RWA市場4兆ドル予測、Zerohash欧州EMI取得、SECがトークン化株式枠組みを準備
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暗号資産ニュース
ステーブルコインインフラを提供するZerohash Europeは、オランダ中央銀行から電子マネー機関(EMI)ライセンスを取得した。同社はEUの暗号資産規制MiCAのライセンス保有企業として初めてEMIを取得した形となり、欧州経済領域全体でステーブルコイン決済と伝統的な電子マネーフローを規制下で扱える体制が整った。MiCAライセンスは2025年10月にオランダ金融市場庁から取得済みで、欧州銀行監督機構は2025年6月以降、ステーブルコインを扱うMiCA企業に対しEMIまたは決済ライセンスの併用取得を求めてきた。今回の認可はこの規制要請に対する業界初の対応事例となる。同社は銀行、証券会社、フィンテック、決済事業者、企業向けプラットフォームへサービスを展開する方針だ。
英スタンダードチャータード銀行は、2028年末までにオンチェーン上のトークン化資産が4兆ドル規模に達するとの予測を公表した。同行デジタル資産調査責任者のジェフリー・ケンドリック氏は、ステーブルコインと現実資産(RWA)のトークン化がそれぞれ2兆ドルずつ市場を牽引すると分析。現在の市場規模は約3,570億ドル(ステーブルコイン3,230億ドル、RWA340億ドル)で、今後3年弱で約11倍への急拡大を見込む計算だ。DeFiのコンポーザビリティが既存金融にはない独自の強みとなり、Aaveの資産規模は米国の銀行と比較して38位相当の水準にあると指摘した。BlackRockの米国債トークン化ファンドも28.5億ドル規模に拡大しつつある。

米証券取引委員会(SEC)が、トークン化株式の取引に関する新たな枠組みを近く提案するとの観測が浮上している。「イノベーション例外」と呼ばれる軽量規制下で、ブロックチェーン上のデジタル証券取引プラットフォームの運営を認める内容になる見込みだ。米証券保管振替機構(DTCC)は7月にトークン化資産の限定的な本番取引を開始し、10月にはより広範な展開を予定。Nasdaqも3月にトークン化証券計画の承認を受け、企業がブロックチェーン上で株式を発行する枠組みを整備中だ。NYSE親会社のICEもOKXとの提携を通じてトークン化株式分野への参入を表明しており、126兆ドル規模の世界株式市場の近代化競争が本格化している。
ウォール街向けの基盤層を整備する企業の競争が激しさを増している。Avalancheはサブネットアーキテクチャを基盤に、JPMorgan Onyx、Citi、Franklin Templetonの機関投資家向け実装で採用実績を積み上げてきた。Coinbase運営のレイヤー2「Base」はTVL30億ドルを超え、JPMorganのトークン化預金「Kinexys JPMD」のデプロイ先となっている。Canton NetworkやBroadridgeなどのコンセンサスメカニズムに基づく専用台帳も、決済とトークン化レポ取引で稼働中だ。コンプライアンス機能、相互運用性、サブセカンドのファイナリティ、KYC対応ガバナンスが、伝統金融からの本格採用を判断する基準として浮上している。

個別の本番運用プロジェクトでも、機関採用の実績が積み上がっている。BNY Mellonのデジタル資産プラットフォームは、IBIT現物ビットコインETFの主要キャッシュカストディアン兼アドミニストレーターとして稼働中で、2025年9月からはGoldman Sachsと提携したトークン化MMFプラットフォームも開始した。Broadridgeの分散型台帳レポ(DLR)は月間1兆ドル超のトークン化レポ取引を処理し、UBS、Société Générale、HSBC、BNY Mellonが参加している。Citi Token Servicesは米国・シンガポール・英国の3拠点で稼働し、機関投資家向けのトークン化預金とトレードファイナンスを提供。実装段階での規模、相互運用性、規制対応が次世代金融インフラの新たな基準を形作りつつある。
実業家マーク・キューバン氏は、人工知能(AI)トークンに対する連邦レベルの課税を提案した。100万トークンあたり50セント未満という低率の供給者課税で、年間100億ドル規模の税収と、大規模AIプロバイダのトークン化・キャッシング・ルーティング最適化を促す効果を想定している。同氏は「初期の暗号業界はあらゆる規制を否定したが、後に政治活動委員会を設立し、市場拡大のため法的明確化を受け入れた」と指摘。AI業界も同様の道を辿るとの見方を示した。Anduril創業者パーマー・ラッキー氏ら批判側は過剰規制と反論しており、データセンターの電力消費削減と財政再建を絡めた議論に発展している。
今週のニュースフローを貫く中核テーマは、トークン化資産の制度化と各国規制当局の枠組み整備だ。欧州ではMiCAとEMIの二重ライセンス体制が確立しつつあり、米国ではSECがトークン化株式の例外枠組みを準備、ウォール街の主要機関も独自のブロックチェーン基盤を本番運用へと移している。市場予測では3年弱で11倍規模への拡大が見込まれ、機関投資家による既存資産のオンチェーン移行が次の成長軸として浮上してきた。規制と実装が並走するこの局面では、コンプライアンス対応の早さと相互運用性の確保が、インフラ提供者の競争優位を決定する重要因子となっている。