クラリティー法、倫理条項で正念場 JPYC上限緩和、ストラテジー2,200億円社債買い戻し
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米上院銀行委員会を15対9の超党派賛成で通過した仮想通貨市場構造法案「クラリティー法(CLARITY Act)」は、本会議採決に向けて新たな壁に直面している。従来最大の争点だったステーブルコイン利回り規定は受動的報酬の禁止で妥協が成立した一方、議論の焦点は公職者の利益相反を防ぐ「倫理条項」へと完全に移行した。民主党のルーベン・ガレゴ議員は、公職者やその家族がブロックチェーン関連ベンチャーから個人的利益を得ることを制限する厳格な文言がない限り反対すると明言。投資銀行は法案成立確率を40%と評価しており、フィリバスター回避に必要な60票確保は依然として不透明である。

日本円ステーブルコイン発行事業者JPYC株式会社は15日、発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」の大型アップデートを実施した。最大の変更点は発行上限ルールの見直しで、従来「1日あたり100万円」としていた上限が「1回あたり100万円」へ緩和された。資金決済法の送金上限を踏襲した運用ルールの再設計であり、法改正によるものではない。償還額の「1日100万円まで」に変更はなく、不正利用防止の観点から短時間に連続した発行申請も認められていない。同社は金融庁から資金移動業者として認可されており、ユーザー利便性の向上を狙った独自運用の見直しと位置づけられる。
同アップデートでは新たにKaiaチェーンへの対応も開始された。KaiaはKakaoの「Klaytn」とLINEの「Finschia」が統合して誕生したレイヤー1ブロックチェーンで、LINEメッセンジャーを基盤としたミニdAppsエコシステムを抱える。今回の追加でJPYCの発行ネットワークはEthereum、Polygon、Avalanche、Kaiaの計4チェーン体制となる。同社は韓国、インドネシア、タイ、台湾など日本円ステーブルコイン需要が高まるアジア圏での流通拡大を見込んでおり、償還手続きでは事前登録済みウォレットアドレスから送られたJPYCであればネットワーク指定が不要となるなど、運用面の制約も緩和された。
米国の大手取引所インターコンチネンタル取引所(ICE)とCMEグループが、分散型仮想通貨デリバティブ取引所ハイパーリキッド(Hyperliquid)の米商品先物取引委員会(CFTC)登録を求めて当局者および議会関係者に働きかけていることが明らかになった。シンガポール拠点のハイパーリキッドは利用者がDEX形式で本人確認を経ずに取引可能で、両取引所は制裁回避やマネーロンダリング、価格操作の温床になり得ると指摘。同プラットフォームの原油関連契約の1日平均取引量は4月に7億ドル超に達しており、ブレント原油やWTIなど世界の基準価格の信頼性を損なう懸念が浮上している。

マイケル・セイラー氏率いるストラテジーは14日、2029年満期の無利息転換上位社債のうち約15億ドル相当の元本を、推定総支払額約13.8億ドル(約2,200億円)で買い戻す相対取引に合意したと米証券取引委員会へのForm 8-Kで公表した。決済は5月19日を予定し、買い戻し後の同シリーズ残存元本は約15億ドルとなる見通しである。資金調達は手元現金、ATM増資プログラムによる売却益、またはビットコイン売却益を組み合わせて充当する方針で、同社は優先株主体の「デジタルクレジット」型資本構成へ重心を移しつつ転換社債残高を段階的に縮小する戦略を鮮明にしている。
米CMEグループは14日、時価総額上位の暗号資産で構成されるバスケット連動先物商品「Nasdaq CME Crypto Index futures」を6月8日から提供開始する予定だと発表した。連動指数にはビットコイン、イーサリアム、ソラナ、XRP、カルダノ、チェーンリンク、ステラルーメンの7銘柄が含まれ、構成銘柄の時価総額に応じて比重が決定される。ラージサイズ契約(ティッカー:NCI、契約サイズ$10×指数)とマイクロサイズ契約(MCI、$1×指数)の2種類が用意され、いずれも現金決済型先物として「Nasdaq CME Crypto Settlement Price Index」の値で清算される。機関投資家によるアルトコインへのエクスポージャー拡大の選択肢が広がる格好だ。
今サイクルの支配的な物語は、規制の整備と機関化が並走する局面に入ったことを示している。クラリティー法を巡る倫理条項の攻防は、政治家一族のビットコイン関連株保有が開示された事実とも結びつき、米国における市場構造立法の最終ハードルを浮き彫りにした。一方、JPYCのアジア展開やCMEのバスケット先物上場は、規制枠組みが整い始めたデジタル資産市場で既存金融プレイヤーが商品ラインを急拡張する動きを象徴する。ハイパーリキッドへの規制要請とストラテジーの負債圧縮は、伝統金融と分散型市場の境界線が再交渉される現実を映し出している。