北朝鮮ハッカー仮想通貨窃取20億ドル、a16z日本進出、CLARITY法案上院委員会通過
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暗号資産ニュース
サイバーセキュリティ大手クラウドストライク(CrowdStrike)が14日に公表した「2026年金融サービス脅威レポート」によれば、北朝鮮関連のハッカー集団は2025年に金融サービス業界から合計20億2,000万ドル(約3,232億円)相当の暗号資産を窃取し、前年比51%の増加となった。攻撃件数自体は減少した一方で、高額標的に絞り込むことで収益を大幅に拡大した形だ。中でも「PRESSURE CHOLLIMA」と呼ばれるグループが実行したサプライチェーン侵害は単独で14億6,000万ドルの被害をもたらし、金融分野で過去最大規模の窃盗事件となった。盗み出された資産は資金洗浄を経て北朝鮮政権の軍事・核開発計画の資金源に流用されているとみられる。

同レポートはAI(人工知能)を駆使した「攻撃の産業化」も指摘している。「FAMOUS CHOLLIMA」グループはAI生成の身元情報を活用して仮想通貨取引所、フィンテック、消費者向け銀行への潜入活動を倍増させ、「STARDUST CHOLLIMA」グループは合成ビデオ会議環境やAI生成のリクルーター人格を駆使して活動量を3倍に拡大した。中国系の「HOLLOW PANDA」や「MURKY PANDA」も36カ国150以上のエンドポイントから340組織を標的にしたという。リークサイトに掲載された金融機関は423社と前年比27%増。クラウドストライクの脅威対策責任者アダム・マイヤーズ氏は「AIにより身元偽装と認証情報窃取のコストはほぼゼロになった」と警鐘を鳴らした。
米上院銀行委員会は5月14日、暗号資産市場を連邦レベルで包括的に規制する「CLARITY Act(クラリティ法案)」を賛成15・反対9の超党派で可決し、上院本会議審議へ進めた。米国におけるブロックチェーン関連の規制明確化に向けた歴史的な進展と位置付けられる。法案の核心は、長年曖昧だった証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の管轄権整理にある。一方でステーブルコイン利回り規定、DeFi(分散型金融)開発者の責任を巡るBRCA条項、大統領や議員の利益相反防止のための倫理規定が争点として残る。本会議通過には60票以上が必要で、銀行業界のロビー活動や中間選挙日程が遅延リスクとなる。
米国を代表するベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)は、米国外で初となる海外拠点を今夏に日本で開設する方針を表明した。5月14日に共同創業者ベン・ホロウィッツ氏が高市早苗首相を表敬訪問し、直接伝達した。ホロウィッツ氏は判断材料として日本政府のスタートアップ支援策と安全保障分野での政策転換を挙げ、起業家支援プログラム「Speedrun」も国内で展開する計画を明らかにした。a16zはCoinbase、OpenSea、Uniswapといった暗号資産・DEX(分散型取引所)領域の主要プレーヤーへの初期投資で知られ、国内Web3スタートアップにとってシリコンバレー資本との接点が広がる転機となる可能性がある。

韓国金融最大手の一角であるハナ・フィナンシャル・グループは、子会社ハナ銀行を通じてUpbit運営会社Dunamuの株式228万4,000株を1兆32億ウォン(約1,000億円超、6億7,000万ドル相当)で取得することを取締役会で決議した。取得株式はカカオインベストメント保有の旧株で、6月15日の決済完了後、ハナ銀行の持分比率は6.55%となる。両社はウォン建てステーブルコインのインフラ整備でも協力する方針だ。ウリィ銀行も4月にMoonPayと同趣旨のMOUを締結しており、韓国の伝統金融機関による仮想通貨分野への資本参入が加速している。ネイバーフィナンシャルによる100億ドル規模のDunamu買収案件も並走しており、規制審査の行方が焦点となる。
暗号資産マーケットメイカーのDWF Labsは14日公開のレポート「The Pre-IPO Gold Rush」で、SpaceX、OpenAI、Anthropicといった著名未上場企業に連動するオンチェーン商品が、直近の未公開株評価額に対して20〜40%のプレミアムで取引されていると指摘した。創業からIPOまでの平均期間が1990年代の4〜5年から約12年に伸び、企業の高成長局面が上場前市場で進む構造変化が背景にある。商品形態はSPV裏付け型トークン、合成型永久先物、登録済みクローズドエンド型ファンドの3種類で、ショート流動性の乏しさが割高価格の修正を阻んでいる。割高でも買われる現象は、機関投資家中心だった強気相場の入り口を個人投資家がオンチェーンで突破している証左でもある。
東証スタンダード上場のリミックスポイントは15日、2026年3月期の連結決算を発表し、ビットコインを中心とする暗号資産評価損として58億9,300万円を計上した。売上高は177億5,100万円、最終損益は47億4,000万円の赤字となった。同社は3月末時点で総額229億円相当の暗号資産を保有し、4月末のBTC保有枚数は1,496.39BTCに達する。昨秋の経営体制変更後は新株発行による暗号資産取得を中止していたが、4月23日に約半年ぶりとなるBTC追加購入を公表。1週間で4回の取得を実施し、4月の取得額は計10億円に達した。SBIデジタルファイナンスのレンディングサービスを通じた保有BTCの運用も2月から始動している。
本日のニュースフローを貫く構造的テーマは、機関化と国家リスクの同時進行である。クラウドストライクが示した北朝鮮の20億ドル窃取とAI攻撃の産業化は、暗号資産が地政学リスクの主戦場と化している現実を突き付ける。一方でCLARITY法案の上院委員会通過、a16zの日本初拠点設置、ハナ銀行のDunamu出資といった一連の動きは、伝統金融と政策当局が業界を恒久インフラとして受け入れつつあることを示す。未公開株連動トークンへのプレミアム支払いと上場企業の評価損計上が並存する構図は、本格的な機関採用フェーズに先立つ価格発見の歪みであり、規制明確化の進展が次のサイクルの主導権を決定づける。