Bit Digitalが15.8万ETH保有へ、スタンチャートは2026年4,000ドル予想—プライバシー機能で勝負の12カ月
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Ethereumニュース
ナスダック上場のBit Digitalは、5月11日付で約8,568ETHを2,000万ドル(約32億円)で追加取得したと開示した。平均取得単価は1ETHあたり2,334.25ドルで、現在のスポット価格約2,019ドルを上回る水準での逆張り買いとなる。これにより同社のイーサリアム(ETH)保有量は約158,461ETHに到達し、世界の上場企業として最大級のETHトレジャリーを構築した。CEOのサム・タバー氏は「市場環境が自社のテーゼと合致したとき、実行する」と述べ、平均取得コスト引き下げと株主向けNAV成長を狙いとして強調している。同社はETH戦略・AI/HPCインフラ・戦略的買収の3本柱で事業を構成する。

マクロ環境ではマイニング業界の事業転換も同時に進む。カナダ拠点の大手マイナーHut 8は、2つのハイパースケールAIキャンパスで約168億ドル規模の長期契約リース収益を確保したと開示し、純粋なBTCマイナーから「AI向けインフラ大家」への軸足移動を加速させた。これは収益構造の多角化が業界全体のトレンドになりつつあることを示しており、ETHトレジャリー積み増しを進めるBit Digitalとは対照的に、計算資源の用途を仮想通貨採掘以外へ振り向ける流れが鮮明化している。市場では、こうしたインフラ事業者の戦略分岐が中期的なブロックチェーン需給に与える影響が注目されている。
機関投資家向けの取引インフラ面でも転機が訪れる。米CMEグループは5月29日、仮想通貨先物・オプションの24時間365日取引を正式に開始する見通しだ。これにより、機関勢が長年「CMEギャップ」と呼んできた週末の取引空白が解消に向かうと期待されている。週末に発生する現物市場とのプライス差が裁定取引で速やかに埋まる構造へ移行することで、月曜オープンの不連続な値動きや、それを起点としたリクイデーション連鎖のリスクが構造的に低下する可能性がある。ETHを含む主要アルトコインのデリバティブ流動性にも、間接的なポジティブ材料となりうる。
ファンダメンタルズ評価では、スタンダードチャータード銀行のデジタル資産調査グローバル責任者ジェフリー・ケンドリック氏が強気スタンスを再確認した。同氏はETHの足元の価格低迷について「2001年ドットコムバブル崩壊時のアマゾン株に酷似する」と指摘し、ジェフ・ベゾス氏の発言を引用しつつ「株価は企業ではない。内部指標が改善し続けるなら、価格は時間の問題で追いつく」との見解を示した。ETHは2025年8月の過去最高値(ATH)4,946ドルから約60%下落する一方、トランザクション件数とETH建てTVLはいずれもATH近辺で推移している。

ケンドリック氏は強気テーゼの中核としてステーブルコインとトークン化現実資産(RWA)におけるETHの優位性を挙げる。現状3,210億ドルのステーブルコイン時価総額の54%がイーサリアム上にあり、ネットワーク全TVLの60%、2026年初来トランザクションの約3分の1をステーブルコインが占める。非ステーブルコイン系RWAでもETHは約62%、オンチェーンローンの68%を握る。DeFi(分散型金融)を超える領域での独占的地位を踏まえ、同行は2026年末4,000ドル、2030年末4万ドルというETHの長期目標価格と、ETH/BTC比率の0.08回復シナリオを維持した。
エコシステム側では、コア開発陣がプライバシー機能の組み込みを急ぐ動きが顕在化している。背景には、ETH価格が年初来で約30%下落する一方、Zcashなどプライバシー特化型銘柄が大幅高となっている市場構造がある。開発者コミュニティは「勝負の12カ月」と位置づけ、機関ユース拡大とリテール用途双方で競争力を回復させる狙いだ。同時にイーサリアム財団(EF)の内部統治を巡る議論も再燃しており、2026年に入って8名の主要貢献者が離脱したと報じられた。コア開発のロードマップ実行とコミュニティ統率の両立が、ETH反発の制度的前提条件として浮上している。
テクニカル面では、ETHはスポット2,014.58ドル付近で前日比+1.95%と小幅反発したが、24時間出来高100億ドル超を伴うものの、依然として下降トレンド継続中だ。直近サポートは2,009.82ドル、続く防衛ラインは1,942.97ドル・1,875.80ドル。レジスタンスは2,053.99ドル、2,131.21ドル、2,214.27ドルに位置する。RSIは32.14と売られすぎゾーン入りでテクニカル反発余地を示唆する一方、MACDはベアシグナルを継続。強気シナリオは2,054ドルを日足終値で奪回し2,131ドルを試す展開、弱気シナリオは1,942ドル割れで1,875ドルへの押しが視野に入る。ケンドリック氏のテーゼの妥当性は、当面この支持線群が守られるかで試される。
