米イラン60日覚書で合意、ルミス議員CLARITY法案不成立に警鐘、自民党次世代金融構想を公表

(02:08 UTC)
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暗号資産ニュース

自民党の「次世代AI・オンチェーン金融構想プロジェクトチーム(PT)」が5月19日に公表した提言を巡り、座長の木原誠二・衆議院議員は「今後10年で全く違う社会・経済に身を置くことに疑いはない」との認識を示した。提言は家庭の冷蔵庫やコンビニ決済から中小企業のキャッシュフロー、企業信用、融資領域までを一気通貫で結ぶ「次世代金融」の青写真を描く。ステーブルコイン、トークン化預金、RWA(現実資産)のトークン化を巡る各社の取り組みを束ね、「自動化」「連結化」「24時間365日化」が実現した世界を提示した点が特徴だ。提言は6月策定の「骨太の方針2026」にも盛り込まれる見通しである。

イタリアのブロックチェーン金融に新たな節目が訪れた。バンカ・セラ(Banca Sella)は5月27日、欧州連合(EU)の暗号資産市場規則(MiCA)に基づく通知手続きをイタリア銀行で完了し、暗号資産サービスを提供可能になったイタリア初の銀行になったと発表した。同行は年内に、暗号資産のカストディ、送付、受領に対応するソリューションを特定顧客向けに展開する計画だ。内部にDLT・暗号資産専門チームを設置するほか、欧州37行が参加するコンソーシアム「キバリス(Qivalis)」の創設メンバーにも名を連ねる。キバリスは規制当局の承認を前提に、ユーロ建てステーブルコインを今年後半に発行する構想を温めている。

バンカ・セラがMiCA下で暗号資産サービス提供へ

米上院のシンシア・ルミス議員は5月27日、CLARITY法案が今議会で成立しない場合、米国のソフトウェア開発者がコードを公開しただけで再び訴追対象になり得るとの見方を示した。同法案にはDeFi(分散型金融)開発者の法的位置づけを整理する条項が盛り込まれ、第604条では顧客資金を管理しないソフトウェア開発者やインフラ提供者を資金送金業者として扱わない規定が明記されている。2025年8月にTornado Cash共同創設者ローマン・ストーム氏が無許可資金送金業で有罪判決を受けた経緯もあり、業界では規制執行の再強化への警戒感が広がる。法案は5月14日に上院銀行委員会で15対9の超党派賛成多数により可決済みだ。

木原氏はPT提言を巡り、日本の金融主権・通貨主権の確保を最重視するとの考えも示した。世界でオンチェーン化が進むなか、決済の最終決済尻となる日銀において何らかの形でオンチェーン化が進まなければ、オンチェーン化全体が完結しないとして、日銀当座預金のトークン化に関する論点整理と方向感の年内提示を求めている。提言ではアジア諸国との連携も重視され、貿易相手国として大きな比重を占める日本円決済の優位性を背景に、ステーブルコイン、トークン化預金、CBDC(中央銀行デジタル通貨)を「決め打ちしない」バランス追求が明確化された。「金融は成長産業」との位置づけも提示した。

日銀当座預金のトークン化と金融主権

中東情勢を巡っても重要な進展があった。米国とイランは停戦と核開発計画を巡る交渉のための60日間の覚書に合意した。合意条件によれば、イランは30日以内にホルムズ海峡に敷設された機雷をすべて撤去する義務を負い、米国は海峡における商船の航行再開に応じて海上封鎖を解除する。トランプ大統領は現在、最終承認の前に合意内容を精査している段階だ。ホルムズ海峡は世界の原油輸送の要衝であり、緊張緩和はエネルギー価格を通じてビットコインをはじめとするリスク資産の中期見通しにも波及し得る重要イベントとして市場関係者が注視している。

規制の方向性を巡る米政界の発信も活発化している。トランプ大統領は5月27日、自身のソーシャル投稿で「将来も覆されることのない、恒久的なデジタル資産市場構造を法制化する」と表明し、暗号資産反対派が技術革新を海外に追いやってきた現状からの転換を強調した。CLARITY法案は5月の上院銀行委員会可決を経て本会議採決へと進む段階にあるものの、フィリバスター回避に必要な60票確保のためには民主党票の上積みが課題となる。投資銀行アナリストからは、トランプ陣営の暗号資産関連事業を巡る利益相反懸念が民主党の同調を難しくしているとの指摘も出ており、年内成立は楽観視できない情勢だ。

今週のニュースは、規制整備と地政学の二大変数が暗号資産市場の中期的な座標を再定義しつつあることを示唆する。日本は自民党PTを通じてブロックチェーン金融の国家戦略化を、イタリアは銀行セクター主導のMiCA活用を、米国は包括的市場構造法の制度化を、それぞれ並行で進めている。一方、米イラン覚書はエネルギー価格を通じてリスク資産の評価軸に影響を及ぼす可能性が高い。制度整備の前進と地政学リスクの後退が同時進行する局面では、機関投資家の資本配分が次の強気相場の起点となり得るかが焦点となる。

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Hiroshi Nakamura

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