ECBがドル建てステーブルコインに警鐘、自民党は円建てETF推進を提言、Robinhoodが1.8億ドルでカナダ参入
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暗号資産ニュース
欧州中央銀行(ECB)のイザベル・シュナーベル専務理事は6月1日、ソウルで開催された韓国銀行の会議で、ドル建てステーブルコインの利用拡大が「米ドルの世界的支配力をさらに強化する」可能性があると警告した。同氏は、その影響はネットワーク効果、規模、先行者利益によるものであり、必ずしも経済ファンダメンタルズの強化に基づくものではないと指摘。国際通貨基金(IMF)のデータによれば、外貨準備に占めるドル比率は2000年代初頭の70%から2025年には57%未満へ低下したが、ステーブルコインの急成長がこのトレンドを反転させる可能性があるとした。ユーロの国際的役割や金融政策の伝達経路への悪影響も懸念事項として挙げ、トークン化金融におけるユーロの地位低下リスクを強調した。
自民党のブロックチェーン推進議員連盟は6月1日、円建てステーブルコインのアジア決済での活用促進と、暗号資産ETF(上場投資信託)の取引を可能にする法整備を求める提言を、片山さつき財務相に提出した。同議連の神田潤一議員は、2027年5月に愛知・名古屋で開催されるアジア開発銀行(ADB)第60回年次総会を、円建てステーブルコインやブロックチェーン分野での日本の取り組みをアピールする好機と位置づけた。国内ではJPYC社が2025年10月27日に円連動型ステーブルコイン「JPYC」の正式発行を開始しており、3メガバンクも金融庁の決済高度化プロジェクト(PIP)の下で共同発行の実証実験を進めている。

米Robinhoodは6月1日、カナダの暗号資産技術企業WonderFiの株式取得を1億8,000万ドル相当で完了し、同国市場への本格参入を発表した。買収により、カナダ最大級の暗号資産取引所であるBitbuyとCoinsquareが同社傘下に入る。両取引所は2025年に合計4,980万ドルの売上を計上していた。WonderFiの経営陣と従業員はそのまま残留し、約30万人の入金顧客がRobinhoodに加わる見通しだ。調査会社の試算では、カナダの暗号資産市場は2025年に2億6,300万ドルの収益を生み出し、2033年までに10億ドルを超えると予測されており、北米で最も成長率の高い地域市場とされる。
世界最大の暗号資産取引所Binanceは6月1日、米国外の利用者を対象に米国上場株式・ETF7,000銘柄超の取引サービスを開始した。最低5ドルからの端株購入が可能で手数料はゼロ、USDCやUSDT、BNBなどのデジタル資産で建玉資金を充当できる仕組みだ。株式購入はNest Trading、カストディや配当処理はAlpacaが担当する。同社はさらに「bStocks」と呼ばれる機能の展開も予告しており、保有株式をBNBチェーン上のトークン化資産に変換し、貸付や流動性供給などDeFiの各種ユースケースに活用可能となる見通し。トークン化株式の日次取引高は5月19日に過去最高の35.7億ドルに達しており、市場規模の拡大が続いている。

Michael Saylor氏が率いるStrategy社は、永久優先株「STRC」の配当利回りを11.5%に据え置いた。月次配当の変更が見送られたのは4カ月連続で、STRCは2025年7月に9%の利回りで導入されて以降、これまで7回の配当引き上げを経てきた。同株の出来高加重平均価格(VWAP)は99.62ドルに達し、額面の100ドルに近い水準を維持。価格安定はATM(市場価格発行)プログラムを通じた追加株式発行を効率化し、得られた資金をビットコイン購入や2029年満期の転換社債返済に充当することを可能にする。Saylor氏は週末のSNS投稿で「Working Better」と発信し、戦略継続の姿勢を改めて示した。
Stripeが2025年に買収したウォレット技術企業Privyは、新規開発者の3分の1以上がAIエージェント関連のアプリケーションを構築していると明らかにした。同社マーケティング責任者のDebbie Soon氏によれば、エージェント駆動型の活動は開発者基盤の中で最も急成長する分野の一つとなっている。Privyはウォレットコマンドラインツールをリリースし、各AIエージェントが独自のアカウントを保持できる設計を採用。Soon氏は「人間が定義したガードレールの中でエージェントが代理行動を取れるようにする」ことが設計上の核心と説明した。CoinbaseやTrust Walletも同様のエージェント向けツールを投入しており、エージェント型金融が実験段階からインフラへと移行する兆しが鮮明になっている。

今サイクルの基調を貫くのは、規制当局による通貨主権の防衛、伝統金融プレイヤーによる暗号資産インフラへの本格参入、そしてAIエージェント経済の台頭という三つの潮流である。ECBの警告と自民党の提言はいずれも、ドル建てステーブルコインの覇権に対するそれぞれの通貨圏の戦略的応答であり、RobinhoodとBinanceの動きは伝統金融とデジタル資産の垣根が急速に消失する現実を示す。Strategy社の強気相場を前提とした蓄積戦略は機関資本のロックアップを象徴し、PrivyのAIエージェント拡大はオンチェーン金融の自動化を予告する。規制・機関・自動化が交錯する次の市場局面が、いま姿を現しつつある。