ミネソタ州が銀行カストディ解禁、英FCAがトークン化ロードマップ公表、RWA市場300億ドル規模到達
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暗号資産ニュース
米ミネソタ州のティム・ウォルツ知事は2026年5月15日、州内の銀行と信用組合に暗号資産のカストディ(保管)サービス提供を認める法案「HF 3709」に署名した。新法は8月1日施行予定で、州監督下の金融機関は信託業務とは別枠でビットコインなどの保管業務を扱えるようになる。下院130対4、上院51対16という超党派の大差で可決された同法案により、州内利用者はこれまで依存してきた州外・海外事業者から、地元金融機関へと保管先を切り替えられる環境が整う。サービス提供事業者には開始60日前までに州金融監督官への書面通知が義務付けられ、サイバーセキュリティ方針の整備も求められる。

イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は5月18日、「形式検証(Formal Verification)」をテーマとしたブログ記事を公開した。同氏はAIによるコード生成や脆弱性発見能力が急速に向上する現状を踏まえ、暗号技術基盤の安全性確保には数学的にソフトウェアの正しさを証明する手法が不可欠と主張。研究コミュニティで広がる「リーン4(Lean4)」を用いた検証アプローチを紹介した。ブロックチェーン上のスマートコントラクトはコードの不具合により資金が自動流出する固有リスクを抱えるため、AIと形式検証を組み合わせた防御が次世代の安全対策になるとの認識を示した。日本のニックス・ファウンデーションも関連クライアント「Verity」を開発中だ。
トークン化された現実世界資産(RWA)の総額がオンチェーンで300億ドル規模に迫る一方、DeFiプロトコル内で実際に活用されている資金は24億7,000万ドルと全体の10%を下回ることが明らかになった。最大要因は機関投資家向けに設計された「許可型アーキテクチャ」の壁にある。BlackRockの「BUIDL」はSecuritize管理のホワイトリスト登録と本人確認を経た認定投資家のみが保有可能で、AaveやUniswapといったオープン型プロトコルへの直接預入は困難な状態が続く。一方プライベートクレジット分野では31億ドルのオンチェーン残高のうち39%がDeFiで活用され、Ondoの「USDY」もTVL10億ドルを突破している。
英金融行為規制機構(FCA)と英国銀行は5月18日、ホールセール金融市場におけるトークン化の将来像を示す共同ビジョン文書を公表し、7月3日まで意見募集を開始した。分散台帳技術(DLT)を活用したトークン化は「数十年に一度の変革」と位置付けられ、決済高速化、24時間365日取引、流動性向上が利点として強調された。デジタル証券サンドボックス(DSS)には現在16社が参加し、ギルト債で80〜130億ポンド、社債で170〜280億ポンド規模の実取引が想定されている。HSBCが選定された英財務省のデジタル国債「DIGIT」パイロットも進行中で、ステーブルコイン決済の正式追加も検討対象となる。

米証券取引委員会(SEC)はトークン化株式に関する「イノベーション例外」枠組みを早ければ今週中にも公表する見通しだ。新枠組みは第三者発行のトークンが上場企業の株価を追跡することを容認する方向で検討されており、対象トークンは分散型プラットフォーム上で取引可能となる。配当や議決権など株主固有の権利は付与されない設計となる見込みだ。DTCCは2026年7月から限定的なトークン化証券の本番取引を開始し、10月に本格展開する方針を示しており、NasdaqやNYSEもそれぞれトークン化基盤を準備中。オンチェーン株式市場は既に14億ドル規模に到達しており、伝統的金融との接続が一段と加速している。
暗号資産投資商品から先週10億7,000万ドルの資金流出が確認され、6週連続の流入記録が途絶えた。今年3番目の規模となるこの流出は、インフレ懸念と米イラン間の停戦持続をめぐる不透明感が投資家のリスクオフを誘発した結果と分析されている。ビットコイン関連商品からは9億8,200万ドル、イーサリアム関連商品からは2億4,900万ドルが引き出され、後者は1月末以来最大の流出規模となった。一方でアルトコインファンドは逆行し、XRPに6,750万ドル、Solanaに5,510万ドルの資金が流入。Goldman Sachsは第1四半期にXRP・Solana ETFのエクスポージャーをほぼ全廃しており、機関投資家の選別姿勢が鮮明化している。
今サイクルの基調として浮かび上がるのは、地政学的緊張と規制制度化が同時並行で進行する複合的な構図だ。ミネソタ州の銀行カストディ解禁、英FCAのトークン化ロードマップ、SECのトークン化株式枠組みは、暗号資産を伝統金融インフラへ正式に組み込む潮流を象徴する。一方、RWA市場の300億ドル規模到達にもかかわらずDeFiへの流入は10%未満にとどまり、許可型とDEX型の二極化が進行中だ。ETPからの大規模流出はマクロリスクの再燃を示すが、機関投資家のブロックチェーン採用は構造的に前進しており、規制整備とリスクオフが交錯する局面となっている。