マスターカードがNYビットライセンス取得、富士通がAnthropic・OpenAI提携、トランプ氏が仮想通貨規制恒久化を宣言
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暗号資産ニュース
米決済大手マスターカードは5月27日、米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)からビットライセンスを取得したと発表した。認可を受けたのは同社子会社のマスターカード・トランザクション・サービシズUSで、これによりステーブルコインやトークン化預金を活用した送金・決済サービスを、米国でも最も規制水準が厳格とされるニューヨーク州内で正式に提供できる体制が整った。ビットライセンスは2015年創設の制度で、消費者保護やサイバーセキュリティ、財務健全性などを審査対象とし、サークルやコインベース、ペイパル、ロビンフッド・クリプトなどに加えて、決済大手の取得事例として象徴的な意味を持つ。マスターカードは取得を「責任あるブロックチェーン関与の長期戦略」と位置付けている。

暗号資産連動カードによる決済が世界的に急拡大している。市場分析によれば、月間決済量は2025年5月以降で230%増加し、累計決済額は78億ドル(約1.2兆円)に到達した。背景には、保有するステーブルコインを売却せずに既存カード端末で日常決済へ流用できる仕組みの普及がある。新興決済プロジェクト「ジュピター・グローバル」では直近2カ月でカード決済量が約648%増加し、オンチェーン経由のカード取引の約9割をビザが処理している実態も示された。ストライプ傘下のブリッジとビザは100カ国以上への展開計画を共同発表しており、ステーブルコイン決済カードは一部地域向け実験から世界規模の決済ネットワークへと拡張段階に入った。
日本国内でも実物資産のトークン化が制度設計の段階に進んでいる。TMI総合法律事務所、TIS、三井住友トラスト基礎研究所の3社は5月28日、公共施設・インフラを対象としたセキュリティトークン(ST)化に関する共同研究の初期検証結果を公表した。検証ではアリーナ、廃校施設、古民家、上下水道、太陽光発電施設などを対象に、所有権・運営権・金銭債権の移転可否を整理。施設所有権そのものの第三者移転は不可とする一方、サービス対価債権や売電収入債権などはST化可能との見解を示した。さらに地方債への適用可能性も検証され、地方自治体の資金調達手法多様化に向けた論点が提示された。商品設計や二次流通の整備が今後の課題となる。
中央銀行の連携も新段階へ進んだ。国際決済銀行(BIS)は27日、主導する「プロジェクト・アゴラ」のプロトタイプ環境において、トークン化された中央銀行準備金と商業銀行預金を用いたホールセール型のクロスボーダー決済でアトミック決済を完了できる可能性が示されたと発表した。同プロジェクトにはイングランド銀行、ニューヨーク連邦準備銀行、フランス銀行、日本銀行、韓国銀行、メキシコ銀行、スイス国立銀行など7中央銀行と40以上の民間金融機関が参加しており、新たにカナダ銀行の参加も明らかになった。今後は実資金を使った実証テストへ移行する計画で、24時間365日稼働の国際決済インフラ構築に向けた検証が加速する。

米国の規制環境を巡っては、トランプ大統領が5月28日にSNS「Truth Social」で、デジタル資産の市場構造を法律として整備し、将来の政権交代でも覆されない制度基盤を構築する方針を表明した。同氏はゲンスラー前SEC委員長時代の法執行中心アプローチがビットコイン関連イノベーションを海外に流出させたと改めて批判し、議会で審議中のCLARITY法案の早期成立を後押しする狙いを示した。一方で、上院本会議可決には少なくとも7名の民主党議員の支持が必要で、共和党側が倫理面の修正案を拒否し続ければ7月4日までの成立は困難との見方も示されている。予測市場では年内成立確率を57%と算出する動きもみられる。
富士通は5月27日、AIモデル「Claude」を開発する米Anthropic、および「ChatGPT」を提供するOpenAIとの戦略的提携をそれぞれ同日付で発表した。Anthropicとの提携では、Forward Deployed Engineer(FDE)事業の強化、サイバーセキュリティの進化、社内10万人規模での実践活用モデル確立を3本柱に据える。OpenAIとの連携でも、「ChatGPT Enterprise」や「Codex」をFDEモデルに組み合わせ、製造業を中心としたエンタープライズ領域のAIトランスフォーメーション(AX)加速を狙う。AI技術の高度化が暗号資産業界のセキュリティ運用やオンチェーン分析にも波及するなか、日本企業によるAIインフラへの本格コミットは、重要インフラ防御を含む社会基盤の信頼性強化に直結する動きとして注目される。
今回の一連の動きを貫くのは「制度化」と「インフラ統合」という二つの軸である。マスターカードのビットライセンス取得、ビザを軸とした決済カードの世界展開、BISのプロジェクト・アゴラ、日本のST化共同研究、米国のCLARITY法案推進──いずれも暗号資産が実験的なフロンティアから、規制下で運用される正式な金融インフラへと移行する局面を示す。さらに富士通のAI提携が示すように、AIとブロックチェーンの融合は重要インフラの安全性議論をも巻き込みつつある。投機色から実需と規制適合の段階へ──2026年のクロスセクター連携は、暗号資産の社会実装サイクルが新たな成熟期に入ったことを物語っている。