用語集指標
時価総額(Market Cap)とは?
時価総額(Market Cap)は、資産の現在価格に流通量を掛けて求める市場全体での評価額で、規模を比べるための基本指標です。
執筆: COINOTAG Research Desk最終更新 出典
どのように機能するのか?
時価総額は固定された金額ではなく、価格が動くたびに計算し直されます。価格が上がるか、新しいトークンが市場に出回れば増え、価格が下がれば減ります。つまり時価総額は「どこかに積み上がったお金」ではなく、直近の取引価格を流通量全体に当てはめた数字です。
計算に使う数量によって結果が変わります。標準的な定義では循環供給量(流通量)を使い、ロック中のトークンや未発行分は含めません。それらは後述の完全希薄化後評価額(FDV)に反映されます。
歴史と発展
時価総額はもともと株式の概念です。米国証券取引委員会(SEC)の投資家教育サイトInvestor.govは、1株の市場価格に発行済株式数を掛けたものと定義しています。日本でも東証の上場企業の規模は時価総額で比べられ、TOPIXの規模別指数(Core30、Large70、Mid400など)も時価総額と流動性をもとに銘柄を分けています。
暗号資産の銘柄数が増えると、同じ式で規模順に並べる方法が定着しました。その後、全供給量で計算するFDVや、各コインがオンチェーンで最後に動いた価格で評価する「実現時価総額(Realized Cap)」といった暗号資産ならではの派生指標も使われるようになりました。
重要な概念
- 流通量(循環供給量):いま市場で自由に売買できる数量。
- 総供給量:ロック分を含め、これまでに発行された全数量。
- 最大供給量:プロトコルが定める上限。ビットコインは2,100万BTC。
- ビットコイン・ドミナンス:暗号資産全体の時価総額に占めるビットコインの割合。
- 出来高:一定期間に売買された金額。時価総額の裏にある取引の厚みを示します。
時価総額の計算方法
時価総額 = 価格 × 流通量
計算例(架空の数字):トークン「ABC」の価格が2ドル、流通量が5,000万枚なら、時価総額は2×5,000万=1億ドルです。価格が2.5ドルに上がれば1億2,500万ドル。価格が2ドルのままでも新たに1,000万枚が流通すれば1億2,000万ドルに増えますが、この増加は需要ではなく供給によるものです。時価総額が増えても、新しい資金が流入したとは限りません。
FDV(完全希薄化後評価額)との違い
FDVは価格に最大供給量(上限がなければ総供給量)を掛けた値で、すべてのトークンがいまの価格で流通した場合の規模を示します。上の例で最大供給量が5億枚ならFDVは10億ドルで、時価総額の10倍です。供給の9割がこれから市場に出てくることを意味し、アンロックの予定はトークノミクスで確認します。両者が近ければ、供給の大部分はすでに流通しています。
株式の時価総額と暗号資産の比較
株式の時価総額は株価×発行済株式数です。考え方は同じでも、材料が違います。
| 株式 | 暗号資産 | |
|---|---|---|
| 計算式 | 株価×発行済株式数 | 価格×流通量 |
| 数量の根拠 | 企業の開示資料 | プロトコルのルールとオンチェーン記録 |
| 数量が変わる要因 | 増資、自社株買い | 発行、バーン、アンロック |
| 価値の裏付け | 企業の資産と利益 | ネットワークの利用とトークンの機能 |
NVIDIA(NVDA)の株価やApple(AAPL)の株価のページに表示される時価総額もこの式で計算されます。株式ではPER(株価収益率)のように時価総額を利益と結び付ける指標がありますが、暗号資産には直接対応するものがありません。
規模区分:大型・中型・小型
米国の業界自主規制機関FINRAの投資家教育では、おおよそ「メガ」2,000億ドル以上、「大型」100億〜2,000億ドル、「中型」20億〜100億ドル、「小型」2.5億〜20億ドル、「マイクロ」2.5億ドル未満という目安が示されています。ただしFINRA自身が固定された境界はないと明記しており、機関によって基準は異なります。暗号資産にも公式な区分はありません。
時価総額からわからないこと
- 流動性:時価総額が大きくても出来高が薄ければ、大口の売りで価格は大きく動きます。
- 資金の出入り:少量の取引でも全流通量が評価し直されます。
- 保有の偏り:供給の多くが少数のウォレットに集中していることがあります。
- 割安・割高:時価総額が小さいことは「割安」を意味しません。規模と評価は別物です。
価格ページの時価総額表示の読み方
COINOTAGのビットコイン価格やイーサリアム価格のページでは、価格と流通量から計算した現在の時価総額が表示されます。米国株・ETF・コモディティの価格では、同じ表示が発行済株式数をもとに計算されます。読むときは、ページ上の24時間出来高、FDVとの差(表示がある場合)、そして過去最高値(ATH)と比べた現在の位置をあわせて確認すると全体像がつかみやすくなります。
実用例
例(架空の数字):トークンAは50ドル×流通2,000万枚で時価総額10億ドル。トークンBは0.05ドル×流通300億枚で時価総額15億ドル。単価だけを見るとBが「安く」見えますが、規模はBのほうが大きいのです。さらにAのFDVが11億ドル、Bが60億ドルなら、Bの供給の大半はまだ市場に出ていません。この比較は割安・割高を判断するものではなく、2つのトークンの規模と供給構造を同じ言葉で説明するためのものです。暗号資産全体の時価総額が長く増え続ける局面は強気相場と呼ばれます。
関連用語と次のステップ
時価総額は、供給の成り立ち(流通量、トークノミクス)、実際の取引量(出来高)、価格の歴史的な位置とあわせて読むと意味が深まります。株式側の動きはTradFiニュースで追えます。
よくある質問
時価総額とは何ですか?
資産の現在価格に流通量を掛けた、市場全体での評価額です。価格や供給量が異なる資産の規模を同じ尺度で比べるために使われます。
時価総額はどう計算しますか?
時価総額=価格×流通量です。たとえば価格2ドル、流通量5,000万枚のトークンなら時価総額は1億ドルです(数字は例です)。
時価総額とFDVの違いは何ですか?
時価総額は流通量だけを使います。FDVは最大供給量(または総供給量)を使い、すべてのトークンが流通した場合の規模を示します。差が大きいほど、今後市場に出る供給が多いことを意味します。
株式と暗号資産の時価総額は同じ計算ですか?
考え方は同じで、価格に流通している数量を掛けます。株式では企業の開示資料にある発行済株式数、暗号資産ではプロトコルのルールとオンチェーン記録で決まる流通量を使います。
時価総額が小さいコインは割安ですか?
いいえ。時価総額は規模の指標であって評価の指標ではありません。小さいことは規模が小さいことを示すだけで、割安かどうかは判断できず、流動性が低いことも多くあります。
時価総額は価格について何を教えてくれますか?
時価総額は価格の結果であり、将来の価格を示すものではありません。価格が動けば時価総額も動くため、現在の規模を表す数字として読むのが適切です。

