via NADA NEWS · NADA NEWS編集部著
賞金はビットコイン──日本初を謳うビットコイン投げ銭お笑いライブ「Lightning Comedy Live」
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ロングが支払い

2026年4月25日、東京・四ツ谷の「Tokyo Bitcoin Base (TBB)」の1周年記念イベントの一環として、賞金がビットコインで支払われるお笑いライブ「Lightning Comedy Live」が開催された。日本初を謳う本ライブは、サンミュージックプロダクション所属の若手芸人6組がビットコインに関連するネタを披露。観客は、ライトニング・ネットワークでビットコインの投げ銭を行いながら、最後の投票で順位を決めるという企画になっている。MCを務めたのは、かつて「エンタの神様」にもレギュラー出演していた生徒会長金子氏だ。
「優勝賞金1ビットコイン」が当たり前になる世界を
ライブの冒頭、開催趣旨を語ったのが、TBBを運営するANAPホールディングス代表取締役社長の川合林太郎氏だ。ANAPは、ビットコイントレジャリーカンパニーとして知られており、日々ビットコインの普及活動に取り組む。
「私たちは、日本でビットコインを再び広げたいという思いで活動している。今日のように、ビットコイン賞金のお笑い大会というのは、まだ特殊に見えるかもしれない。しかし数年後、数十年後には『優勝賞金は1ビットコイン』というのが当たり前になる世界を実現したい」(川合氏)
なぜビットコインとお笑いが結びついたのだろうか。
「単純に私が、お笑いが好きだということもある。正直なところ、お笑いでなくてもいいのだが、どの分野でも、ビットコインがお金と同じように、日本円やドル、ユーロと同じように、違和感なく決済され、やり取りされる世界を目指している」(川合氏)
もう一つ、川合氏が強調したのが「パトロン」という観点だ。M-1グランプリの優勝賞金は1,000万円。これは1ビットコイン以下の金額だが、エントリーするコンビ数は1万数千組にのぼる。そのうち、お笑いだけで食べていける芸人はごく一部でしかないだろう。
「お笑いは日本の一つの文化だ。文化を支えるものには、昔からパトロンと呼ばれる存在が各分野にいた。そのパトロンにビットコインがなる、というのもビットコインの社会実装の一つだと思っている」(川合氏)
今回の企画を、芸能事務所のサンミュージックプロダクションに打診したところ、こうした趣旨を受けて快く出演を引き受けてくれたのだという。
投げ銭はQRコードから、コメントも添えられる
開演前、観客には投げ銭の仕組みが説明された。座席前に貼られたQRコードを読み込み、各芸人のネタが進行している間に、ライトニング・ネットワークを通じて任意の金額を投げ銭できる仕組みだ。最小単位は1サトシ(当時のレートでおよそ0.12円)から。コメントを添えることもでき、後日、各芸人には金額とコメントが集計されて届けられる。
注意点は一つ。投げ銭ができるのは、その芸人がネタを披露している間だけ。ネタが終わった後では、次の出演者への投げ銭になってしまう。
6組の若手芸人がネタを披露
1組目に登場したのは2018年結成の「青御膳」。「有名人の名前を思い出せない」という悩みから、GReeeeNとMAN WITH A MISSION、バンクシーとゲッターズ飯田を混同しながら、最後はビットコインの開発者「サトシ・ナカモト」と相方の正体が同一人物ではないかと疑い始める。混同のスピードが上がっていく構造的な漫才で、ビットコイン界隈に親和性の高い「サトシ・ナカモト」の扱いも光った。
2組目の「山田切磋タクマ」は、29歳・実家暮らし・学ラン姿のピン芸人だ。タイマーで時間を測りながら、ビットコイン関連用語のカードを引き、30秒以内に日常の出来事に例えて説明するという即興スタイルでネタを披露。「ブロックチェーン」は近所のゴミ当番の監視、「マイニング」はスーパーのタイムセール、「秘密鍵」はお寿司の醤油──。慌てふためく息切れ感がそのままネタの推進力になっていた。
3組目の「美咲天馬 天馬」は、東京工業大学で情報工学を学んだ経歴を持つピン芸人。「ブロックチェーンを搭載したたまごっち」という発想で、新ビジネスを観客にプレゼンする漫談だった。お世話の二択ゲームを「マイニング」、餌代を「ガス代」、うんちの掃除を「51%攻撃」と読み替えていく構成は、技術用語の正確さで会場の笑いを誘った。「この企画を抱えて、バンダイに駆け込み提案したい」と本気でビジネス化を語っていたのが印象的だった。
4組目の「ぽ〜くちょっぷ」は、相方が介護士として働いている漫才コンビ。ビットコインをYoutubeで学んでいるという話から、「海外取引所でビットコインを100万円分買ったら、本人確認で引き出せなくなった」というリアルな失敗談へと展開した。相方が「どこの取引所?」と聞くと「そんなのここで言えるわけないだろう」と叫び、ネタを超えた切実さを帯びていた。
5組目の「シャンソン姉さん」は、シャンソン「マイウェイ」のメロディに乗せて、自身が2024年に投じた250万円分の「草コイン」が、現在257円になっているという実体験を歌い上げた。草コインの上場廃止審査、USDT建てでしか買えない海外取引所の構造、XRPに替えていれば15倍になっていた──といったエピソードを、すべて歌詞に組み込んだその執念に圧倒された。
最後の「ぶたマンモス」は、相方の本名が「サトシ・ナカモト・ジュニア」というボケからスタート。好きなアイドルの話題となり「フルーツジッパー」ならぬ「ベジタブルファスナー」を推しているという。ネギ・ニラ・パクチーという薬味系メンバーで「ライトニング決済対応」のアイドルライブを再現した。「卒業」のことを「出荷」と呼んだり「ファン」を「農民」と呼んだりするなど、世界観を貫き通したネタは、最後のトリにふさわしいネタだった。
ビットコインが、エンタテインメントの現場で機能
すべてのネタが終わったあと、観客は一番面白かった芸人に投票する時間が設けられた。投げ銭で獲得した金額とは、また別の評価がここで下される。そして、いよいよ結果発表──。
3位は、ビットコイン100万円が引き出せなくなった「ぽ〜くちょっぷ」。2位は、相方がサトシ・ナカモト疑惑の「青御膳」。そして優勝者は──。
草コインを購入した「シャンソン姉さん」だ。暗号資産の取引に詳しい観客にとって、シャンソン姉さんの悲惨なネタが、リアルな笑いへとつながったのだろう。
入賞者には、投げ銭されたビットコインに加えて、賞金として5万円分、3万円分、2万円分のビットコインが贈られる。さらに優勝したシャンソン姉さんには、トロフィー代わりにフィジカルのコイン型ビットコインも贈呈された。
シャンソン姉さんは「今、楽屋で草コインの価値を見たら2円下がってて255円になっていた。今はみんなに『草姉』と呼ばれている」とコメント。自身の実体験が優勝につながったことへの喜びを語った。
今回のお笑いコンテストは、ライトニング・ネットワークが媒介することで、ライブ中のリアルタイム投げ銭を成立させることができた。前述の通り、賞金もビットコインで支払われる。決済手段としてのビットコインが、エンタテインメントの現場でどう機能するかという、小さな実証実験でもあった。コンテスト自体は大いに盛り上がり、第一回の試みは成功したと言えるだろう。
次回開催は未定だが、ビットコインとお笑いという異色の組み合わせが今後どう育っていくのか、引き続き注目してもらいたい。
