米PARITY法案で少額免税検討、EUがMiCA再点検協議、日立がアンソロピックと戦略提携
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暗号資産ニュース
米国の超党派議員グループは5月19日、暗号資産活動に対する課税の明確化を目的とした「PARITY法案」の最新版を下院に提出した。提案者の一人であるスティーブン・ホースフォード下院議員は、現行の税制がブロックチェーン技術や急速に拡大するデジタル金融の実態に追いついていないと指摘している。最新版には少額取引そのものへの直接的な免税規定は盛り込まれず、代わりに財務省と内国歳入庁(IRS)に対し、180日以内に少額取引の免税可能性に関する暫定指針をまとめるよう要請する内容となった。同法案はさらに、200ドル未満の少額取引が納税者に与える申告負担と、想定される脱税リスクの双方を調査するよう求めている。

欧州委員会は5月20日、世界初の包括的暗号資産規制「MiCA」の運用実態を再点検するため、利害関係者および一般市民を対象とする意見募集を開始した。施行から約2年が経過する中で、ステーブルコイン分野の拡大や米国の規制整備の進展を踏まえ、現行制度の適用範囲と要件の妥当性を再評価する狙いがある。協議は8月31日まで実施され、市民向けの公的協議と業界向けのターゲテッド協議の二本立てで進められる。発行者要件、暗号資産サービスプロバイダー(CASP)の監督体制、トークン分類のあり方が主要論点として浮上しており、寄せられた意見は今後の制度改定の基礎資料となる見通しだ。
日立製作所は5月19日、AIモデル「Claude」を提供する米アンソロピックとの戦略的パートナーシップを発表した。両社は社会インフラ領域での「フィジカルAI」の安全な実装と、日立グループ約29万人規模での業務改革を並行して推進する。事業モデル「Lumada 3.0」を強化し、電力・交通・製造・金融といったミッションクリティカル領域でシステム開発・運用の高度化を進める計画だ。日立はまた、約10万人規模のAIプロフェッショナル人財の育成と、北米・欧州・アジアを横断する「フロンティアAIデプロイメントセンター」の設立を表明。当初100人体制で発足し、将来的に300人規模まで拡大する方針だ。
米上院商務委員会は5月20日、Kalshiやクリプトドットコムなどが運営する予測市場プラットフォームを対象とした公聴会を開いた。スポーツベッティング機能の拡大に対し、テッド・クルーズ委員長は選手による意図的な操作疑惑や試合の信頼性低下への懸念を表明。複数のNBA関係者やメジャーリーグ投手の不正告発事案が引き合いに出された。一方、予測市場業界を代表する元下院議員パトリック・マクヘンリー氏は、未成年への取引提供は許可されておらず、利用者の平均年齢は33歳だと反論した。連邦規制と州規制との整合性、広告手法の妥当性が、今後の制度設計に向けた焦点となる。

英国拠点の暗号資産カストディ企業Copperが、約5億ドル規模での売却を模索していることが明らかになった。投資銀行のキャンター・フィッツジェラルドが売却プロセスの助言役に起用されたとされる。同社の中核資産は、ネットワーク参加者がオンチェーンに資産を移すことなく機関投資家間でデリバリー・バーサス・ペイメント(DvP)決済を可能とする「ClearLoop」プラットフォームで、月間想定取引高は500億ドルを超える。ビットコインが8万ドルを下回る相場環境と、資金がAI関連投資に集中する状況の中、暗号資産業界のIPO市場は停滞しており、M&Aによる戦略的再編が主軸となりつつある。
アンドリーセン・ホロウィッツが出資するSyndicate Labsが事業終了を表明し、ガバナンストークン「SYND」は過去最安値となる0.01061ドルまで下落した。同社は2021年に2,000万ドルのシリーズA調達を実施し、当初はDAO向けインフラを構築。後にDAO(分散型自律組織)向けのロールアップ基盤に事業をピボットさせていた。同社は声明で、EVMロールアップ市場が縮小し、新規立ち上げを上回るペースで既存ロールアップが静かに撤退していると指摘。先月発生したCommons Bridgeの不正流出事案との関連は否定したものの、約1,850万SYNDが攻撃者により売却された経緯は、トークン価格の長期的な信認低下に影響したとみられる。
今週の動きを通底するのは、規制の輪郭が地殻変動的に再構築される局面に世界の暗号資産市場が入りつつあるという事実である。米国ではPARITY法案やCLARITY法案、GENIUS法といった包括的な立法プロセスが並走し、EUは施行済みのMiCAを再点検フェーズに移行させた。同時に、日立とアンソロピックの提携や、Copperの大型売却交渉が示すように、機関投資家インフラとAIインフラの境界線は急速に曖昧になっている。アルトコイン個別銘柄では撤退と淘汰が加速し、業界の重心は明確にインフラ統合と制度整備の両輪へ移行している。