Bitmineが9.5%配当の優先株で3億ドル調達、IRENは豪州800MWデータセンター発表、SECは規制明確化へ転換
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イーサリアム(ETH)トレジャリー企業のBitmine Immersion Technologiesが、3億ドル規模のシリーズA永久優先株発行を計画していることが、米証券取引委員会(SEC)への提出書類で明らかになった。発行株数は300万株、額面は1株100ドルで、年率9.5%の配当が毎週現金で支払われる設計だ。同優先株はティッカー「BMNP」でニューヨーク証券取引所への上場を目指す。同社はこれまで541万ETH超を蓄積し、総循環供給量の4.49%に相当する保有を築いてきたが、ETH価格の下落により含み損は約90億ドルまで拡大しており、今回の調達はバランスシート補強の意図がにじむ。
ビットコイン(BTC)マイナーからAIインフラ事業者へ軸足を移しつつあるIRENは、オーストラリア初となる800MW規模のデータセンターキャンパス計画を打ち出した。建設地は南オーストラリア州バンディーで、アデレード北東約125kmに位置する。同社は州内の電力会社と送電接続契約を締結し、330kVフィーダー出口4本を確保。ネットワーク増強を必要とせず800MWの電力を引き出せる見通しだ。通電開始は規制承認を前提に2028年以降を見込む。同州が2027年までに再生可能エネルギー100%を掲げる点を踏まえ、APACのAI需要に対応するクリーン電源拠点として位置付ける。建設期に500人超、稼働後も200人超の継続雇用を生む計画だ。
米SECは6月2日、2026〜2030会計年度の戦略計画案を公表し、デジタル資産および分散型台帳技術向けの規制基盤整備を重点目標の一つに掲げた。ポール・アトキンス委員長体制となって初の包括的な戦略文書で、トークン化証券、オンチェーン金融インフラ、カストディ、取引、ステーキングに対する法的明確性の提供を目標として明記。CFTCとの管轄整理にも踏み込んだ。前ゲンスラー時代の執行重視からルール整備重視への明確な転換を示唆する内容で、「その場限りの執行措置」による規制範囲拡大からは距離を置く方針が示された。ブロックチェーン業界が長年求めてきた明確化に向けた一歩と言える。
QRコード決済ゲートウェイ大手のネットスターズは4日、ノンカストディアル型ウォレットを提供するBitget Walletとの基本合意書締結を発表した。両社はステーブルコイン決済を含むWeb3決済の社会実装に向け、決済構想「StarPay-X」のマルチウォレット化で連携する。Bitget Walletは世界9,000万人超のユーザーを抱える自己管理型ウォレットで、ユーザー自身が秘密鍵を管理する構造が特徴。ネットスターズは羽田空港や姫路市の店舗でUSDCを用いた実店舗決済を既に実証してきたほか、5月にはAptosとも連携を発表しており、訪日客が国内店舗でステーブルコイン決済を利用できる環境構築を加速させている。
地政学リスクの面では、ルーブル裏付け型ステーブルコインA7A5がオンチェーン累計取引高110億ドルを突破したことが、セキュリティ企業の分析で明らかになった。同トークンは米ドル建て以外のステーブルコイン市場で約43%のシェアを占め、保有ウォレット数は2025年2月の1万3,000から2026年5月時点で2万9,000まで拡大。欧州連合の第19次制裁パッケージは2025年11月12日以降のA7A5関連取引を禁じたが、リザーブがキルギスとロシアの銀行網に置かれ、スマートコントラクトの凍結権限も西側の管轄外にあるため、西側の制裁が及ばない構造となっている。DEXを含む流通経路の多様化が、制裁の実効性に新たな課題を突きつけている。
暗号資産VCのVariant Fundは、初期段階スタートアップに焦点を当てた2億2,200万ドル規模の新ファンドを設立したと発表した。創業者のJesse Walden氏は、投資テーマを「自律性を拡張するテクノロジー」と定義し、パーミッションレスファイナンスやエージェント型金融分野の案件を中心に据える方針を示した。これに先立ち、a16zは22億ドル規模、Haun Venturesは10億ドル規模の新ファンドをそれぞれ立ち上げており、暗号資産分野へのVCマネー流入が本格的に再加速している。2026年第1四半期のVC投資額は44.1億ドル、第2四半期もこれまでに16.3億ドルが投じられ、AIとDeFiの交差領域に資金が集中している。
今回の6本のニュースを横串で見ると、現在のサイクルを貫くテーマは「資本構造の再設計」と「制度的明確化」の二軸だ。Bitmineの優先株調達やIRENのAIインフラ転換は、暗号資産企業が事業モデルそのものを伝統金融の文法に翻訳しつつある現実を映す。SECの戦略計画案転換とネットスターズの実店舗決済推進は、規制と実需の両面でビットコイン後の段階に入りつつあることを示唆する。一方でA7A5の拡大は、グローバルな規制協調の限界を浮き彫りにする。VCマネーの回帰と合わせ、市場は投機サイクルから機関化サイクルへの移行を着実に進めている。