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【墨汁うまい氏寄稿】イーサリアムでの463億円ハッキング被害はDeFiをより強固にするきっかけとなる

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NADA NEWS編集部
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更新者Kenji Suzuki
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【墨汁うまい氏寄稿】イーサリアムでの463億円ハッキング被害はDeFiをより強固にするきっかけとなる

暗号資産(仮想通貨)専業11年目の墨汁うまい(@bokujyuumai)です。イーサリアム(Ethereum: ETH)及びL2展開を行うアービトラム(Arbitrum: ARB)ではDeFi(分散金融)における巨額の取引が日々行われている一方、2026年4月19日に463億円という巨額のハッキングが起きました。

DeFiのシステマティックリスクが指摘される一方、現在はプロジェクト同士のサポートは強固であり、この危機を脱して新たな成長をしようとしているのです。本稿では今回のアーべ(Aave)の巨額不良債権におけるシステマティックリスクから、DeFiがより強固となるきっかけとなる理由についてわかりやすく解説を行います。

関連記事:【墨汁うまい氏寄稿】暗号資産463億円ハッキング被害は何が起きたのかを理解する

アーべの巨額不良債権へのサポート

アーべはイーサリアムの流動性ステーキングであるライド・ファイナンス(Lido: LDO)を除くとDeFiで最大のTVLを誇るレンディングであり、暗号資産(仮想通貨)で最も使用されているDeFiプロジェクトであるということになります。

そんなアーべですが、ケルプ・ダオ(KelpDAO: KERNEL)の463億円規模のハッキングにより、盗まれた11.65万rsETHが担保として利用され、レンディング最大手のアーべから約10万ETHが借り入れられました。また、ハッキングの影響でリスク回避売りによるrsETHの価格が約17%下落、これによりETH借入額が担保価値を上回る状態となり、約368億円の不良債権が発生しました。

この金額はアーべが不良債権カバーに用意していたアンブレラ(Umbrella)では十分な補填はできず、さらにライド・ファイナンスが提供していたライド・アーン(Lido Earn)もアーべを利用していたことでDeFi全体のプロジェクトが損失を受ける「システマティックリスク」となってしまったわけです。

一方でこの危機を乗り越えるために、アイゲンレイヤー(EigenLayer: EIGEN)などのイーサリアム流動性リステーキングプロジェクトのイーサファイ(EtherFi: ETHFI)が5000ETH、ライドが最大2500ETHを提供すると発表。次々とDeFiプロジェクトが今回の不良債権のサポートを申し出ているのです。

ETH超速報:KelpDAOのLayerZeroブリッジ巨額ハックとAaveの不良債権事件に伴い、影響を受けたDeFiプロジェクトが損失を受けた ethereum:0xa1290d69c65a6fe4df752f95823fae25cb99e5a7 への救済を発表

Etherfi( ethereum:0xfe0c30065b384f05761f15d0cc899d4f9f9cc0eb ):5000ETH
Lido(… https://t.co/w1uUX9eVgA pic.twitter.com/rDNTZtFWei

— 墨汁うまい@web3川柳コンテスト2026 by NADA NEWS (@bokujyuumai) April 23, 2026

DeFi Unitedのムーブへ

当初はハッキングの当事者であるレイヤーゼロ(LayerZero: ZRO)とケルプダオなどのみであったものの、「DeFi United」という名称で貢献を募り、0x0fCa5194baA59a362a835031d9C4A25970effE68には多くの有志による寄付が少額からでも送られているのです。本記事執筆時は一般ユーザーからの寄付は597.09ETH、約2.14億円相当にものぼり、USDCやUSDTのようなステーブルコインも約7000ドル集まっている状態です。

またアービトラムがハッカーが保管していた30,765ETHを特殊な方法で凍結したことや、マントルの3万ETHのローン、アーべDAOが2.5万ETHにレイヤーゼロが5000ETHなどを提供しているため、DeFiプロジェクト側だけでも137,215ETHが集まっています。

マントルの3万ETHローンを受けないとしても10.7万ETHがあり、サークル・ベンチャーなどの未発表額を合わせると、アンブレラ含めて損失を100%カバーできることがほとんど確定と言っても過言ではありません。

DeFiシステマティックリスク

今回の被害は一見するとケルプ・ダオとアーべなどのレンディングだけが被害を受けている様に見えますが、複雑に絡み合うDeFiにおいては被害はより広範囲になってしまうのです。例えば今回のDeFi Unitedにおけるサポートを表明しているライドではstETHの流動性ステーキングとは別に、利用ユーザーの資金をDeFiを活用して運用し、より高い運用利回りを提供するライド・アーンを提供していました。

このライド・アーンではアーべを介してレバレッジ運用戦略を行っており、そのうちに運用されている金額のうち9%がrsETHにエクスポージャーであったことが判明しているのです。このような運用戦略はデルタニュートラルを活用したステーキングのヘッジを行うDeFiなども取っているものでもあり、この不良債権をカバーできなければアーべでのETHやrsETH貸付を行っているユーザーだけでなく、さらに多くの被害が連鎖的に発生。2022年末のFTX破産からの連鎖倒産という状況と同じ状態になりかねなかったということになるわけです。

これは「コントラクトとトークンの状態」というイーサリアムが生み出した独特な仕組みを活用し、複数のコントラクトがレゴブロックの様に複雑に積み上がるコンポーザビリティにより、基礎となるブロック(ここではアーべ)が崩れると全体が倒壊するシステマティックリスクが現実になってしまったわけです。

これを機にDeFiは次のレベルに成長する

一方で今回の巨額不良債権はアーべという基礎ブロックが崩れたことで、DeFiプロジェクト全体がDeFi Unitedで動いたことになり、今後のDeFiの在り方を変えていく大きな変革のきっかけとなると墨汁うまいは考えています。

というのも既存金融の歴史も失敗から学習しており、今日の強固な金融システムが構築されているわけです。例えば1929年の世界恐慌では株価暴落からの銀行取り付け騒ぎ、破綻からの連鎖的倒産という経済へより大きく被害が波及する形となりました。その結果として米国ではFDIC、連邦預金保険公社が設立され、その結果として2023年3月11日のシリコンバレー銀行の経営破綻による損失をカバーできたわけです。

サークル社のUSDCも預金を33億ドルしており、約8.25%が失われる可能性があったものの、FDICが特別措置としてすべての預金を保証したことで事なきを得ているのです。

暗号資産の歴史だけでなく、1987年のブラックマンデーからサーキットブレーカーが導入、2008年のリーマン・ショックなど経済影響は与えたものの、既に経験があることから対策を整えていたことが大きな理由です。

直近ではコロナショックが2020年に起きましたが、それに対してFRBは直前までタカ派だったもののゼロ金利政策に量的緩和と資金を注ぎ込んだ結果、コロナバブルが起きたのです。

従って今回のようなDeFi全体を揺るがす初のシステマティックリスクは、各プロジェクトが自分たちだけの利益を考えるだけでなく、次の何かしらのDeFiリスクに備えるための対策をこれから数年かけて環境を整えていくきっかけになると墨汁うまいは考えているわけです。その足がかりとなるのがDeFi Unitedであり、アービトラムの特殊な凍結はL2及びイーサリアムエコシステムの成長を促していくことになるでしょう。

関連記事:【墨汁うまい氏寄稿】アービトラム113億円相当のイーサリアムをどのようにして凍結したのか?今後のL2課題が浮き彫りに

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