SEC株式連動トークン規制案を週内公表、Zcash財団58億円流動資産でSEC調査終了、ZeroHash欧州EMI取得
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米証券取引委員会(SEC)が、ブロックチェーン上で株式の値動きに連動するトークン取引を認める新たな規制枠組みを早ければ今週中にも公表する見通しとなった。新制度では「イノベーション適用除外」を活用し、第三者企業が対象企業の承認を得ずに株式連動型トークンを発行できる仕組みが想定されている。実現すれば、個人投資家は米国上場株に連動した仮想通貨型トークンを24時間売買可能となり、従来の取引時間の制約が大きく緩和される。議決権や配当は付与されない価格連動型商品として整理される方向で、トランプ政権下のデジタル資産規制転換を象徴する施策となる。ブロックチェーン技術を活用したトークン化証券市場の制度整備が一段と進むとの見方が広がっている。

Zcash財団は19日、2026年第1四半期の活動・財務報告書を公開し、純流動資産総額が約3,669万ドル(約58億円)に達したことを明らかにした。内訳はアルトコインであるZEC保有量85,412 ZEC(約2,120万ドル、総資産の約58%)、現金とUSDC合計約1,260万ドル、BTC約41.8とETH12.02を含むその他資産約290万ドルとなる。四半期運用経費は約81.7万ドル、月平均約27.25万ドルと保守的な水準を維持した。さらに2023年8月から続いていた米SECによる調査が、執行措置勧告なしで終了したことも報告。Aave、OpenSea、Robinhood、Gemini、Ondoなどと同様、規制上の重大懸念が解消される運びとなった。
国内暗号資産取引所ビットトレード(BitTrade)は5月20日、「ジパングコインシルバー(ZPGAG)」と「ジパングコインプラチナ(ZPGPT)」の取扱開始を発表した。両銘柄ともに5月21日12:00からの提供開始を予定し、現物のみで販売所での購入・売却が対象となる。ZPGAGは銀、ZPGPTはプラチナの現物価格と概ね連動する暗号資産で、発行元は三井物産デジタルコモディティーズ。ネットワークはビットフライヤー・ブロックチェーン開発のエンタープライズ向け基盤「miyabi」を採用し、イーサリアムのレイヤー2「OPメインネット」でも発行されている。両銘柄上場で国内取扱は6例目となり、ビットトレードの取扱通貨は49銘柄に拡大する見込みだ。
暗号資産・ステーブルコイン・トークン化資産向けインフラ企業ゼロハッシュ(zerohash)の欧州子会社ゼロハッシュヨーロッパが、オランダ中央銀行(DNB)から電子マネー機関(EMI)ライセンスを取得した。同社はMiCAR認可を持つ事業者として初のEMI取得事例となり、銀行・証券・フィンテック・決済事業者向けに欧州経済領域(EEA)全域でステーブルコインを活用した金融フロー支援体制を強化する。EBAが2025年6月に公表したノーアクションレターと2026年2月のオピニオンを踏まえた措置だ。なおマスターカードはBVNK買収合意後、ゼロハッシュへの投資計画を撤回したと伝えられており、買収交渉では15億~20億ドル規模で評価されていた経緯がある。

AI駆動型の暗号資産取引アシスタントBankrは、攻撃者が少なくとも14のウォレットへ不正アクセスしたことを受け、スワップや送金を含むトランザクション機能を一時停止した。ユーザー報告によれば一部ウォレットから最大15万ドル相当の資産が流出し、特定された3つの攻撃者アドレスには合計44万ドル相当の暗号資産が滞留している。同サービスはX上の各アカウントに自動でウォレットを生成する仕組みを採用しており、セキュリティ専門家は今回の事案を「Grokとの連携を悪用したソーシャルエンジニアリング型のプロンプトインジェクション攻撃」と分析した。Bankrは流出資金の全額補償を表明し、調査完了まで取引署名を控えるよう呼びかけている。コールドウォレット運用の重要性が改めて浮き彫りとなった。
RWA.xyzのオンチェーンデータによれば、トークン化株式市場ではOndo(オンド)が8億8,800万ドル相当の資産を保有し、市場シェア約60%を握る最大手として首位を維持している。2位のxStocksは約3億9,400万ドル、市場全体では資産数2,200種類超、月間取引量31億ドル、保有者数約26万7,710人へと拡大した。ウォール街の対応も加速しており、DTCCは2026年7月からトークン化証券の限定的な本番取引を開始し年内に本格展開へ。NasdaqはSECに規則改正を申請し、NYSEもSecuritizeとの覚書でオンチェーン基盤構築に動き出した。DeFiと伝統金融を架橋する規制対応型インフラへの投資が一段と強まっている。
今サイクルの支配的な物語は、規制整備と機関投資家のオンチェーン回帰という二軸に収斂しつつある。SECによる株式連動トークン枠組み、CLARITY法案の上院銀行委員会通過、ミネソタ州の銀行カストディ解禁、ゼロハッシュのEMI取得、そしてZcashへのSEC調査終了は、いずれも「規制の明確化」を共通項とする。一方、Bankr事案はAIエージェント時代の新たな脆弱性を露呈し、ビットコインを含む暗号資産インフラのセキュリティ設計が問われる局面となった。トークン化証券市場の急拡大は、規制と技術が並走するハイブリッド資本市場の輪郭を鮮明にしている。