金融庁、信託型ステーブルコインJPYSCの申告免除を2027年度税制改正要望に盛り込む
金融庁は8月31日、SBI新生信託銀行のJPYSCなど信託型ステーブルコインの受益原簿提出義務を免除するよう2027年度税制改正要望に盛り込んだ。
金融庁、受益原簿提出の廃止を要望
金融庁は8月31日、2027年度の税制改正要望を公表し、信託型ステーブルコイン――法令上は「特定信託受益権」に分類されるトークン――について、保有者の移転が生じるたびに課税関係書類を提出する義務を免除するよう求めた。この措置は金融庁が掲げる「金融イノベーションの推進」項目の下に置かれており、今年この見出しに含まれる唯一の項目だ。なお、海外で発行される信託型ステーブルコインを対象とする別の追加要望は、同じ要望書の別の場所にまとめられている。
金融庁が問題視するのは構造的な側面だ。信託型ステーブルコインは、不特定多数かつ絶えず入れ替わる利用者の間で決済手段として流通する。そのため、裏付け資産を保管する受託銀行には、ある時点で誰がトークンを保有しているのか、いつ所有権が移転したのかを実務上把握する手段がない。こうした移転のたびに受託者へ書類提出を課すことは、日常の決済における実際の使われ方とそぐわないと金融庁は見る。現行の相続税法では、信託の受益者に変更があった場合、受託者は原則として税務署へ「受益原簿」を提出しなければならない。金融庁の要望は、閾値の例外を設けるのではなく、これらのトークンについて当該義務を丸ごと外すものだ。政府・与党は年末の税制改正大綱でこの提案を取り上げる見通しだ。
現行法は移転のたびに受託者へ義務
廃止が求められる提出義務は、二つの法律に由来する。相続税法では、信託の効力発生時または受益者変更時に、受益者ごとの氏名と当該受益者に帰属する信託財産の価額を記載した受益原簿の提出が受託者に義務付けられる。別に所得税法では、信託に帰属する所得と費用を網羅する「信託計算書」等の提出が求められ、いずれも税務署長宛てとされる。
金融庁自身の資料は、なぜこの規定がステーブルコインで破綻するかを具体的に示す。電子決済手段等取引業者が委託者かつ当初受益者として信託銀行に円を信託し、信託銀行が信託型ステーブルコインを発行。業者がこれを利用者に販売し、利用者間でトークンは自由に移転される。償還時には業者が利用者からトークンを買い戻し、信託銀行に償還を請求する。このライフサイクル全体を通じて、受託者は受益者を特定できず、個々の変更を追跡することもできない。しかも受益者はトークンの保有から収益を得る想定がなく、提出義務が担うはずの情報的意義はほぼ消滅する。そこで金融庁は、受益者変更時に両書類を不要とすることを公式の要望書類で求めている。
JPYSCと日本のステーブルコイン事情
信託型ステーブルコインは、資金決済法の枠組みで二つの類型のうちの一つに位置づけられる。法定通貨にペッグし一定の要件を満たすステーブルコインは電子決済手段とされ、資金移動業モデルが第一型、信託型モデルが第三型だ。JPYC株式会社が発行するJPYCは第一型に属する。一方、SBI新生信託銀行のJPYSCが第三型の例で、現在はSBI VC Tradeという暗号資産取引所の口座内でのみ提供され、外部ウォレットとの送受信はまだサポートされていない。
この制約こそ、申告負担が問題になる理由を浮き彫りにする。免除がなければ、口座への入金も出金も受益者変更として受託者の書類作成を誘発しかねない。金融庁の要望は越境の側面にも触れ、特定の海外発行の信託型ステーブルコインを電子決済手段として指定するために必要な措置と、関連する法制上の整備を併せて求めている。採用されれば、海外発の円ペッグ型トークンが日本の規制された決済基盤に組み込まれ、法定通貨とブロックチェーンをつなぐブリッジプロトコルとして機能し得る。BTCなど変動資産との対比が政策論理の中心にある。これらのトークンはトークン化ゴールドが金地金を追跡するのと同じく法定通貨の価値に連動し、保有者に利回りを生まないため、受託者がそもそも作成できない受益原簿データから税務署が得るものは少ないからだ。 市場をリアルタイムで追いたい読者は、MEXCで現物・先物価格をライブで確認できる。
年末の税制大綱まで法案段階
編集部が要望書類の一次資料そのものを確認した限り、これは狙いを絞った技術的に整合的な修正だ。相続税法と所得税法の下で受託者に課される二つの法定提出義務に的を絞り、政府の年末税制改正大綱が採用し国会が改正法を成立させて初めて効力を持つ提案にすぎない。2026年度の間、JPYSCやJPYCの保有者に変わる点はない。それでも方向性は明確だ。日本は他の資産区分で整備を進めてきたのと同じ道を、法定通貨建てトークンのコンプライアンス負担軽減にも踏み出しており、実効的な税制こそステーブルコイン決済が単一取引所の閉じた園を超えて拡大するための前提条件である。

AIによって生成され、AIによるレビューを経て、COINOTAGの編集監督のもとで公開されました。


