マスターカードがステーブルコイン6銘柄対応、英上院は規制案再考要求、暗号PACが米予備選で躍進
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暗号資産ニュース
マスターカードは2026年6月3日、規制対応のステーブルコインを用いたカード取引のオンチェーン清算を開始すると発表した。USDC、PYUSD、USDG、USDP、RLUSD、SoFiUSDの6銘柄を採用し、Ethereum、Solana、Polygon、Arbitrum、Base、XRP Ledger、Canton、Tempoの計8チェーンで運用される。従来は銀行営業時間に依存していたカード清算を24時間体制で処理できるようになり、夜間や週末・祝日の流動性管理負担が軽減される。展開は米国と中南米から段階的に進められ、ARQ、Cross River、Lead Bankなどが初期パートナーとして参加。ブロックチェーンを実取引清算層に組み込む試みは決済業界全体に波及しつつある。
英国の上院金融サービス規制委員会は、イングランド銀行に対しポンド建てステーブルコインの規制案を再考するよう求める報告書「規制を待ちながら」を公表した。批判の中心は1コインあたりの保有上限(個人2万ポンド、企業1,000万ポンド)と、システム上重要な発行者に裏付け資産の最低40%を無利息の中銀預金で保有させる要件だ。委員会は発行体の事業成立性が損なわれかねないと警告。サラ・ブリーデン副総裁は英国の家計向け信用の約85%を銀行が担うと証言し、預金移動への警戒を示した。規制草案は2026年半ば、最終規則は同年末を見込む。
米国の予備選で、暗号資産業界系の政治活動委員会(PAC)が支援する候補11人が勝利した。Coinbaseとリップルが主に出資するFairshake傘下のProtect ProgressとDefend American Jobsの2つのPACが約350万ドルをメディア出稿に投じ、カリフォルニア、ニュージャージー、サウスダコタの予備選で民主・共和両党の候補を後押しした。Fairshakeは前週のテキサス決選投票でも資金を投入しており、GENIUS Actなど暗号資産推進法案に賛同した立法者を中心に支援を継続。次の照準は6月23日のメリーランド州第5選挙区で、Protect Progressはすでに310万ドル超を出稿している。
分散型金融(DeFi)開発者の法的保護を掲げる新たなハイブリッドPAC「Defend Developers」が立ち上がった。創設者のギャビン・ザバトーン氏はDeFi Education Fund政策責任者を兼任し、中間選挙の重要選挙区で「六桁ドル以上」を投じる計画を示した。FairshakeやFellowship PACに比肩する規模ではないものの、暗号開発者保護に賛同した現職議員を優先支援する独自の戦略を採る。理事にはUniswap Labs、DEF、Solana Policy Instituteの関係者が名を連ね、業界資金が単一の巨大スーパーPAC依存から複線型の政治インフラへと多層化している構図を映す。
リアル・ビジョン創業者でゴールドマン・サックス出身のラウル・パル氏は、資金が暗号資産からAI・半導体株へ流出しているとの見方を真っ向から否定した。同氏は2022年のFTX破綻局面でビットコインが約1万5,700ドルまで沈んだ流動性サイクル底値を基準に、現在の約6万5,800ドル前後までの上昇率を約318%と算出。同期間のナスダック100の187%上昇を大きく上回ったと指摘した。直近のビットコインは過去最高値12万6,080ドルから調整局面に入っているが、時価総額は依然1.3兆ドルを超え、パル氏は「サイクル中盤の調整」と位置付けて弱気論に反論している。
ロサンゼルス郡保安局と米連邦捜査局(FBI)サイバー部門は、2026年FIFAワールドカップに便乗した暗号資産詐欺への警戒を呼びかけた。偽のFIFAサイトや交流サイト広告でチケット販売、ホスピタリティパッケージ、配信サービスを装い、暗号資産・電信送金・ギフトカードなど取り消し不能な決済手段を要求する手口が確認されている。Chainalysisによれば2025年の暗号資産盗難被害は34億ドルに上った。当局は公式FIFAサイトへの直接アクセスと、被害発生時のIC3への通報を推奨。生成AIで本物そっくりに作成されたフィッシングサイトも急増しており、ファンの自衛が急務となっている。
今週の各事象に通底するのは、暗号資産が投機対象から金融インフラの基層へ組み込まれる過程と、それを巡る規制当局の足並みの揺れだ。マスターカードのオンチェーン清算は決済業界の構造転換を象徴し、英上院の警告は通貨主権と銀行システム保全をめぐる慎重論を浮き彫りにした。米国では業界資金が立法環境を直接整備しつつある一方、ワールドカップ便乗詐欺は普及拡大の影を映す。マクロ面では強気相場を支える流動性サイクル論が根強く、2026年は制度設計と相場心理が同時並行で試される年になりそうだ。