仮想通貨スポット取引が2年ぶり低水準、取引所はウォール街型商品へ軸足、セキュリタイズはNYSE上場へ前進

(05:20 UTC)
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暗号資産ニュース

中央集権型取引所のスポット取引高は4月に6,790億ドルまで落ち込み、2023年10月以来の月間最低水準となった。前年同月比では46%減、2025年10月に記録した市場の天井からは67%下回る水準だ。個人投資家による投機的な売買が細るなか、取引所は2年以上ぶりの低調な営業環境に直面している。長引く弱気相場(ベアマーケット)のもとでデジタル資産の値動きが鈍化し、手数料収入の柱だったリテール需要が縮小していることが背景にある。市場データは、活動の鈍化が一部の主要プラットフォームへの流動性集中を加速させていることを示している。

こうした逆風を受け、大手取引所の一部は金・銀・原油・株式・指数といった伝統金融型の商品に新たな収益源を求め始めた。伝統資産を対象とする無期限先物の取引高は2026年に急増し、3月には月間約4,500億ドルに達した。とくに金属関連の契約が中心で、ピーク月には金と銀だけで取引高の90%超を占めたとされる。確保した深い流動性と専門的な顧客基盤を活かし、24時間取引が可能な伝統資産と専門トレーダーへ軸足を移す動きは、ブロックチェーン業界と既存金融の境界が急速に溶けつつある現状を映し出している。

その象徴ともいえる動きが、トークン化インフラ企業セキュリタイズ(Securitize)のニューヨーク証券取引所(NYSE)上場計画だ。同社は6月5日、米証券取引委員会(SEC)がキャンター・エクイティ・パートナーズII(CEPT)との事業統合に関するS-4登録届出書の効力発生を宣言したと発表した。これは事業統合そのものの承認を意味しないが、株主投票へ向けた正式手続きに進める状態になったことを示す。承認可否は6月29日のCEPT株主総会に委ねられ、可決されれば統合後の新会社「セキュリタイズ・コープ」がティッカー「SECZ」でNYSEに上場する見込みだ。

セキュリタイズは現実資産(RWA)のトークン化インフラを手がけ、2026年4月時点の運用資産(AUM)は40億ドルを超える。これまでブラックロック、アポロ・グローバル・マネジメント、KKR、ヴァンエック、ハミルトン・レーンといった大手資産運用会社と提携し、トークン化投資商品の発行・運営を支援してきた。直近四半期の売上高は1,950万ドルで、前年同期比39%増と成長を続けている。共同創設者兼CEOのカルロス・ドミンゴ氏は、上場によってトークン化が主流金融市場の一部となるなかでインフラをグローバルに拡大できる立場になると述べ、機関投資家の採用拡大に向けた節目だと位置づけた。

RWAのトークン化は、市場全体の停滞をよそに勢いを維持している。オンチェーン上のRWA総額(ステーブルコインを除く)は5月に過去最高の320億ドルに達し、直近12カ月で約220%増加した。内訳ではトークン化された米国債が全体の約半分を占め、商品関連が16%程度で続く。一方、注目を集めるトークン化株式の比率は依然として4.8%(約15億ドル)にとどまり、本格的な普及はこれからだ。規制に準拠した発行・決済インフラの整備が進むにつれ、機関マネーがこの領域に流入する余地は大きいとみられる。

取引縮小と並行して進むのが、市場の構造的な集約だ。スポットと無期限先物の双方で板の厚みを確保した少数の取引所に流動性が集まり、薄商いのなかで価格形成の主導権が一部プレイヤーに偏りつつある。トークン化分野でも基盤の集中は顕著で、イーサリアムとレイヤー2ネットワークが合算で6割超のシェアを握る。デリバティブやトークン化証券の取引が高度化するなか、個人主導のDEX(分散型取引所)での投機から、専門性の高い機関向け取引へと重心が移る構図が鮮明になっている。

今サイクルを貫く支配的な物語は、暗号資産と伝統金融の融合、すなわち機関投資家主導のローテーションだ。リテール需要の後退はビットコイン(BTC)をはじめとするデジタル資産の短期的な逆風だが、その間隙を埋めるように取引所はウォール街型の商品へ、トークン化企業は公開市場へと向かっている。DeFi(分散型金融)の理念が掲げた分散とは逆に、流動性と上場の双方で集約が進む。投機の熱が冷めた市場で、制度化された資金とインフラがこの分野の次の成長を静かに準備しつつある。

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HN

Hiroshi Nakamura

COINOTAG yazarı

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