バックパックが株式・仮想通貨統合の証券ベータ開始、3メガ銀は2026年度にステーブルコイン共同発行へ
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暗号資産ニュース
仮想通貨取引所バックパックは9日、トークン化された米国株・ETFと仮想通貨、無期限先物、利回り商品を単一口座で扱える証券プラットフォーム「バックパック・セキュリティーズ」の公開ベータを開始した。株式の保有権はニューヨーク州法に基づく証券エンタイトルメントとして確立され、取引は週5日・24時間で即時執行される。トークン化証券はソラナ基盤のプロトコル「サンライズ」との提携で展開し、利用者はエンタイトルメントとトークン化証券を相互変換できる。米国法人は元SEC代理委員長マイケル・ピウォアー氏を取締役に迎え、DeFi(分散型金融)連携を見据えた規制対応体制を整えた。
国内では三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクが、2026年度中にステーブルコインを共同発行する方針を固めたことが明らかになった。3行は近く基本合意を締結して協議会を設置し、運営方法を検討する。仕組みとしては各行が電子決済手段の取引認可を取得し、信託銀行が発行受託者となる形を想定している。発行体制は当初3行で立ち上げた後、他の金融機関へと連携を拡大する計画だ。金融庁は実証実験を支援する姿勢を示しており、トークン化預金やブロックチェーンを用いた決済高度化が制度面でも前進しつつある。
こうした動きの背景には、現実資産(RWA)のトークン化が次の成長エンジンになるとの見方がある。大手トークン化基盤の経営幹部はニューヨークでのイベントで、世界の株式・ETF市場約150兆ドルのうち2〜3%がオンチェーン化するだけで、現在約300億ドルにとどまるトークン化資産市場を5兆ドル規模へ押し上げ得ると指摘した。デリバティブや合成構造に依存する商品と、株式の直接保有権を伴う「真の」トークン化株式を峻別する必要性も強調されている。即時決済と24時間移転を武器に、伝統的市場と並走する新市場が形成されつつある。
一方、プライバシー系銘柄は週明けに反発し、ジーキャッシュとモネロを中心に4.5%上昇した。もっとも月間では依然12%安と低迷が続く。下落の引き金はネットワークの障害ではなく、シールドプールに絡む不具合を受けた信頼感の急速な悪化にあった。オンチェーンの利用指標は価格ほど崩れておらず、需要面の健全性は維持されているとの分析もある。7月予定のアップグレード「アイアンウッド」が市場心理の改善材料と目される一方、スマートマネーは依然ショントを維持し、取引所への流入増が新たな売り圧力を示唆している。アルトコイン市場の脆さが浮き彫りになった格好だ。
為替市場では円安圧力が一段と強まっている。レバレッジドファンドや資産運用会社による円の売り持ちは合計110億ドルに達し、2024年7月以来の高水準となった。日本当局は4月下旬から5月下旬にかけ約11.73兆ドル相当、約736億ドルを投じて円安阻止に動いたが、効果は一時的にとどまった。日米金利差が構造的な要因として残り、安価な円を借りて高利回り資産を買うキャリートレードが円を圧迫している。日銀は16日の会合で政策金利を1%へ引き上げる可能性があり、ポジション巻き戻しがビットコイン(BTC)などリスク資産に波及する懸念もくすぶる。
スポーツ分野でも仮想通貨企業の存在感が増している。大手取引所クラーケンは、6月11日に開幕するFIFAワールドカップ2026の公式クリプト・エクスチェンジ・サポーターに就任した。カナダ・メキシコ・米国の16都市で開催される48チームの大会は推定60億人の視聴が見込まれ、7週間にわたりファン向けの体験イベントや教育プログラムを展開する。ただし開幕直前に約18万枚のリセールチケットが市場に流入し、転売価格の中央値は1カ月で約20%下落した。空席リスクが指摘されるなか、規制当局は暗号資産スポンサーシップへの警戒を強めている。
今週の一連のニュースに共通するのは、暗号資産と伝統的金融の境界が急速に溶解しているという主題だ。トークン化株式の証券口座統合、メガバンクのステーブルコイン共同発行、RWA市場の5兆ドル展望は、いずれも機関投資家マネーがオンチェーンへ移行する潮流を裏づける。同時に、円安とキャリートレードの巻き戻し、プライバシー銘柄の信頼回復の遅れは、マクロのボラティリティと規制圧力が依然として下値リスクであることを示す。制度整備と機関流入が進む強気の構造変化と、地政学・金利を起点とするリスクが交錯する局面が続いている。