米財務省イラン関連暗号資産1600億円押収、ICEがハイパーリキッドと協議・CFTCがコインベース無期限先物を承認

(22:41 UTC)
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暗号資産ニュース

米財務省のスコット・ベッセント長官は5月29日、カリフォルニア州シミバレーで開催された2026年レーガン国家経済フォーラムにおいて、イラン政権に関連する仮想通貨の押収総額が約10億ドル(1,600億円相当)に達したと公表した。同長官は「ウォレットを直接差し押さえた。今この瞬間も、押収に気づかずアクセスを試みている人物がいるかもしれない」と述べた。4月29日時点では押収額を約5億ドルと説明していたことから、約1か月で倍増した形だ。米政府はこれら一連の措置を「オペレーション・エコノミック・フューリー」の一環と位置づけ、制裁回避の遮断を急いでいる。ビットコインを含む差し押さえ資産は戦略準備の積み上げにも活用される方針だ。

米財務省イラン関連暗号資産押収

米インターコンチネンタル取引所(ICE)のジェフリー・スプレッチャーCEOは同日、バーンスタイン主催のカンファレンスで、分散型デリバティブ大手ハイパーリキッドと相互に協議・学習を進めていることを明らかにした。同CEOは「彼らの規模はナスダックを上回り、11人のチームで運営されている」と評し、24時間稼働の仮想通貨デリバティブ市場が伝統的な規制取引所に与える圧力を強調した。さらに、規制対象取引所でも無期限先物の提供を認めるよう当局に公平な競争環境を要求。ハイパーリキッドの週次手数料は1,400万ドルに達しており、業界全体で第3位の手数料収益プロトコルとなっている。分散型取引所(DEX)の存在感が、上場巨大インフラ企業の戦略をも変えつつある。

米商品先物取引委員会(CFTC)は同日、コインベースが米国顧客に対しオフショアの仮想通貨無期限先物市場へのアクセスを提供することを正式に認可した。コインベースは昨年29億ドルで買収したオプション取引所Deribitを通じ、グローバルな永久先物の流動性に米国機関投資家を接続する。対象はビットコインやイーサリアム、ソラナなどの「デジタル商品」カテゴリーに該当する銘柄で、コインベースは提供対象を「目的に適した資産」に限定する方針だ。直近1か月の無期限先物取引高は5,880億ドルを超え、DeFi全体の流通額を大幅に上回っており、米国上陸が市場構造に与える影響は大きい。

同じくCFTCは予測市場プラットフォームKalshiに対してもビットコイン無期限先物の提供許可を発出した。規制された米国取引インフラ上で永久先物が解禁される流れが一気に加速しており、ICEのスプレッチャーCEOが指摘する「公平競争」の要求にも追い風となる動きだ。永久先物はレバレッジを用いた高リスク・高収益な商品であり、過去には急変動による19億ドル規模のロスカット連鎖が発生した経緯もある。米国機関の本格参入を受け、ボラティリティの高い相場局面ではポジション清算の波及効果がより複雑化する可能性があり、リスク管理のあり方が改めて問われそうだ。

ICEとハイパーリキッドの協議

規制論争も激化している。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、米議会で審議が進む「CLARITY法案」を公然と批判し、コインベースのブライアン・アームストロングCEOを名指しで非難した。ダイモン氏は「銀行のように振る舞う事業者は銀行として規制されるべきだ」と主張し、ステーブルコイン報酬を通じた預金流出リスクや、クロスボーダー決済における資金洗浄(AML)上の懸念を強調した。米銀行協会や地域金融機関も法案の現行案に反対しており、市場構造法制をめぐる議論は政治的対立の様相を強めている。ブロックチェーン技術を活用した新興プレーヤーと既存金融の主導権争いが、規制設計の最終局面で噴出した格好だ。

株式市場ではAIサーバー需要が新たなマクロ変数として浮上している。レノボの株価は5月単月で109%上昇し、1999年以来の上昇率を記録した。第4四半期売上高は前年比27%増の216億ドル、純利益は同479%増の5億2,100万ドルに達し、AI関連売上は前年比84%増で全社売上の38%を占めた。ゴールドマン・サックスは目標株価を倍以上に引き上げた。マイニング企業のAI転換、ハイパースケーラー需要の波及、半導体・電力インフラ需要の拡大は、暗号資産マイニング・データセンター業界にとっても収益構造の選択肢を広げる材料だ。AIテーマと暗号資産インフラの相関性は今後さらに強まる見通しだ。

今サイクルの主軸テーマは、地政学的リスクと制裁執行が暗号資産市場の構造そのものを再定義しつつある点に集約される。1,600億円規模のイラン資産押収は、ステーブルコイン発行体を含む民間インフラが国家安全保障の執行レイヤーに組み込まれた現実を示し、米国当局による無期限先物の段階的解禁とCLARITY法案論争は、デリバティブ流動性の主導権がオフショアからオンショアへと移行する歴史的転換を示唆する。ICEとハイパーリキッドの接近、AIサーバー需要の急拡大が示すように、規制・地政学・テクノロジーの三要素が結節し、機関投資家マネーのアルトコイン市場および主要ビットコイン市場への流入経路を再構築している。

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Hiroshi Nakamura

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