Galaxyが米NYでBitLicense取得、ステーブルコイン供給3,000億ドル超え──機関化と規制が同時加速
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Galaxy Digital(ギャラクシー・デジタル)は5月18日、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)からBitLicenseおよびMoney Transmission Licenseを取得したと明らかにした。承認を受けたのは子会社GalaxyOne Prime NYで、ニューヨーク州内の登録投資顧問、ヘッジファンド、ファミリーオフィスといった機関投資家向けに、規制下でビットコインを含むデジタル資産の取引・カストディサービスを提供する。同社が運用するデジタル資産は約90億ドルに達し、今回の認可で世界50超のライセンス体制をさらに拡張した形となる。マイク・ノヴォグラッツCEOは、ニューヨークが米国機関投資家資本の集積地である点を強調した。

元OpenAI研究者レオポルド・アッシェンブレナー氏が率いる投資会社Situational Awareness LPは、SECに提出した最新のForm 13Fで、開示済み株式エクスポージャーを2025年末の55億ドルから3月31日時点で136億7,000万ドルへ拡大したことを明らかにした。投資先にはIREN、Core Scientific、Riot Platforms、CleanSpark、Bitfarms、Bitdeer、Hive Digitalなどビットコインマイニング各社が並び、AIデータセンター需要拡大の恩恵を受ける電力・HPCインフラ提供者として位置づけている。一方で同氏は半導体ETFや主要チップ銘柄に対し総額74億6,000万ドル規模のプットオプションを構築しており、AIの長期需要に強気でありながらチップ価格には慎重な見方を示した。

米上院銀行委員会が15対9で通過させたクラリティー法案の利回り妥協条項について、米投資銀行アナリストはサークル社のUSDC収益モデルを構造的に有利にすると分析した。妥協条項は受動的なステーブルコイン残高への銀行預金同等の利息支払いを禁じる一方、取引・決済・利用実績に連動した報酬は明確に容認する。サークルは直接利回りを提供せず、コインベース等パートナーが利用実績連動型プログラムを運営しており、このモデルが保護される構図となる。米ドル裏付けステーブルコインの総供給は5月18日時点で過去最高となる3,000億ドルを超え、USDTとUSDCで全体の約97%を占める。DeFi領域に加え、x402プロトコル経由のAIエージェント決済でもUSDCが99%超を処理している。
クロスチェーンDEXプロトコルのTHORChainは5月15日、大規模な不正流出を受けて緊急停止措置を発動した。当初報告ではビットコイン、イーサリアム、BNBチェーン、Baseにまたがる被害額が約1,070万ドルとされたが、その後の調査で少なくとも9チェーンに拡大し、総額1,100万ドル超に上ることが判明した。盗難内訳には36.75 BTC(約300万ドル相当)が含まれる。同プロトコルは過去にもBybit不正流出に関連した北朝鮮系グループの資金ロンダリング経路として利用された経緯があり、コンプライアンス上の懸念が再浮上した。クロスチェーンブロックチェーン設計の利便性と、複数チェーンに即時拡散する破綻リスクの表裏一体性が改めて問われている。
日本円ステーブルコインJPYCの発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」が5月15日に大型アップデートを実施した。対応チェーンとして新たにカイア(Kaia)が追加され、従来のアバランチ、イーサリアム、ポリゴンと合わせて4チェーン体制となった。発行上限ルールは「1日あたり100万円」から「1回あたり100万円」に変更され、償還予約時のネットワークおよびウォレットアドレス選択も不要となった。さらに開発者向けツール「JPYC Faucet」もカイアのテストネット「Kairos」へ対応し、テストネット用JPYCを無償で即時取得できるようになった。今後はサークル社が開発する企業向けレイヤー1「Arc」への対応も予定されており、円建てステーブルコインのマルチチェーン展開が本格化している。

イーサリアム特化の研究機関ニックス・ファウンデーション(Nyx)は5月14日、DeFi動的脆弱性を検証する基盤「エリス(Eris)」の開発開始を発表した。同基盤はオプティミズムのOPスタックをベースとしたレイヤー2として構築され、AIエージェントによる敵対的金融シミュレーションを通じてAMM、レンディング、フラッシュローンなどの相互作用に起因する連鎖的リスクを検証する。Nyxは従来の監査・形式検証・バグバウンティが「単発・静的・人的」である点を課題視し、ケルプDAOのハッキングを起点にアーベで生じた流動性逼迫のような連鎖的事象を念頭に置いていると説明した。同団体はエリス上で動作するAIエージェント・コンペティション「ASCON」の第1回を2026年第4四半期に開催予定で、賞金総額は3万ドルとしている。
日銀の氷見野良三副総裁は5月16日、日本金融学会の講演で、ステーブルコインが社会に普及した際に預金との「単一性」をどこまで満たすべきかが問題になると指摘した。預金振込では中央銀行が銀行間に介在することで通貨の単一性が担保されるのに対し、ステーブルコインは裏付け資産や発行体の信用力に依存しており、国際決済銀行(BIS)も単一性の欠如を警告している。氷見野氏は、特定の民間企業が基幹的経済インフラを独占する場合には「中央銀行類似のガバナンス」が必要との見解を示した。今週の一連の動きは、Galaxyの機関化進展、クラリティー法によるUSDCの優位確立、JPYCのマルチチェーン拡張、NyxのDeFi検証基盤、そしてTHORChainの脆弱性露呈までを貫く、規制整備と機関採用の同時進行という一本の構造的潮流に収斂している。