ビットコイン8万1000ドル攻防、Strategyが535BTC追加取得・MARAは18%減収もBTCが事業基盤
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米マイニング大手MARA Holdingsが5月11日に発表した2026年第1四半期決算は、売上高が前年同期比18%減の1億7,460万ドルとなり、市場予想の1億9,270万ドルを下回った。BTC価格の下落を主因として純損失は13億ドルに拡大し、保有BTCの公正価値変動による評価損が約10億ドルに達した。同社は四半期中に約15億ドル相当のビットコイン(BTC)を売却し、転換社債の約30%を割引価格で買い戻すなど債務圧縮と流動性確保を進めた。新規ASIC調達は当面行わない一方、マイニングを「事業運営の基盤」と位置付けつつAI・HPCデータセンター事業への転換を加速する方針を改めて打ち出した。

マイケル・セイラー氏率いるStrategyは5月11日、5月4日から10日の1週間で535BTCを約4,300万ドルで追加取得したと米SECへの提出書類で開示した。平均購入価格は1BTCあたり8万340ドルで、これにより同社の保有量は81万8,869BTC、総取得額は618億6,000万ドル、全体の平均購入単価は7万5,540ドルとなった。購入資金の大部分はクラスA普通株(MSTR)の売却益約4,290万ドルで賄われている。同社は5月6日の第1四半期決算説明会で優先株(STRC)の配当原資としてBTC一部売却の可能性に言及していたが、「1株あたりビットコイン」の増加に資する条件下に限定する姿勢を改めて強調した。
オンチェーン分析データでは、5月11日付の週次レポートにおいてブロックチェーン上のアクティビティ、収益性、投資家保有状況の複数指標が同時改善した点が指摘された。現物市場ではCVD(累積出来高差)の急増と取引量の拡大が観測され、BTCは7万7,000ドル台後半から8万2,000ドル台前半へ緩やかに切り上がり、押し目買いが継続している。先物市場では建玉残高の増加とパーペチュアルCVDの急上昇が強気モメンタムを裏付ける一方、ロング側のファンディングコストの低下と取引所でのショート関心シフトが確認された。日次アクティブアドレス数とエンティティ調整済み転送量も増加し、市場は含み損から含み益のフェーズへ転換している。
マクロ環境では、トランプ大統領がイランの和平提案を「全く受け入れられない」と拒否したことで原油市場が反応し、ホルムズ海峡を巡る緊張がインフレ圧力を増幅させている。最大の焦点となるのは5月12日発表の4月CPIで、エコノミスト予想は前年比3.7%上昇と3月の3.3%から再加速が見込まれ、ガソリン価格の急騰が押し上げ要因となる。さらに5月14日には米上院銀行委員会でCLARITY法案が審議され、暗号資産トークンの証券・商品分類を巡る米国の規制明確化が前進するか注目されている。8万1,000ドル台のBTCはこれら3つのリスク要因を抱えつつも底堅さを維持し、方向感を探る局面にある。

著名投資家のレイ・ダリオ氏は5月11日、BTCについて「期待された安全資産ではない」との見解を改めて示した。同氏が挙げた3つの構造的弱点は、第一にプライバシーの欠如──オンチェーン取引が完全公開でチェーン解析の進展により追跡可能性が高まり、中央銀行が保有候補とみなさない理由となっている。第二にテック株との相関で、リスクオフ局面で逆相関を示すべき安全資産としての要件を満たしていない点。第三に金市場と比べ時価総額が桁違いに小さく、コントロールされやすい点が挙げられた。市場の関心は「金の代替か否か」より、機関投資家のポートフォリオにおけるリスク・リターン特性への寄与へと移っている。
今週(5月11〜15日)は2026年で最も重要なマクロイベントが凝縮した週とされる。4月CPIに続き13日にはPPI、14日には小売売上高と米連邦準備制度(Fed)のバランスシートデータが発表され、需要と流動性が同時に試される。週末にはジェローム・パウエル議長の任期終了(5月15日)とケビン・ウォーシュ氏の議長指名が重なり、新議長の政策姿勢が未知数のまま重要データを読み解く展開となる。さらにトランプ大統領の訪中(5月14〜15日)が貿易摩擦、関税、原油物流、ドル相場に波及する可能性が高い。8万1,000ドル台で推移するBTCの次の方向性は、これらマクロ変数の足並みに大きく左右される。
テクニカル面では、BTCは8万880ドル付近で推移し強気相場の構造を維持している。直近サポートは8万170ドル、その下に7万8,287ドル、7万3,990ドルが控える。レジスタンスは8万1,617ドル、8万2,863ドル、8万9,065ドル。RSIは61.84と過熱領域手前で買い圧力の余地を残し、MACDは強気シグナルを維持する。8万1,617ドルを終値で上抜ければ8万2,863ドル試しが視野に入る一方、8万170ドル割れは7万8,287ドルまでの調整リスクを誘発する。CPIとパウエル後継人事を巡る不確実性が解消されない限り、レンジ上限突破には流動性条件の改善が不可欠となる。
