Strategy、バランスシートの91%は「返還不能」なBitcoin(BTC)と主張ーJPMorganとの比較で
Strategyがバランスシートの91%は返還不能なBitcoin(BTC)と主張。JPMorganのマイナス1兆2,000億ドルの資金ギャップと対比、短期資金ギャップはゼロ。
Strategyの「91%」主張と銀行モデルの対比
旧MicroStrategy、現Strategyは自社のバランスシートの91%が「誰も取り返せない資金」で構成されていると主張した。一方、米最大手銀行のJPMorganは、顧客がいつでも引き出せる預金に依存する経営を続けている。この主張は、同社が今週投資家向けに提示したスライドによるもので、Strategy自身の短期資金ギャップをゼロ、JPMorganをマイナス1兆2,000億ドルと試算し、この対比をもって自社の構造がより安全な設計だという証拠としている。投資家向けの比較を示す投稿の中で同社は「MSTRはTradFiを反転させる」と宣言した。ただし、その定義自体がStrategy自身の手で書かれたものである点には留意が必要だ。スライドの裏にある実質的な論点は、部分準備銀行制度の核心にある満期のミスマッチだ。銀行は短期で調達し長期で貸し出すため、預金は数時間で消失しうる一方、貸出は回収までに数年を要する。保険制度、規制当局、中央銀行信用はまさにそのギャップを埋めるために存在しており、短いテナーの資金調達を長いテナーの資産の上に積み上げるこのレバレッジ構造は、リスクの論理においてAIトレーディングボットのようなレバレッジ活用ではなく、アルトコイン取引におけるAMM関連の解説で扱われるような信用取引(マージン取引)と同型の構造を呈する。その教訓的な事例がシリコンバレー銀行(SVB)だ。2023年3月のたった一日で顧客は420億ドル、預金全体の4分の1にあたる引き出しを要求し、規制当局は翌朝、同銀行を閉鎖した。Strategyの中核的な主張は「自分たちには預金者がそもそも存在しない」ということだ。同社は845,050 BTCを保有しており、その調達は主に永久優先株ー固定配当を支払い、満期が一切ない株式ーを通じて行われた。提出書類を読む限り、9月8日付の開示には12カ月以内に期限が到来する債務は確認されなかった。つまり同社は預金流出リスクを、金庫への恒久的なHODLコミットメントへと置き換えた形であり、91%という数字は「相手方が要求すれば即座に引き出せる資金が存在しない額」を測っている。
比較を示す投稿https://x.com/Strategy/status/2097733427768201449?s=20
845,050 BTCの裏にあるコスト構造
スライドが語らない部分は「48%」という数字から始まる。JPMorganの6月提出書類によれば、預金は2兆7,100億ドル、総資産は5兆200億ドルに達し、割合にして54%だ。つまり、Strategyの比較で示されたより小さな数字側は、同社自身が選別したバスケットだということになる。これは見慣れたパターンでもある。先週も、Berkshire Hathawayとの準備資本比較が、同社自身の提出書類が実際に示す内容を上回る形で展開された。より厳しい制約は資産側にある。Strategyは1コインあたり平均75,415ドルで取得しており、執筆時点でBitcoinは約78,300ドル近辺で取引されている。つまり総額668億ドルのポジションは、取得原価をわずか5%上回る水準にとどまっているのだ。コストは時期を問わず発生し続ける。同社は第2四半期だけで4億700万ドルの優先株配当を支払い、その支払いと67億1,000万ドルの債務に充てるため51億ドルの現金準備を確保している。この維持コストは夏場にあからさまに現れた。Strategyは8月下旬までの10週間にわたりBitcoinを一切購入せず、一方で32億8,000万ドルのドル建て資金を調達しながら、1ドルたりともコイン購入に充てなかった。また、セーフティネットも存在しない。預金保険と連邦準備制度(FRB)の貸し出しは2023年の銀行取り付けを止めたが、Bitcoinが下落した場合にコーポレート・トレジャリーを支えるバックストップは誰も提供していない。資産そのものは2021年の最高値から2022年の安値まで77%下落しており、Strategyはそのようなシナリオで何が最初に破綻するかー配当の停止が許されない優先株配当ーをすでに想定済みだ。 市場をリアルタイムで追いたい読者は、Binanceで現物・先物価格をライブで確認できる。
二つの設計、二つの破綻モード
この比較には、二つの異なる破綻モードが並び立っている。銀行は「ドアの前に群がる群衆」によって死に、Strategyの構造は「一つの価格チャートと、停止できない配当」によって死ぬ。当社の分析では、ここでの根幹をなす一次記録はマーケティング用のスライドではなく、9月8日付の提出書類そのものであり、この書類こそが12カ月以内に期限到来する債務が存在しないこと、および配当と債務返済に充当する51億ドルの準備金を裏付けている。91%という主張は同社がコントロールできる算数だが、75,415ドルの取得原価と現在の市場価格との間にある約5%のクッションは市場が決めるものだ。そして、この設計が実際に試される場面は預金流出ではなく、まさにそこなのだ。
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