Securitize四半期売上39%増、段永平氏Circle株20万株取得、LayerZero単独DVN署名拒否へ
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現実資産(RWA)トークン化プラットフォームのSecuritize(セキュリタイズ)は5月20日、2026年第1四半期決算を発表し、売上高1950万ドル(約31億2000万円)と前年同期比39%増、四半期ベースで過去最高を更新した。BlackRockの「BUIDL」など主要トークン化ファンドからの手数料収入が牽引し、純損失は790万ドルとなったものの、調整後EBITDAは80万ドルで黒字を維持。Securitize Fund Servicesを通じて運用受託するファンドは約650本に達し、四半期取引高は19億ドル、3月末のトークン化AUMは34億ドルに達した。同社はCantor Equity Partners IIとの合併を経て、ティッカー「SECZ」でナスダック上場を計画している。RWAトークン化はブロックチェーン領域で機関資金の本格流入が進む象徴的領域となっている。

「中国のバフェット」と称される著名投資家、段永平(ドアン・ヨンピン)氏が率いるH&H International Investment LLCは、3月31日を期末とする2026年Q1の13F報告書を米SECに提出し、USDC発行体Circle Internet Group(CRCL)株を20万株、平均取得単価約95.41ドルで初取得したことが明らかになった。期末評価額は約1908万ドル(約30億3000万円)で、約200億ドル規模のポートフォリオ全体に対しては0.095%相当の打診買いとみられる。同氏は2025年7月時点でステーブルコインへの興味を否定していたが、約9カ月で方針を転換した。アリババを全株売却する一方、エヌビディアや拼多多を大幅に買い増し、テスラも新規組入れとなるなど積極的な再編が確認されている。
クロスチェーン通信プロトコルを開発するLayerZero Labsは5月20日、KelpDAOのリステーキングトークン「rsETH」ブリッジを巡る4月18日のインシデント詳細レポートを公開した。被害額は約2億9200万ドル(約464億円)相当で、116,500 rsETHが不正にアンロックされた事案だ。MandiantとCrowdStrikeの調査では、北朝鮮系脅威アクター「UNC4899(別名TraderTraitor)」による攻撃と高い信頼度で評価された。攻撃者は3月6日からソーシャルエンジニアリングで開発者セッションキーを奪取し、内部RPCノードを改ざん。DVN署名鍵自体は侵害されていなかったが、参照情報を細工することで偽メッセージへの有効な証明を生成させていた。DeFiの検証レイヤーが新たな攻撃対象となった事例だ。
LayerZero Labsは同レポートで、運用方針の大幅な転換を明示した。これまでアプリケーション開発者の構成選択に中立的だった同社は、自社DVNが単独の必須証明者として設定されたチャネルでは今後一切署名を拒否する。さらにプロトコルデフォルトとして、すべてのチャネルが少なくとも「3-of-3」のDVN構成を採用するよう変更する方針も示した。侵害が発生したクラウド環境は全面的に再構築され、短時間限定の認証情報やIAM変更時の複数人レビュー、複数RPCソースによるクォーラム必須化など多層的対策が導入される。今回の事案はDAOやプロトコル運営における観測レイヤー設計の重要性を浮き彫りにした。

機関投資家のビットコイン関連株への信認も鮮明だ。Strategy(旧MicroStrategy)の2026年Q1の13F開示によれば、上位15社の機関株主のうち13社がMSTRポジションを積み増し、合計保有額は46億ドル増の27%増となった。Q1中にMSTR株価が約18%下落しビットコインも22%超下落するなか、Capital Internationalが19.2億ドル分を上乗せし最大の買い手となった。Vanguard関連エンティティは9億6700万ドル、BlackRock Institutional Trustは3億7700万ドル増加。Defiance ETFsは5億1100万ドルで新規参入し、上位株主の14位に入った。Morgan Stanleyのみが約700万ドル削減し、ほぼ全機関がドローダウン局面で買い向かった構図となる。
5月20日、トランプ大統領のイラン戦争「迅速終結」発言を受け、暗号資産市場全体は0.65%上昇し時価総額2.57兆ドルへ回復した。過去24時間で1億8459万ドル相当のショートポジションが清算され、BTC-USDTがその大半を占めた。ビットコインは7万7951ドルへ0.61%反発し、Hyperliquid(HYPE)はGrayscale関連ウォレットによる510,387 HYPE(約2495万ドル)の買い増しを背景に17.7%急騰し56.26ドルとなった。21Shares(THYP)とBitwise(BHYP)の現物HYPE ETFは初週で4780万ドルの流入を集めた。SpaceXもS-1提出時にバランスシート上のBTC18,712枚(約12.9億ドル)を開示し、企業財務における暗号資産保有の常態化が進んでいる。
今週の流れを俯瞰すると、トークン化証券の制度的離陸、伝統的価値投資家のステーブルコイン株への接近、機関の過去最高値圏外でのMSTR積み増し、クロスチェーンインフラのセキュリティ規律強化、地政学リスク緩和に伴うショートスクイーズという5つの潮流が並走している。共通項は明白で、規制整備の前進と機関資金の構造的流入を背景に、暗号資産が投機資産から金融インフラへと組み込まれる過渡期が深化している点だ。一方でLayerZero事案が示すように、検証レイヤーや観測レイヤーの安全性確保は依然として未解決の課題であり、強気局面下でも運用リスクへの規律が今後の市場成熟度を左右する。