米下院が予測市場2社をインサイダー調査、SECトークン化制度延期、CLARITY法で機関資金流入へ
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米下院監視・政府改革委員会のジェームズ・コマー委員長は5月22日、予測市場プラットフォームのカルシ(Kalshi)とポリマーケット(Polymarket)に対するインサイダー取引調査を正式に開始したと発表した。両社CEOに対し、本人確認の実施状況、地理的制限の執行体制、不審取引の検知メカニズムに関する内部文書の提出が要請されている。背景には、選挙結果や米軍のベネズエラ・イラン関連行動を巡る予測市場で疑わしい取引が相次いで表面化した事実がある。コマー氏は議員や政府職員の予測市場参加を禁止する立法措置の必要性にも言及しており、規制圧力が一段と強まる構図が鮮明になっている。

米証券取引委員会(SEC)は、米国株に連動するトークン化資産の取引を対象とする「イノベーション免除」制度の公表を延期した。当初は今週中の発表が見込まれていたが、株式取引所幹部や市場参加者との協議を経て時期の見直しが進められている。焦点は、発行企業の同意なしに第三者が発行できる「サードパーティ・トークン」の扱いだ。ブロックチェーン上では仮名性を持つウォレット間で取引が行われるため、議決権や配当を含む株主権利の技術的な保証が困難との指摘が複数の元規制当局者から相次いでいる。ヘスター・パース委員は免除範囲を「原資産と同一のデジタル表現」に限定する方針を示した。
資産運用会社グレースケールは、米国で審議が進むデジタル資産市場明確化法(CLARITY法)の成立後に機関投資家資金が流入しやすい4つのチェーンとして、イーサリアム、ソラナ、BNBチェーン、カントン・ネットワークを挙げた。同法案は5月14日に上院銀行委員会を15対9で通過し、現在は本会議での審議段階にある。SECとCFTCの管轄を明確化する内容で、ステーブルコイン供給量とDeFiの総ロック価値で上位を占めるアルトコインが優位とされる。カントン・ネットワークはJPモルガンやHSBC、ビザがバリデーターを務め、日次3,500億ドル規模の決済処理を担っている。
米ミネソタ州では、地元銀行や信用組合が暗号資産カストディサービスを提供できる道筋を整える法律が、ティム・ウォルツ知事の署名により成立した。法案を起草したペリーマン州下院議員は、地元金融機関から暗号資産取引所への預金流出が地域経済への融資余力を圧迫していると指摘した。セントクラウド・ファイナンシャル信用組合の幹部は、ウォール街の大手金融機関がステーブルコインやトークン化を通じてデジタル資産インフラを掌握しつつあり、地方金融機関が傍観できる段階を過ぎたと述べた。ジェフリーズは私的発行のデジタルドル普及によって、5年間でコア預金が3〜5%減少し得ると試算している。

連邦下院の金融サービス委員会では、1970年制定の銀行秘密法(BSA)の近代化を議題とする公聴会が開かれた。証言したブロックチェーン分析企業の幹部は、北朝鮮関連主体が2025年に20億ドル超のデジタル資産を窃取し、2026年初頭にも追加で6億ドルを盗み出したと報告。米国民が「ピッグ・ブッチャリング(投資詐欺)」で被った被害額は年間350億ドルを超えるとされる。AIを活用した金融犯罪の高度化に現行法は構造的に対応困難との見方が示された一方、全面廃止、目的別改革、情報共有強化など証言者の立場は分かれた。トランプ大統領は今週、BSAの顧客デューデリジェンス対象を拡張する大統領令に署名している。
スペースXは、初の有人火星フライバイ計画のクルーとして、マイニング大手F2Pool共同創業者のチュン・ワン氏を起用すると発表した。約2年に及ぶミッションは、地球と月の重力圏を越える最初の有人飛行となる。ワン氏は2013年に同プールを設立し、現在もビットコインのハッシュレート全体で約10%のシェアを保持する。2025年に自身が指揮した極軌道有人飛行「Fram2」では、保有ビットコインの一部売却で資金を調達した経緯がある。火星計画も同様に暗号資産関連資産を原資とする構図で、デジタル資産が宇宙開発の長期資金源として組み込まれつつある実態を浮き彫りにした。
今週の動向を貫くのは、規制強化と機関投資家マネーが同時にデジタル資産インフラへ流入する非対称な局面である。米下院による予測市場の調査、SECのトークン化制度設計の慎重姿勢、銀行秘密法の見直しは、暗号資産が政策議題の中心に据えられた現実を示す。一方、CLARITY法の前進、地方銀行のカストディ参入、ステーブルコインによる預金侵食、暗号富裕層の宇宙投資まで、資金の地殻変動は加速している。今後数四半期は、規制の輪郭が固まる中で機関投資家の配分判断がどのチェーンに向かうかが市場の強気相場を左右する主軸となろう。