コインチェック法人口座1万件突破、サムスン3社がDunamuに408百万ドル出資、日銀ら7中銀が国際決済DLT実証成功
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暗号資産ニュース
国内最大手の暗号資産取引所コインチェックは3月12日、法人向けに開設された取引口座数が1万件を突破したと公表した。背景には、財務戦略の一環としてビットコイン(BTC)などを保有・運用する「クリプト・トレジャリー」を採用する企業の拡大がある。同社の経営戦略本部によれば、KYC済み法人ユーザーの大半は非上場の中小オーナー企業で、業種としては2025年3月開始のCoincheck Prime以降、IT系の登録が最多となっている。一方で過去1年は上場企業の利用も増加傾向にあるという。JVCEAの統計では国内全体の法人口座は約4万5,000件にとどまり、設定口座数全体に占める比率はわずか0.4%。法人参入はなお黎明期にある。

もっとも親会社マネックスグループが8月7日に開示した2026年3月期第1四半期決算では、暗号資産交換業を主軸とするクリプトアセット事業が12億5,000万円のセグメント損失を計上した。前年同期は6億4,400万円の黒字であった。営業収益はIEO関連手数料の剥落と販売所での取引高減少を受け、前年同期比13.4%減の27億円。販売費及び一般管理費は、2024年12月にナスダックへ上場したCoincheck Group N.V.の人件費や上場関連の専門家報酬がかさみ、同44.4%増の35億7,000万円へと膨張した。販売所の売買代金は615億円と15.7%減少した一方、取引所の売買代金は1兆522億円とほぼ横ばいで推移している。
同社の米ナスダック上場計画も再始動した。コインチェックは5月8日、オランダの中間持株会社Coincheck Group B.V.(CCG)とThunder Bridge Capital Partners IV(THCP)によるDe-SPAC方式の登録申請書類について、SECへの審査進捗を踏まえて公表に切り替えたと発表。2022年3月に当初公表され、その後二度の延期を経てきたこの上場計画は、合併完了後にティッカー「CNCK」としてNasdaq Global Select Marketへの上場を目指す構成だ。THCPとCCGは、株主・SEC・ナスダックの承認を前提に、2024年第2四半期から第3四半期中の完了を視野に入れていると説明している。
韓国市場でも伝統的金融資本によるブロックチェーン関連投資が一段と加速している。サムスン証券、サムスンSDS、サムスンカードの3社は5月28日、国内最大手取引所Upbitを運営するDunamuの株式139万株を、Kakao Investment等から総額約6,128億ウォン(約4億800万ドル)で取得すると公表した。サムスン証券が2%、残り2社が各1%を保有し、合計4%の持分となる。発行体・流通体制を活用したトークン化証券、ブロックチェーン基盤の決済エコシステム、ウォン建てステーブルコイン対応など、サービス連携の対象は広範に及ぶ。5月15日にはHana銀行も6.55%の取得を表明しており、デジタル資産基本法施行を見据えた財閥系の地殻変動が鮮明になってきた。

米国では業界の政治的影響力が予備選結果に色濃く表れた。5月26日に実施された米テキサス州予備選決選投票では、業界系スーパーPAC「Fairshake」などが支援した6候補がすべて勝利。第18選挙区では新人クリスチャン・メネフィー氏が、20年現職で反アルトコイン姿勢を貫いてきたアル・グリーン氏を破った。Fairshakeは同選挙区に約650万ドルを投じ、その大半をメネフィー氏支持の広告に充当したとされる。グリーン氏はCLARITY法案やGENIUS法案にも反対票を投じ続け、業界擁護団体から「F評価」を付与されていた。アンカレッジとチェーンリンクが支援する別PACも他候補へ直接献金を行っている。
規制対応の精緻化も進む。ブロックチェーン分析企業Chainalysisは5月27日、近く公開する「The New Rails」レポートのプレビューを公表し、業界のコンプライアンス基準が大幅に厳格化していると指摘した。アラート重大度や最低検知額を組み合わせた指数では、2020〜2021年に参入した企業のうち当時の上位10%水準を満たしていたのは約10%にすぎなかったが、2026年に参入した組織では半数近くが当時のトップティアと同等の積極的な監視体制を導入しているという。一方で、仲介アドレスを経由する「間接監視」では各社の閾値が直接監視比で10〜20倍緩く設定される傾向が残り、ランサムウェアや詐欺の資金洗浄経路として悪用される余地が指摘された。
これらの動きは、規制整備と機関化の同時進行という大きな潮流の中にある。日銀を含む7中央銀行が参加する国際決済銀行(BIS)の「プロジェクト・アゴラ」は、トークン化した中銀準備預金と商業銀行預金を同一基盤で扱うクロスボーダー決済の実証に成功し、実資金フェーズへの移行を視野に入れる。日本では金融庁が海外発行ステーブルコインの国内利用を6月から認め、決済額は累計78億ドルに到達。コンプライアンス強化、財閥資本の参入、政治献金、そして公的決済インフラのトークン化が同時に進む構図は、暗号資産が投機的フェーズから制度内資産へと移行する転換点を象徴している。