自民党がオンチェーン金融提言、野村系がOCC条件付き承認、金融庁が仲介業制度を施行
暗号資産ニュース
自民党ブロックチェーン推進議員連盟は6月1日、片山さつき財務大臣に対し、暗号資産税制やオンチェーン金融に関する制度整備を求める提言を手交した。提言は、暗号資産規制を金融商品取引法下へ移行することを前提とした申告分離課税の導入、暗号資産同士の交換時の課税見直し、相続税・寄付税制の整理を柱に据える。さらに個人向けデリバティブのレバレッジ倍率を現行2倍から段階的に引き上げる検討や、暗号資産ETFの制度整備、無登録業者対策の強化も盛り込まれた。証券の発行・保有・取引・収益分配がブロックチェーン上で完結する「オンチェーン金融」を国家戦略として位置づける姿勢が鮮明となった。

SBIネオメディアホールディングス、電通、電通デジタルの3社は6月1日、金融とメディアを融合する戦略的業務提携を締結したと発表した。提携の中核には、ステーブルコインとWeb3技術を活用した広告取引のオンチェーン化が据えられ、メディアやアフィリエイター、インフルエンサーへの広告報酬をブロックチェーン上で直接処理する仕組みの構築が検討される。3社は地方創生、データ活用、AI開発、広告エージェンシー機能など6分野での協業を打ち出し、「SBIネオメディア生態系」と「感情経済圏構想」の実現を掲げる。利用するステーブルコインの種類や時期は未公表だが、広告決済の透明性向上とコスト削減に向けた実証が今後本格化する。
野村ホールディングス傘下のデジタル資産企業レーザーデジタルは5月29日、米通貨監督庁(OCC)から「Laser Digital National Trust Bank」設立の予備的条件付き承認を取得したと公表した。新銀行は連邦監督下の信託銀行として、外国為替・ステーブルコイン仲介、デジタル資産と伝統資産をまたぐクロスマージン型担保管理、トークン化資産の信託保管を機関投資家向けに展開する計画だ。預金受入れや貸付は行わず、信託業務に専念する。運用資産2億5,000万ドル超を有する同社は、スイス、UAE、日本の事業基盤を米連邦規制の枠組みに統合する狙いで、最終認可までは6〜12カ月を見込む。

OCCの動きは業界全体へ波及している。2025年初頭以降、15社の暗号資産関連企業が連邦認可を申請したとされ、リップル、サークル、BitGo、Paxos、ストライプ子会社Bridge、Fidelity Digital Assets、Crypto.comが条件付き承認を獲得済みだ。コインベースも2026年に同様の承認を得ており、ブラジルのニューバンクは1月に国法銀行設立の認可を取得した。EDXマーケッツの持ち株会社も3月にOCCへ申請を提出している。トランプ政権下で成立したジーニアス法による規制明確化を背景に、伝統的金融機関のデジタル資産参入とDeFi領域の制度的接続が同時に進む構図が定着しつつある。
金融庁は6月1日、資金決済法に基づく「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」制度を施行した。新制度では、暗号資産交換業者または電子決済手段等取引業者(所属業者)の委託を受けた事業者が、登録を通じてビットコインを含む暗号資産の売買・交換の媒介、および法定通貨連動型ステーブルコインの媒介業務を行えるようになる。同庁は登録申請様式と概要書を公表し、5月15日には事前説明会を実施済み。専用内閣府令も5月22日付で公布されており、媒介業務の参入障壁を下げつつ消費者保護の枠組みを整えた格好だ。仲介業者の登場はアルトコインを含む取引チャネルの多様化を促す。
SBIトレーサビリティは6月1日、NFCとブロックチェーンを組み合わせたトレーサビリティサービス「SHIMENAWA」が、福島銀行の定期預金キャンペーン「令和の米騒動をジローラモが救う!定期預金」の特典「GIRO米」に採用されたと発表した。利用者は包装に貼付されたNFCタグをスマートフォンでタップすることで、福島県会津美里町産コシヒカリの生産者情報、プロジェクト背景、米の特徴を確認できる。金融商品と農産物をデジタル技術で結びつけることで、預金者は自らの資金が地域農業の支援にどう寄与しているかを把握できる。コンセンサスメカニズムに支えられた改ざん耐性が、地方創生領域での透明性確保に活用された事例となる。
6月1日の一連の動きは、日本のデジタル資産戦略が制度設計と産業実装の両面で同期しつつあることを示している。自民党議連の提言と金融庁の仲介業制度施行は政策レイヤーで、レーザーデジタルのOCC承認とSBI・電通の広告オンチェーン化は産業実装レイヤーで進行する。米国でジーニアス法やCLARITY法を巡る制度整備が加速し、ECBがDAOやステーブルコインのドル覇権リスクに警鐘を鳴らすなか、日本はオンチェーン金融を国家戦略として位置づけ、円建てステーブルコインとトークン化預金を次世代金融インフラとして整備する方向へ舵を切っている。通貨主権の確保と国際競争力強化が、この夏に策定される骨太の方針の試金石となる。
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