米財務省、北朝鮮IT労働者の仮想通貨現金化で10名と1団体を制裁指定
米財務省が北朝鮮IT労働者の仮想通貨給与を現金化したとして、ロシア人2人を含む10名と1団体を制裁指定した。年間最大6億ドルが武器開発に流出したとする評価も示した。
10名と1団体を指定
米財務省は、北朝鮮IT労働者が偽の身分で実在する企業に就職し、稼いだ仮想通貨の給与を現金に換えて体制資金としていたとして、個人10名と団体1つを制裁指定した。措置を実行したのは外国資産管理室(OFAC)で、指定されたロシア国籍のIlya Aleksandrovich BoykovとVitold Viktorovich Obertasの2人は、関係するフロント企業のために数百万ドル規模の仮想通貨を換金した疑いが持たれている。財務省の説明によれば、稼いだ資金は最終的に北朝鮮の武器開発計画へ流れたという。
規模は大きい。国連専門家パネルの推計では、この隠蔽雇用の仕組みは平壌に年間2億5000万ドルから6億ドルをもたらし、米側の評価は年間最大6億ドルとしている。労働者の手口は何年も変わっていない。偽装された経歴と盗んだ資格情報で採用選考を通過し、給与の大半を国外へ送金し、本人は普通の生活に見える程度だけを受け取る。今回の指定には、ロシア国内で北朝鮮IT労働者を管理していたKim Ki-hyokとKim Hyo-dongのほか、ロシアに拠点を置きこの計画に関わる団体FFTDCも含まれる。同センターに結びついたIT労働者6人は、2025年以降、75万ドル超の収入をそこへ送金していた。
政府が動く前に、民間の調査者たちがすでに仕組みの一部を突き止めていた。4月にはオンチェーン調査者のZachXBTが、秘密裏に活動する北朝鮮人開発者集団が350万ドルを超える仮想通貨を稼いだ記録を公開している。セキュリティ研究者のTaylor Monahanは、平壌に関連する開発者がSushiSwapやTHORChainといったプロトコルにコードを提供していたと述べている。OFACは今回の措置について、偽装された給与を使えるハードカレンシーに変える金融仲介層への一撃だと位置づけた。指定によって、対象者が米国に結びついた資産を持つ場合はすべて凍結され、米国人在との取引も禁止される。
隔週のステーブルコイン給与からGarantexへ
指定の背景にある換金の連鎖は、いま詳しい記録が残されている。Chainalysisのレポートは、ある支払いの痕跡をたどり、ブロックチェーンや分散型金融のプロジェクトにコードを貢献していた開発者1人に到達した。2022年末から2023年初めにかけて、この労働者のウォレットには2週間ごとにステーブルコインが入金されており、その間隔は通常の給与日に一致する。資金はイーサリアム(ETH)に換えられ、制裁対象に結びついた集約用のウォレットアドレスを経由した末にBoykovへ届いた。Boykovはそのコインを、後に米当局がブラックリストに載せたロシアの仮想通貨取引所Garantexへ送っていた。
決まった日程で支払われるステーブルコイン給与は、即時に決済し、銀行を介さず国境を越えられるため、こうした潜伏就職の既定の資金手法になっている。イーサリアムを経由する工程は、給与と法定通貨への出口の間にさらに一枚の幕を挟み、元のステーブルコインの痕跡から価値を離した。Obertasは記録の中で、北朝鮮当局者の金融仲介者として登場する。彼のウォレットは、海外のIT労働者派遣団を管理していた制裁対象のAmnokgang Technology Development Companyから資金を受け取っており、OFACは彼が当局者のために約200万ドル分の仮想通貨を法定通貨に交換したと述べている。こうした資金網が規制対象のインフラに触れるのは給与の支払い側ではなく、換金の出口側であり、その仕組みは仮想通貨の現金化に関するガイドで説明されるのと同じものだ。
一方で、就職先の側も監視が難しくなっている。Chainalysisの報告によれば、北朝鮮系の労働者はいまやAIで生成した履歴書やプロフィール写真を提出し、採用面接ではディープフェイク映像までも使っている。開発者が採用される前の段階で発覚するのは、このためますます困難になっている。Garantex自体も、資金の移転が済んだ後に初めてブラックリストに載った。この事後的な露出の型は、同様の資金フローを扱うあらゆる取引所の頭上に今も垂れ込めている。多くの労働者の売却益を換金前に少数のアドレスへ集める集約ウォレットは、資金の流れを調査者に最も鮮明に示した。Chainalysisはこの知見を財務省の措置と並べて公開し、各指定に裏付けとなる取引記録を与えた。
指定の狙いは、この資金網が容易に隠せない唯一の段階、すなわち換金にある。潜伏就職は生成ツールで安価に作れる偽の経歴に依存するが、仮想通貨を現金に変えるには、取引所であれクリプトミキサーであれ取引相手が必要で、どの出口も記録を残す。仲介者を制裁することで、労働者一人一人を特定しなくても北朝鮮資金に触れるコストを引き上げられる。Garantexの事後指定は、その露出が事業者を後からも追うことを示している。給与の連鎖が収入を生み続ける限り、ブローカーや集約サービスを狙った追加の指定もあり得るとみられる。
AIによって生成され、AIによるレビューを経て、COINOTAGの編集監督のもとで公開されました。

