Metaplanet、Bitcoin(BTC)社債構想を支える証券会社を21億円で買収
MetaplanetがSiiibo Securitiesを21億円で買収しBitBondsを開始。一方、Saylorは100兆ドル規模のデジタル資産フレームワークを提言。
Metaplanetの21億円規模の証券会社買収
日本のMetaplanetが、米国の同業種Strategyとは異なる道を選んだ。証券会社そのものを自社で保有するという手法である。東京証券取引所に上場し、バランスシートを戦略的Bitcoin準備として機能させている同社は、企業によるBitcoin採用を巡る2026年の動きの中で、2026年6月に構造的な転換点を迎えた。私私募割ファンド型社債を手がけるSiiibo Securitiesを約21億円で買収すると発表したのである。対照的にStrategyは米国で複数クラスの優先株を上場し、外部のブローカーディーラーを通じて投資家にリーチしているが、自社保券会社は保有していない。再ブランド後のMetaplanet Securitiesを率いる小村氏は、市場構造の違いを指摘する。日本の取引所では優先株や種類株の上場が珍しく、免許を持つ証券会社を通じて商品を組成する方が日本の投資家には適合するとの見解だが、氏自身これはあくまで個人的な評価であると強調している。この内製化された機能は2026年8月にBitBondsとして稼働を開始した。Metaplanetが社債を発行し、傘下の証券子会社が投資家へ販売する仕組みである。初回発行額は約2億円にとどまるが、目標はBitcoinを財務戦略に据える企業として前例のない発行規模への拡大だ。なお同社のBitcoin保有は直接の担保には差し出されていない。小村氏はむしろ、Bitcoinを大量に保有する発行体こそ与信評価においてより高い信用認識を受けるべきだと主張し、デジタル資産を与信評価そのものに織り込むべきだと語る。親会社の債券を子会社が販売するという利益相反への備えも欠かせない。同社は発行条件を社内でレビューし、親会社の商品については社外の専門家にも意見を求めているという。事業基盤は親会社の枠を超える。Siiiboは買収前に40件超の社債発行を支援してきた実績を持ち、公募枠組みの検討も進む。現在月数千万円規模で取引されている流通市場は、数億円規模への拡大が目標に掲げられている。
Saylorの100兆ドル・デジタル権利論文
このインタビューの数日前、9月26日にStrategy会長のMichael Saylor氏が政策論文を発表した。デジタル資産産業は長期的に100兆ドル規模へ成長し得るという主張で、規制変更を前提とした構想上の目標であり、公式な市場予測ではない。Bitcoinマキシマリズムの代名詞的存在であるSaylor氏は、自身が「デジタル権利章典」と呼ぶ枠組みを求めている。個人と企業がデジタル資産を創造・発行・カストディ・移転・利用する権利の保障である。対象はBitcoinにとどまらず、デジタル通貨、トークン化された証券(株式や債券といった従来型の金融商品をブロックチェーントークンで表現したもの)、決済インフラ、ソフトウェア型の金融サービスにまで及ぶ。具体的な要求は多岐にわたる。銀行が顧客のBitcoinをカストディし、担保として貸し付けを行うことを認めること。カストディ、担保付き融資、自己勘定投資はそれぞれ独立した活動として区分けされる。国際決済銀行(BIS)が一部の暗号資産エクスポージャーに課すバーゼル枠組みの1250%リスクウェイトは見直しに値するという。トークン化された資産は一つのプラットフォームに固定されず、カストディ間を自由に移転できるべきであり、デジタルドル市場の発行体は利回り・サービス・リスク開示で競争すべきだと論じる。税制とプライバシーについては、日常的な取引の報告義務の軽減、機関をまたぐ本人同意ベースのIDデータ再利用、少額決済に対する物価連動型の免税を求める。現在、米内国歳入庁(IRS)はデジタル資産による支払いを「処分」とみなし、キャピタルゲイン課税の対象としている。参考として、米会計検査院(GAO)の2024年分析は、1972年に設定された1万ドルの現金報告閾値が2023年の物価水準では約7万2,880ドルに相当すると試算しているが、GAOがSaylor氏の提案を支持したわけではない。論文はまた、AI主導の企業創出と結び付け、デジタル資産で資金調達する企業を1,000万社にするという目標を掲げる。あくまで政策提案であり立法ではない。SEC、CFTC、財務省、議会がそれぞれ別個の規則策定と立法を通じて対応することになる。 市場をリアルタイムで追いたい読者は、Binanceで現物・先物価格をライブで確認できる。
バランスシートから金融インフラへ
二つの動きを並べて読むと、一つのアークが見えてくる。Bitcoin(BTC)が受動的な財務資産から金融インフラの土台へと卒業しつつあるという構図だ。Metaplanetは流通のレールを構築している。内製のブローカーディーラー、社債プログラム、将来的には公募発行へ。一方、Saylor氏の論文は今やこの議論を支える一次的な政策文書であり、銀行によるカストディ、担保付き融資、より自由なトークン移転といった規制上の前提条件を提示する。いずれも価格イベントではなく、実行リスクは現実にある。Metaplanetの初回BitBonds発行は約2億円にとどまり、Saylor氏の提案は規制当局の審理を待つ状態だ。それでも機関投資家の入り口は広がり続けている。現物Bitcoin ETFは24億ドルの週次純流入を記録し、2025年10月以来の水準に達した。10月の米連邦準備制度(FRB)追加利上げ確率は50%を下回った。その一方で米30年国債利回りは24年ぶりの高水準近くにあり、資本市場に自力でアクセスできる財務運用の担い手にとって追い風となる環境が整いつつある。
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