金融庁が仲介業登録説明会、ファセットが80億円調達、StrategyのSTRC取引高15億ドルへ
目次
暗号資産ニュース
金融庁は5月15日、改正資金決済法で新設される「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」制度の登録事前説明会をオンラインで実施した。2026年6月上旬の施行を見据え、事業者向けに制度概要から登録申請手続きまでが解説された。注目された「画面遷移の有無」については、媒介該当性の決定要素ではないとの解釈が示され、取引相手が交換業者であることが明示されかつ独自の勧誘や条件交渉を行わない場合は媒介に至らないとの整理が提示された。仲介業は所属制を採用し、財産預託は禁止される一方、株式会社要件や財務要件、マネロン本人確認義務は課されず、暗号資産交換業より緩和された規制が適用される。オンラインゲーム事業者やマーケットプレイスからの参入が見込まれ、メルカリやSBI証券、マネックス証券の関心も既に報じられている。

米上院銀行委員会では5月14日、デジタル資産の市場構造を定める「CLARITY法」が可決され、本会議審議へと前進した。a16z cryptoのジェネラルカウンセル、マイルズ・ジェニングス氏は今回の動きを「1933年証券法以来の規制パラダイム転換」と評価している。同法はブロックチェーンを「企業」と法的に区別する初の枠組みであり、証券取引委員会と商品先物取引委員会の管轄を整理する点が特徴だ。同日には、イングランド銀行がステーブルコイン規制案を再考するとの報道、米CFTCによる予測市場関連のノーアクション発出、ビットワイズによるハイパーリキッド(HYPE)現物ETFのNYSEアーカ上場開始など、規制と商品設計を巡る動きが相次いだ。フィデリティも機関投資家向けトークン化流動性ファンド「FILQ」を開始している。
東証グロース上場のアライドアーキテクツは5月15日、事業戦略説明会を開催し、これまでの「クリプト関連事業」を「資産AX事業」へ改称したことを明らかにした。同社は4月に開示した総額31.5億円規模の資金調達を通じ、ビットコイン・イーサリアム(ETH)・ソラナ(SOL)の運用と企業向けオンチェーン導入支援を本格化する方針だ。米ナスダック上場のDeFi Development Corpとマッコーリー・バンクが割当予定先となっている。最高暗号資産責任者の大木悠氏は、インフレや円安が進行する局面で現預金のみでは資産価値を守りにくいと指摘し、デジタル資産運用システムの構築を通じて企業の資産戦略を変革する構想を提示した。イーサリアムチェーン特化のNyx FoundationとAIエージェント運用のセキュリティ共同研究にも着手する。
大手取引所バイナンスのリサーチ部門は5月15日、世界の暗号資産ユーザー数が2030年までに30億人へ拡大する可能性があるとの試算を公表した。現在の7億人超から世界人口の半分近い水準への到達を見込む内容で、ETF承認や機関投資家参入、ステーブルコイン規制整備といった追い風がある一方、普及ペース加速を阻む構造的な「4つの壁」を指摘した。具体的には口座開設の複雑さ、保有資産の遊休化、情報分散、チャートやオンチェーンデータの理解難度を課題として挙げている。取引機能に利回り・ソーシャル・AI分析を統合した「垂直統合型プラットフォーム」が次世代の競争軸になるとし、特にコミュニティ機能は普及率を最大13ポイント押し上げる可能性があるとの試算が示された。

ビットコイン財務企業Strategyの永久優先株「STRC」の取引高が5月14日、15億3,000万ドル(約2,448億円)へ急増し過去最高を記録した。直近30日間の1日平均取引高約3億4,100万ドルの4倍超に相当する水準で、額面の100ドルを上回って約定した出来高比率は90.87%に達した。STRCは2025年7月に上場した変動配当型の永久優先株で、年率11.5%の配当を毎月現金で支払う設計となっている。マイケル・セイラー会長はXで「過去最高の取引高、流動性15億3,000万ドル」と投稿。希薄化を伴うコモンエクイティ追加発行や転換社債に頼らずビットコイン購入資金を調達する主要手段として位置付けられており、第1四半期決算会見では「世界最大級の信用商品に育てる」方針が示されている。Strategyは3月以降10万1,147 BTCを取得済みだ。
仮想通貨フィンテック企業ファセットは5月14日、シリーズBラウンドで5,100万ドル(約80億円)の資金調達完了を発表した。出資者にはSBIグループ、バーレーン系インベストコープ、トルコ系アルズ・ポルトフォイなど複数の戦略的ファミリーオフィスが参加。同社はロサンゼルスを拠点に、ステーブルコインを活用した銀行・決済プラットフォームをアジア・アフリカ・中東の50以上の送金コリドーで展開し、125カ国以上で200万を超えるウォレットを保有、1,000社超の中小企業向けに年換算320億ドル超の取引を処理している。UAEやインドネシア、マレーシア、EU、トルコ、パキスタンなどでライセンスを取得済みで、シャリア準拠モデルも採用する。調達資金は新市場参入、トレードファイナンス商品開発、AI対応金融インフラ「Fasset's Own Network」拡充に充てられ、トークン化された実物資産(RWA)の日常利用浸透が狙いだ。

今サイクルの一連の動きを貫くテーマは「制度化と実需接続」だ。日本の仲介業創設や米CLARITY法可決、ポーランドのMiCA対応法案可決は、規制の不確実性を市場拡大の制約として整理してきた業界に対し、参入と資本配分の長期視点を可能にする土台を提供しつつある。Strategyの優先株を通じたビットコイン調達拡大やフィデリティのトークン化ファンド組成は機関資金の継続流入を示し、ファセットやDeFi関連投資の活発化は新興国実需とブロックチェーン金融インフラの接続を加速する。アルトコイン個別の話題から離れ、規制・資本・実需が三位一体で進行する構造変化が鮮明になっている。