ストラテジーが1550BTC追加取得でMSTR5.6%高、Humanity Protocolから約3200万ドル流出、SBFが恩赦申請
目次
暗号資産ニュース
マイケル・セイラー氏率いるストラテジー社は、1550BTCを1億100万ドルで追加取得したと発表した。平均取得単価は1BTCあたり6万5332ドルで、前週に32BTCを売却して以来の買い増しとなる。今回の購入で同社のビットコイン保有量は合計84万5256BTCに達し、取得総額は約640億ドル、全体平均取得単価は7万5680ドルとなった。今回の取得価格は全体平均を約1万ドル下回り、保有コストの引き下げにつながった。発表を受けてMSTR株は5.6%上昇し127ドルで推移。ナスダックの上昇率0.86%を大きく上回り、ビットコイン積み増し戦略が株価を下支えする形となった。
分散型本人確認プロジェクトHumanity Protocolに関連するウォレットが大規模なエクスプロイト被害に遭い、被害額は当初の約500万ドルから3200万ドル超へと拡大した。オンチェーン分析によれば、Hトークンを保有する17以上のウォレットから資金が流出し、盗難資金のうち2370万ドル相当がイーサリアムへスワップされた。創業者のTerence Kwok氏は財団メンバーの秘密鍵が侵害されたインシデントを認め、安全確認までブリッジやDeFi(分散型金融)の流動性プール利用を控えるよう呼びかけた。Hトークンは0.8ドルから0.12ドルへ24時間で約85%下落し、時価総額にして約12億ドルが消失。6月25日に控えたトークンのアンロックを目前にした被害だけに、影響は深刻だ。
FTX創業者サム・バンクマン=フリード(SBF)氏が、トランプ米大統領への恩赦を正式に申請したことが明らかになった。米司法省の恩赦ケース検索ポータルではケース番号P338490として「審査中」と表示され、申請種別は「刑期完了後の恩赦」とされる。SBF氏は服役中初の公式メディア出演となった電話インタビューで恩赦を望むかと問われ「もちろんだ」と回答し、最終判断は大統領に委ねられると述べた。一方、トランプ大統領はすでにSBF氏への恩赦に否定的な立場を公言しており、申請が認められるかは不透明だ。SBF氏は顧客資金の窃盗を否定し、顧客には預入額の約170%がすでに返済済みだと主張している。
SBF氏は2023年11月、電信詐欺や共謀を含む7件すべてで有罪評決を受け、2024年3月に禁錮25年を宣告された。裁判所は約110億ドルの没収を命じ、FTX顧客に80億ドル、株式投資家に17億ドル、アラメダ・リサーチへの融資者に13億ドルの損失を認定している。今回の「刑期完了後の恩赦」は早期釈放を意味せず、仮に認められても2044年6月の刑期満了までは服役が続く。SBF氏は恩赦申請と並行して有罪判決への控訴も進めている。トランプ大統領はこれまでにロス・ウルブリヒト氏や元バイナンスCEOのCZ氏らを恩赦しており、暗号資産業界関係者への恩赦が相次ぐ中での申請となった。
ストラテジー社は今回の買い増しと並行し、資金調達と現金ポジションの再構築を進めた。同社は1億8100万ドル相当の普通株を発行し、米ドル準備金を1億ドル積み増して現金準備を合計10億ドルとした。これは転換社債の買い戻し後に準備金が8億7100万ドルまで減少し、複数の専門家から流動性懸念が指摘されていたことへの直接的な対応とみられる。発行による希薄化と引き換えに、同社は手元流動性を厚くした格好だ。MSTR株は2月の安値を支えた長期上昇トレンドライン上に位置しており、当面は120ドルを維持できるかが焦点となる。
マクロ環境では、資金が暗号資産から米国株へと回帰する動きが続いている。暗号資産全体の時価総額は約2兆1400億ドルで横ばい圏にとどまり、ビットコインは6万2800ドル付近で重要な節目を回復できずにいる。大型銘柄ではビットコインキャッシュが7%超下落するなど、アルトコインを中心に売り圧力が目立つ。S&P500がわずかに上昇する一方、暗号資産には新規資金が乏しく、弱気相場的な様相も意識される。こうした地合いの中で、MSTR株がナスダックを上回って反発した点は、ビットコイン積み増しの物語が個別株を下支えする力を示している。
今サイクルを貫く支配的なテーマは、規制強化と機関投資家の選別的な資金配分、そしてセキュリティリスクの併存だ。英FCAが小売向けファンドに最大10%の暗号資産エクスポージャーを認める案を提示する一方、米国ではトランプ政権下で業界関係者への恩赦が相次ぐなど、制度面の地殻変動が続いている。ストラテジーの買い増しは機関による継続的な蓄積を象徴し、Humanity Protocolの被害はブロックチェーンインフラの脆弱性を改めて突きつけた。強気と慎重さが交錯するなか、投資家は規制動向とオンチェーンの安全性を見極める局面に立たされている。