MoonPay、Dawn Labs買収でAI予測市場ツール「Dawn CLI」発表──Binanceは累計1兆6,000億円の詐欺防止を報告
目次
暗号資産ニュース
暗号資産(仮想通貨)決済プラットフォームのMoonPayは、AIスタートアップのDawn Labsを買収し、予測市場取引向けAIツール「Dawn CLI」を発表した。買収額は非公表とされる。Dawn CLIは、専門的なプログラミング知識を持たないユーザーが自然言語で取引戦略を記述することで、調査・コード生成・シミュレーション・ライブ実行までを自動化する消費者向けプロダクトだ。MoonPayは2月に非カストディ型インフラ「MoonPay Agents」を、今月にはステーブルコイン・デビットカード「MoonAgents Card」を発表しており、AIエージェントが ブロックチェーン 上で自律的に金融行動を取るためのインフラ整備を加速させている。

Binance(バイナンス)は、AIを悪用した暗号資産犯罪の拡大と防御側のAI活用について分析を公表した。同社によると、現状のAIは検知より攻撃で約2倍優位であり、AI型エクスプロイトの平均コストは1件あたり1.22ドルまで低下し、2カ月ごとに22%下落するという。AI対応詐欺は従来型の4.5倍の資金を奪い、なりすまし手法は2025年に前年比1,400%増加した。一方、Binanceは100以上のAIモデルで不正対策を行い、2025年から2026年第1四半期にかけて累計105億3,000万ドル(約1兆6,300億円)相当の被害を防いだとしており、KYC(本人確認)処理効率は100倍に向上したと説明している。
米国銀行協会(ABA)のロブ・ニコルズ会長兼CEOは、上院銀行委員会による暗号資産市場構造法案「Clarity Act(クラリティ法)」のマークアップを前に、加盟銀行のCEO宛てに上院議員への即時の働きかけを要請する書簡を送付した。焦点は、ステーブルコイン保有者に対する利息類似の報酬規制だ。ニコルズ氏は、現行案が以前の案より改善されたと評価しつつも、決済用ステーブルコインが銀行預金を吸い上げる誘因を十分に排除できていないと主張。修正が不十分なまま成立すれば、経済成長と金融安定の双方を損ねかねないと警告した。 DeFi 規制との整合性も論点になる。
クラリティー法のマークアップは5月14日午前10時30分に確定しており、ABAをはじめとする銀行業界6団体は5月8日付で連名書簡を上院銀行委員会のティム・スコット委員長およびエリザベス・ウォーレン筆頭委員に送付している。論点は、トム・ティリス、アンジェラ・アルソブルックス両上院議員が示した妥協案だ。保有のみを条件とした利息支払いは禁止する一方、取引連動型の報酬は容認するという設計に対し、銀行団体は「のみ(solely)」という限定語が抜け穴を残すと指摘。利回り付きステーブルコインが普及すれば、中小企業や農業向け融資が2割以上縮小しうるとの試算も提示し、利息類似の支払いを「実質的に類似する支払い」へ文言強化するよう求めている。

日本では5月11日、自民党ブロックチェーン推進議員連盟が第36回会合を開催し、JVCEA(日本暗号資産等取引業協会)代表理事の小田玄紀氏が金融商品取引法(金商法)への移行を見据えた体制強化策を報告した。JVCEAは、上場や上場維持の審査について、会員理事が関与しない独立した「暗号資産審査委員会」を第三者委員で構成する方針を提示。職員体制は現行約30人から2028年3月期までに70人規模へ拡大する計画だ。金融庁の齊藤将彦市場課長は、公布から1年以内の施行を予定し、本国会で関連法案が成立すれば2027年夏ごろまでの施行、申告分離課税は2028年1月からの適用を想定すると説明した。
イングランド銀行(BoE)のアンドリュー・ベイリー総裁は5月8日、ステーブルコインの世界的な規制基準をめぐり、米国と他国の規制当局の間で「攻防」が生じるとの見通しを示した。金融安定理事会(FSB)議長も務めるベイリー氏は、ステーブルコインを世界の決済アーキテクチャに組み込むには国際基準の確立が不可欠だと強調。一部のステーブルコインが暗号資産取引所を介さなければ現金化が困難であるなど、換金性の脆弱性に懸念を示した。米ドル建てステーブルコインが越境決済で広がれば、危機時に英国などへ資金が集中し得るとも警告。市場時価総額は約3,200億ドル(約49兆6,000億円)に達し、その大半は米ドル建てが占めている。
本日の動きは、AIと規制という二つの軸で暗号資産市場の制度化が進んでいることを示している。MoonPayの予測市場AIツールやBinanceのAIセキュリティ投資は、 アルトコイン や決済領域でのAIエージェント実装が攻防両面で加速する局面を映す。一方、米クラリティ法のマークアップ、日本のJVCEA再編、BoE総裁による国際基準への警鐘は、ステーブルコインを軸にした主権国家レベルの規制競争が本格化したことを示唆する。 コンセンサスメカニズム の議論を超え、現物決済インフラとしてのステーブルコインが、銀行預金と直接競合する新たな金融秩序の交渉局面に入っている。