SEC、トークン化株式制度を延期|MoonPayがChatGPT統合、コインベースCEOが金融再設計8領域提示
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暗号資産ニュース
米証券取引委員会(SEC)が、暗号資産企業によるトークン化株式の取り扱いを認める「イノベーション免除」制度の公表を延期した。当初は5月18日週の発表が想定されていたが、ニューヨーク証券取引所をはじめとする伝統的な取引所からの反発を受け、調整が長期化している。最大の論点は、上場企業の同意を得ない第三者がトークンを発行できる「第三者発行型」の扱いだ。配当や議決権の保証が及ばないケースが想定され、投資家保護の空白が懸念されている。SEC委員のヘスター・パース氏は5月21日、規制案に合成証券は含まれないと反論し、過剰な警戒感の沈静化を図ったが、市場関係者との制度調整は依然継続している。

2008年のリーマン・ショックを的中させた著名投資家マイケル・バーリー氏が、SECのトークン化株式構想に強い警鐘を鳴らした。同氏は5月19日、自身のSNS上で「スノウ・クラッシュのようなサイバーパンクの未来に向かっているのかもしれない」と述べ、金融資産のデジタル化が社会構造そのものに与える影響への警戒感を表明した。バーリー氏は、個人に紐づけられたデジタル価値が社会貢献と直接結びつく時代が近づいているとし、人間の行動や評価まで数値化される社会への移行を問題視している。価格変動や相場操縦といった伝統的な市場リスクを超えた、より根源的な懸念として位置づけた点が注目されている。ブロックチェーン上での株式トークン化は、技術と倫理の交差点に立つ。
米コインベースのブライアン・アームストロング最高経営責任者(CEO)は5月25日、世界の金融システム刷新に向けた「8つの主要領域」を公表した。同氏が示したのは、現実資産(RWA)のトークン化、24時間グローバル取引、ステーブルコインを活用した次世代決済、AIによる金融サービス高度化、イノベーション促進型の規制改革、金融アクセス拡大、資本形成、健全な通貨の8分野だ。アームストロング氏は「8領域すべてが万人のために機能するまで、仕事は終わらない」と述べ、制度整備と民間主導の技術開発を並行して進める必要性を強調した。AIエージェント同士が自動的に価値をやり取りする決済モデルにも言及し、人を介さない金融インフラの構築を視野に入れている。
暗号資産決済インフラを手がける米MoonPay(ムーンペイ)が、OpenAIのChatGPT App Directoryへ自社アプリを公開した。ユーザーはChatGPTのアプリ検索から「MoonPay」を呼び出すことで、ビットコインやエックスアールピー(XRP)を含む100種類超のアルトコイン購入ページへ直接アクセスできる。MoonPayはChatGPTへ統合された初の暗号資産オンランプとなった。「ソラナ上のUSDC」「100ドル分のビットコイン」などと入力すると、対応資産やチェーン情報を反映した専用チェックアウトリンクが自動生成され、本人確認後に決済が完了する仕組みだ。クレジットカードのほか、Apple Pay、Google Pay、銀行振込にも対応する。

欧州中央銀行(ECB)が、ユーロ建てステーブルコインの拡大案について強い懸念を示している。関係者によれば、ECBは銀行融資や金利運営に与える影響を警戒しており、預金からステーブルコインへの資金流出が銀行の与信機能を損なう可能性を指摘した。これにより、伝統的な金融政策の伝達経路に歪みが生じるリスクも浮上している。米国主導のドル建てステーブルコインが世界市場で優勢を強めるなか、欧州は通貨主権の維持と金融安定の両立を迫られる難しい局面にある。ECBの慎重姿勢は、欧州独自のデジタル決済インフラ整備を加速させる可能性を秘めている。
バイナンスの共同CEOは、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた「同社がイランの制裁回避を支援した」とする内容を全面的に否定した。報道では、バイナンスのプラットフォームを通じた制裁国向け取引が指摘されていたが、共同CEOは事実誤認だと反論し、コンプライアンス体制の強化と制裁対象国への取引制限を強調した。並行して、バイナンスはイーロン・マスク氏率いるSpaceX株式に連動するプレIPO無期限先物商品の提供も開始しており、未上場株のエクスポージャーを暗号資産ユーザーへ提供する動きが活発化している。グレースケールはハイパーリキッド(HYPE)現物ETFの届出書修正版を提出し、機関投資家のアクセス拡大が進む。
今週の暗号資産市場を貫く支配的な物語は「金融と暗号資産の境界線の溶解」である。SECはトークン化株式制度の公表を延期し、ECBはステーブルコイン拡大に警戒を強める一方、コインベースは金融システム全体の再設計を提唱した。さらにMoonPayは週8億人が利用するChatGPTへ暗号資産購入機能を組み込み、消費者接点の根本的な変化を示した。規制当局が制度の整合性に苦慮するなか、民間企業はAIと分散型取引所を起点とした新しい金融インフラを構築しつつある。制度と技術のスピード差こそが、今サイクルの最大の構造的緊張である。