via あたらしい経済 · あたらしい経済編集部著
プログマら、「トークン化国債」WG設置。日本国債のトークン化とT+0レポ取引を検討

3メガ銀やブラックロックら参加
デジタルアセット発行・管理基盤「Progmat(プログマ)」提供のプログマ社が主催する「デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)」が、日本国債をブロックチェーン上でトークン化し、ステーブルコイン(SC)を用いたオンチェーン・レポ取引の実現を目指す「トークン化国債・オンチェーンレポ ワーキング・グループ(WG)」の設置と共同検討を開始した。プログマが5月8日に発表した。
プログマの発表資料によると、WGでは日本国債に関する権利を「Tokenized JGB(TJGB)」としてオンチェーン上で管理し、DeFi(分散型金融)型レンディングプロトコルを介した機関投資家向けレポ市場の構築を検討するという。
参加予定組織には、3メガバンク・信託銀行グループをはじめ、ブラックロック・ジャパン、東京海上ホールディングス、大和証券、SBI証券、日本証券金融など多数の金融機関が名を連ねる。また、レンディングプロトコルのセキュアード・ファイナンス(Secured Finance AG)、アバランチ(Avalanche)関連企業のアバラボ(Ava Labs)、カントンネットワーク(Canton Network)関連のデジタルアセットホールディングス(Digital Asset Holdings)など、ブロックチェーン関連組織も参加予定だ。
プログマが発表した資料によると、国債を担保にした短期資金市場であるレポ市場は、2024年末時点で残高約16兆ドル(約2,509兆円)に達し、2022年比で約20%成長したという。日本市場は世界全体の約1割を占めており、ヘッジファンド等の非居住者による円転運用需要の増加を背景に、国内でも取引残高が拡大しているとしている。
また「日本経済新聞」の5月7日の報道によると、金融機関各社が検討を急ぐ背景には、海外で米国債のトークン化やオンチェーン・レポの取り組みが進展していることがあるという。プログマの資料では、2025年8月に大手金融機関コンソーシアムが米国債とUSDCを用いたオンチェーン・レポ取引を実証したほか、同年12月には米国証券決済機関(DTCC)がDTC保管の米国債トークン化拡大計画を公表したとしている。さらに、RWA.xyzベースでは約3,392億ドル(約53兆円)規模のレポ取引がオンチェーン化されていると説明されている。
このWGが目指すのは、日本国債に関する権利をトークン化したTJGBを担保証券、ステーブルコインを貸借資金として、レンディングプロトコル上でオンチェーン取引を実現する仕組みだ。現在、日本国債レポ取引の決済は取引成立翌日の「T+1」が標準となっている。一方、プログマ資料によると、TJGBとステーブルコインを組み合わせることで「T+0」、すなわち当日中のポジション構築・クローズを可能にする構想が検討されている。
資料では、こうした設計が実現した場合、銀行や機関投資家など資金の借り手にとっては、日中で取引を解消することで、日締め時点のバランスシートへの影響や、リスクウェイト・レバレッジ規制負担を軽減できる可能性があるとしている。また、ヘッジファンドなど資金の貸し手側にとっても、国債担保による安全性と高流動性を両立できる可能性があるという。さらに資料では、外貨建てステーブルコイン保有者にとって、円転妙味の最大化につながる可能性についても言及されている。
プログマ資料によると、WGでは国債トークン化の方式として、登録国債自体をトークン化する方法、振替国債自体をトークン化する方法、そして振替国債に紐づく権利をトークン化する方法など、複数の方向性を検討するという。それぞれについて、法改正・税制改正負荷、既存市場インフラへの影響、オンチェーン化効果、実務運用負荷などを整理する方針だ。
また資料では、日本国内では振替国債を前提とした既存インフラが強固に存在しているため、「置換・併存コストを上回る実需の特定が不可欠」との課題認識も示されている。
WGは2026年5月にキックオフし、約3週間ごとのWeb検討会を経て、同年10月に税制を含む法的論点を整理した報告書を公表する予定だ。並行して非公開の概念実証(PoC)プロジェクトも進める予定で、報告書を踏まえたTJGB組成・商用化プロジェクトを2026年内に開始することを目標としているという。
なお日本経済新聞によると、日本ではデジタル証券の発行累計額は約3,600億円に達しているものの、その大半は個人投資家向け不動産STであり、国債STが実現すれば機関投資家向けの新たな大型市場になる可能性があるとしている。
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