SBI・楽天が暗号資産投信販売へ、対面11社追随で税率20%移行──JPYC週次で偽物警戒も
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SBI証券と楽天証券が、金融庁による制度整備を経て解禁が見込まれる暗号資産(仮想通貨)組み入れ投資信託の販売に乗り出す方針を固めた。両社は2028年の解禁を見据え、グループ会社による商品設計を進めている。SBIホールディングスはすでに昨年8月の決算説明会で暗号資産投信およびETF組成計画を公表しており、金(ゴールド)ETFを主軸とした投信に加え、ビットコイン(BTC)やXRPを組み入れた東証上場型ETFの構想を打ち出している。楽天証券はスマートフォンアプリ経由での売買インフラ整備も視野に入れる構えだ。
ネット系2社に続き、対面大手では野村、大和、SMBC日興、みずほ、三菱UFJモルガン・スタンレー、松井、マネックス、三菱UFJ eスマート、岡三、東海東京、岩井コスモの11社も販売検討に入った。背景には、暗号資産を金融商品として位置付ける金融商品取引法改正案の存在がある。同法案は2027年施行見通しで、税制改正大綱では現行最大55%の総合課税から一律20%の申告分離課税への移行が明示された。新税制とETF解禁は、2028年1月の同時施行が公算大とされる。

日本円ステーブルコイン発行企業JPYC株式会社は、自由民主党デジタル社会推進本部AI・web3小委員会が公表した「AIホワイトペーパー2.0」に関する公式見解を発表した。同社が特に重視するのは、AIエージェントによる決済が普及する局面で求められる「決済インフラの再設計」である。AIが自律的に取引を実行する時代に向け、円建てステーブルコインが既存銀行決済の制約を補完しうる基盤として機能する余地を示した。規制と技術革新を架橋する政策提言として、業界内での関心を集めている。
同社は同時期、偽JPYC・類似トークンに対する注意喚起も発信した。ウォレットやDEX(分散型取引所)で「JPYC」を検索した際、名称・ロゴ・シンボルが本物に酷似したトークンが表示される事例が増加しているという。同社は被害防止のため、トークン名やロゴだけで判断せず、必ず公式情報に基づくコントラクトアドレスの確認を行うよう強く呼びかけた。ステーブルコイン市場の拡大に伴い、フィッシング型詐欺の手口が高度化している実態を浮き彫りにする事案である。
広報施策として、JPYCの広報特命大使を名乗るアカウント「JPYCちゃん」がXでの活動を開始した。同アカウントは社員ではなく、プレスリリースや会見要旨など公表情報をもとに、JPYCや円建てステーブルコイン周辺の話題をかみ砕いて発信する役割を担うと自己紹介している。平日ほぼ毎日12時頃の投稿が予定されており、専門用語が多いブロックチェーン領域への一般層の入口として設計された格好だ。普及促進と教育的アプローチを両立させる広報戦略といえる。
こうした国内整備の動きは、海外市場における暗号資産ETF環境の先行展開と歩調を合わせる形となる。世界全体の暗号資産時価総額は2026年4月末時点で2兆5,500億ドル(約400兆円)規模に達した。米国では2024年1月に現物ビットコインETFが上場承認されて以降、カナダ・香港・オーストラリアでも取扱拡大が進む。米現物ビットコインETFには2026年4月単月で約19.7億ドル(約3,094億円)の資金流入が確認されており、ETF経由での資金配分が機関投資家層で定着しつつある強気相場のサイクルを示唆する。
今週の動きが映すのは、規制制度・税制・商品設計・市場リテラシーが同時進行で再構築される局面である。SBI・楽天を含む大手証券13社の参入意向は、暗号資産が「投機資産」から「金融商品」へと位置付けを変える転換点を示唆する。一方、JPYCをめぐる偽トークン警戒は、制度整備とユーザー保護の足並みが必ずしも揃わない現状を浮き彫りにした。アルトコイン含む幅広い銘柄が制度枠内に組み込まれる過程で、機関主導の資金流入と個人投資家の入口拡張が同時並行で進む構図が鮮明になっている。