更新が求められます。
KYCが必要なサービスと不要なサービス
| サービス | KYC | 理由 |
|---|---|---|
| 登録を受けた国内の暗号資産取引所 | 必要 | 法令で本人確認が求められる |
| 海外の中央集権型取引所 | 多くは必要 | 各国のAML規制に対応するため |
| 自己管理のウォレット | 不要 | 事業者が資産を預からないため |
| DEX(分散型取引所) | 通常は不要 | スマートコントラクトで直接取引するため |
KYCがないサービスは手軽ですが、トラブルがあっても事業者に救済を求めにくく、利用が各国の規制に合っているかを自分で確認する必要があります。
KYCで注意したいこと
- 偽のKYCを装った詐欺:取引所を装ったメールやSMSで、本人確認書類や顔写真、シードフレーズを送らせる手口があります。正規の事業者がシードフレーズを求めることはありません。
- 個人情報の管理:提出先が登録を受けた事業者かどうかを確認します。金融庁は無登録業者の情報も公表しています。
- 名義貸しの禁止:他人の名義で口座を作ったり、自分の口座を他人に使わせたりすることは、法令違反や犯罪への加担につながります。
よくある質問
KYCとは簡単に言うと何ですか?
金融サービスが利用者の身元を確認する手続きで、日本語では本人確認と呼ばれます。暗号資産取引所では口座開設時に行われるのが一般的です。
なぜ暗号資産取引所で本人確認が必要なのですか?
マネーロンダリングやテロ資金供与、詐欺を防ぐため、法令で求められているからです。日本では、登録を受けた暗号資産交換業者が本人確認を行っています。
KYCにはどのくらい時間がかかりますか?
スマホで完結するeKYCなら、早ければ当日中に終わる場合もありますが、事業者や申し込み状況によって異なります。書類に不備があると追加の確認で時間がかかります。
KYCなしで暗号資産を使うことはできますか?
自己管理のウォレットやDEXではKYCなしで使える場合があります。ただし、法定通貨との交換を行う登録事業者では本人確認が必要で、KYCのないサービスは規制やトラブル時の救済の面で注意が必要です。

