日本大手証券が仮想通貨投信を準備、Forsage 3.4億ドル詐欺で米移送、Binance分析で不正資金回収率55倍
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暗号資産ニュース
日本国内の大手証券会社が、ビットコイン(BTC)などを組み入れた投資信託の販売準備を本格化させていることが明らかになった。SBI証券と楽天証券はすでに自社グループ内で商品開発に着手しており、野村証券、大和証券、SMBC日興証券といった対面型の大手も制度設計が固まり次第参入する構えだ。金融庁は2028年までに投資信託法の施行令を改正し、仮想通貨を投信およびETFの組入対象に正式に位置付ける方向で動いている。並行して進む金融商品取引法改正により、売却益への課税は現行最大55%から株式・債券並みの20%へ引き下げられる見通しで、個人投資家の参入障壁は大きく後退する。

仮想通貨マルチ商法「Forsage(フォーセージ)」の共同創設者として起訴されていたウクライナ国籍のオレナ・オブラムスカ被告(42)が、タイから米国へ身柄を移送されたと米国司法省オレゴン地区検察局が発表した。電信詐欺の共謀罪で起訴された同被告は無罪を主張している。Forsageは表向きブロックチェーン上のスマートコントラクトを活用した分散型マトリックス事業を標榜していたが、実態は世界各国から約3億4,000万ドルを集めたポンジ・スキームだったとされる。連邦地裁は拘置を命じ、4日間の陪審裁判は2026年7月14日に開廷予定。有罪となれば最長20年の連邦拘禁刑が科される可能性がある。
仮想通貨に絡む不正資金の回収率が、法定通貨を大きく上回ることを示す分析が公表された。バイナンス・リサーチがまとめたレポートによれば、2025年における不正仮想通貨の差押・回収率は約11%に達しており、年1%未満にとどまる法定通貨の不正資金回収率と比較すると55倍の水準だ。集計はテザー、インターポール、T3フィナンシャル・クライム・ユニットなどが公表した差押実績を積み上げたもので、約150億ドル規模のプリンス・グループ案件を除いても法定通貨比10倍を維持する。ブロックチェーンセキュリティ企業の集計では、2025年に盗取された資産の8.3〜13.2%が回収または凍結されており、取引所・発行体・捜査機関の連携深化が成果として表れた格好だ。
ストラテジーの共同創業者マイケル・セイラー氏は、自社が発行する永久優先株「STRC」の株主に対し、配当支払い頻度を月1回から月2回(半月払い)に変更する定款修正案への投票を呼びかけた。年率11.5%の配当率や年間配当総額に変更はなく、可決されれば最初の半月払いは2026年7月15日に支払われる予定だ。修正の狙いは目標株価100ドル近辺での価格安定性向上、権利落ち日のサイクル性緩和、流動性改善にある。承認されれば世界の配当付有価証券約2万4,000銘柄の中で唯一、半月払いを実施する優先株となる。STRCは同社のビットコイン購入戦略を支える資金調達手段の一翼を担う。

日本円ステーブルコイン「JPYC」を発行するJPYC株式会社は、発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」の大型アップデートを実施した。柱となるのは発行上限ルールの見直しで、従来の「1日あたり100万円」から「1回あたり100万円」へと改定され、ユーザーは1日に複数回の発行申請が可能になる。ただし資金決済法に基づく不正利用防止の観点から、短時間での連続申請は引き続き制限される。償還手続きも簡素化され、事前登録済みウォレットアドレスであれば、対応する任意のネットワーク経由で送付されたJPYCを償還対象とする運用に切り替わった。同社は2025年8月に国内資金移動業者として初めて日本円ステーブルコインの発行ライセンスを取得している。
制度整備の追い風は海外市場の動向にも裏付けられている。米国では2024年1月の現物ビットコインETF承認以降、機関投資家需要が急拡大し、2026年5月時点の運用資産残高は1,042億ドルに達した。累計純流入額は580億ドル、保有残高は約130万BTCに上り、流通量の6〜7%を占める規模だ。アジア圏でも香港が2024年4月にBTC・ETHのETFを解禁し、オーストラリアでは同年6月に現物ETFが承認された。日本取引所グループの山道裕己CEOも仮想通貨ETF上場の検討を表明しており、東京市場におけるアルトコインを含むETF商品の登場も射程に入りつつある。
今週のニュースが示す通底のテーマは、伝統金融と仮想通貨の制度的接続が一段と深化していることだ。日本の大手証券による投信販売準備、ストラテジーによる優先株配当の高度化、JPYCのオペレーション拡張は、いずれも個人・機関投資家がより自然な形でDeFiや暗号資産にアクセスする経路を整備する動きだ。一方でForsage事件はマーケティング装飾としてのコンセンサスメカニズム悪用の根深さを示し、バイナンス・リサーチの分析はオンチェーンの透明性が捜査力に転化し始めた現実を裏付ける。規制整備と投資家保護、そして機関化が並走するサイクルが今後の主旋律となる。