米クラリティ法案14日審議へ、ブータン100BTC売却、コインチェック・KDDI業務提携で新会社設立
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暗号資産ニュース
米上院銀行委員会は5月12日、暗号資産市場構造法案「CLARITY Act(クラリティ法案)」の最新草案を公開した。5月14日に予定されるマークアップ審議に先立ち提示された309ページの修正版には、ステーブルコイン残高に対し銀行預金と経済的・機能的に同等な利息支払いを禁じる条項が盛り込まれた一方、プラットフォーム上の実際の取引活動に紐づく報酬は容認する妥協案が示されている。連邦政府高官の暗号資産取得を制限する倫理条項は委員会管轄外として現時点では非収録となり、民主党のビットコイン関連法整備をめぐる賛同確保が当面の焦点となる。

ブータン王国政府が保有ウォレットから100BTC(約810万ドル)を移動させたことが、オンチェーン分析により確認された。2026年年初来の売却総額は2億3,039万ドル(約362億円)に達し、残存保有量は約2億5,200万ドル相当に縮小している。月平均約5,000万ドルの売却ペースが続けば、9月末には保有残高がゼロに達する見通しだ。同国は余剰水力電力を用いたマイニングにより取得コストがほぼゼロのため、売却益はほぼ全額が純利益となる。世界第7位の主権保有国が数少ない大口売り手として動く構図は、機関投資家による積み増しと対照的な需給シグナルを発している。
マネックスグループは5月12日、2026年3月期通期決算を発表し、コインチェック、Coincheck Group N.V.、3iQ Digital Holdingsで構成されるクリプトアセット事業の営業収益が175億9,200万円(前期比9.7%増)となったことを明らかにした。コインチェックの取引所売買代金は4兆1,294億円で前期比21.3%減、販売所は3,126億円で同7.4%減と縮小したが、新たに計上されたステーキング収益25億2,800万円が増収を牽引した。3iQ運用ファンド経由のステーキング関連収益も167.7%増の8億8,200万円となり、現物売買依存からの収益構造転換が決算数値に表れている。
クラリティ法案の修正案には第604条としてブロックチェーン規制確実性法(BRCA)が組み込まれ、非カストディ型ソフトウェア開発者を連邦法上の「送金事業者」として扱わない方針が明文化された。DeFi(分散型金融)領域の開発者保護を制度面から後押しする内容で、業界団体は条文採用を歓迎する姿勢を示している。一方で、地方・州レベルの執行権限に空白が生じる可能性を懸念する声も法執行機関から上がっており、共和党のグラスリー議員らが調整した補完条項が直前に盛り込まれた。第404条のステーブルコイン利回り規制と並ぶ重要論点として14日の審議で精査される見通しだ。

コインチェックは同日、KDDIと業務提携契約を締結し、KDDI、auフィナンシャルホールディングス、コインチェックの3社による新会社「au Coincheck Digital Assets」を組成したと発表した。新会社はau PAY内のミニアプリとして提供されるノンカストディアルウォレットを中核に、暗号資産やステーブルコインを含むデジタル資産関連サービスを展開する。KDDIはau PAYの会員数約3,967万人を擁し、提携によりau経済圏ユーザーへの暗号資産アクセス拡大を図る。同時に発表された第三者割当増資の発行総額は6,506万3,256ドルで、Coincheck Group N.V.が引受先となる構図だ。
ビットコイン投資戦略で知られるメタプラネット社は5月11日、株主向け優待施設「Metaplanet Lounge」内のコミュニティスペースを公開した。空間中央のラウンドテーブルを半円状に囲むソファ配置や円形照明は「コミュニティの縁」を象徴する設計とされ、単なる休憩スペースを超えた株主同士の交流拠点として位置付けられている。ビットコインを中核に据えた経営戦略への賛同層を物理的なコミュニティとして可視化する試みで、トレジャリー企業のブランディング手法として国内市場で注目を集めている。財務戦略と株主基盤強化を結びつける動きが、新たな企業統治モデルとして浮上しつつある。
ブロックチェーンセキュリティ会社CertiKの調査によると、2026年1〜4月に物理的脅迫により失われた暗号資産は1億ドルを超えた。誘拐や暴行を伴う「レンチ攻撃」は現行ペースで年間約130件規模となる見込みで、地域別では欧州が全体の82%を占めフランスが突出している。仏内務省の集計では同国だけで41件が確認され、約2.5日に1件のペースで発生中だ。フランス税務当局職員が保有者の個人情報を犯罪組織に売却した事案も発覚しており、漏洩データが攻撃の起点になっている懸念が広がる。Binanceは最大7日間の出金ロック機能を導入し、強制送金への抑止力強化に動いている。コールドウォレット運用と物理的安全意識の両立が新たな課題となる。

今サイクルの中心テーマは「制度化」と「現実世界リスクの可視化」の同時進行だ。米国でのクラリティ法案審議入りやBRCAによるDeFi開発者保護はブロックチェーン業界の法的確実性を高め、国内ではコインチェック・KDDI連合や三井物産デジタル証券が示すようにアルトコイン含むデジタル資産を既存金融に組み込む動きが加速する。一方でブータンの大量売却や1億ドルに達したレンチ攻撃被害は、機関化が進むほど主権保有者の出口戦略と個人保有者の物理的安全がリスク要因として鮮明になることを示す。規制と実需の両軸で市場成熟が試される局面にある。