スペースX IPOがクラーケン・バイビットで申込開始、スペースコインがベトナムで1億ドル提携へ
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暗号資産ニュース
暗号資産取引所クラーケンは6月5日、イーロン・マスク氏が率いる民間宇宙企業スペースXの新規株式公開(IPO)への参加申込機能を「IPOアクセス」プログラムを通じて開始した。割当を受けた利用者には、スペースX株式のトークン化表現「SPCXx」が付与され、上場後は24時間365日(欧州経済領域では週5日)の取引が可能になる。同トークンは株式トークン化基盤「xストックス」を通じて提供され、規制対象事業者が保管する現物株式で1対1の裏付けを持つ仕組みだ。取引所バイビットも「IPOエクスプレス」を通じて同様の申込受付を開始した。両社とも利用者は価格連動の経済的エクスポージャーを得るのみで、議決権や配当などの株主権は付与されないと、ブロックチェーン上の商品の性質を明示している。
スペースXを巡っては、IPO参加だけでなく上場前の価格期待を取引する市場も拡大している。取引所バイナンスは5月21日、IPO時の企業価値や株価水準への市場予想を対象とする無期限先物「SPCXUSDT」を上場した。分散型取引所(DEX)ハイパーリキッド上でも、5月18日からトレード.xyzが提供する関連市場「SPCX」の取引が始まっている。同市場は1株150ドルを基準価格に開始し、一時216ドル相当まで上昇したものの、IPO日が近づくにつれ下落。執筆時点では約169ドルとなっている。いずれの商品も株式の所有権を表すものではなく、分散型市場が未上場企業の価格発見機能を担えるかを占う試金石として注目を集めている。
米暗号資産運用会社ビットワイズのCEO、ハンター・ホーズリー氏は、長期投資家に対し「週次のヘッドラインや月単位の価格に意識を奪われる必要はない」と提言した。同氏は投資家とトレーダーを明確に区別したうえで、長期投資家が注視すべき要素として、オンチェーン技術の成熟度、プロダクトマーケットフィットを確立したプロジェクト、大企業・機関投資家の参入動向、チームの実行力の4点を挙げた。とりわけ2022年から2026年にかけての変化を「本質的な進化は疑いようがない形で加速している」と評価。大手取引所の破綻が相次いだ2022年の市場底局面から、技術・事業・機関資金の3軸で成熟が進んだとし、ビットコインETFを複数運用する立場から「長期戦であることを認識せよ。スコアは後からついてくる」と結んだ。
東証スタンダード上場のHODL1(ホドルワン)は6月8日、Web3企業スターテイルグループとブロックチェーン関連事業における業務提携基本合意書(MOU)を締結したと発表した。HODL1はイーサリアムの中長期保有と関連開発を軸に事業を進める企業で、スターテイルはソニーグループとの合弁を通じたレイヤー2「ソニューム」や、SBIホールディングスと進めるレイヤー1「ストリウム」、信託型ステーブルコイン「JPYSC」の開発を手がける。両社は技術検証や事業開発で連携し、とりわけ日本円ステーブルコインをはじめとした関連事業開発、決済やRWAのユースケース創出について協議を進める。HODL1は同日開催の株主説明会で、本提携の内容を説明するとしている。
衛星通信DePINを手がけるスペースコインは6月4日、ベトナムの技術企業DETIテクノロジーと、分散型衛星通信インフラの展開に向けた独占的MOUを締結したと発表した。同MOUは、プロジェクトが正式な運用認可を取得した時点から3年間、ベトナム全域での協業・開発・提供の独占権をDETIに付与する内容だ。両社は商用運用到達後、年間売上高で少なくとも1億ドル(約160億円)を目標とし、通信事業者モビフォンとジーテルを主な対象とする計画とのこと。技術スタックはブロックチェーン、分散型衛星通信、ソブリンルーティング、エッジAIの4要素で構成され、ネットワーク上の清算・調整をブロックチェーンが担う。スペースコインは1月にもケニアやナイジェリア、インドネシアなどでの展開を公表していた。
株式のトークン化を巡っては、制度面の整備も並行して進む。xストックスを運営するペイワード・サービシズは、クラーケンの親会社ペイワード傘下で株式トークン化フレームワークを提供しており、従来は上場済み株式やETFのトークン化を中心としてきた。今回のスペースX案件では、IPO段階での適用に踏み込んだ点が新しい。米証券取引所ナスダックは今年3月、株式トークン設計「Equity Token Design」を発表した際にペイワードとの提携も公表しており、両社はトークン化株式を規制市場とブロックチェーンネットワークの間で移動可能にする仕組みの構築を進めている。伝統金融とオンチェーン市場を接続する基盤整備が、機関投資家の参入を後押しする構図だ。
今回の一連の動きに共通するのは、伝統金融とオンチェーンインフラの境界が急速に溶けつつあるという潮流だ。スペースXのような未上場企業の価格発見からIPO参加、上場後流通までをトークン化で一貫させる試みは、機関投資家の関心と規制対応の両輪で進む。日本でもHODL1とスターテイルの提携が円ステーブルコインや決済基盤の実用化を後押しし、スペースコインの事例は新興国におけるDeFi(分散型金融)やDePINインフラ需要を映す。ビットワイズCEOが指摘した「年単位の本質的進化」は、価格変動の裏で着実に進む機関化とオンチェーン化の構造変化として、この市場サイクルの支配的な物語を形づくっている。