中国の検察、120万元のUSDT現金取引を巡る詐欺事件で5人を起訴
中国江蘇省で、USDT店頭取引を装った120万元の現金詐欺事件が発覚。沛県検察院は強奪ではなく詐欺罪で5人を起訴した。2021年9月の通知が違法取引と位置づける中、送金済みUSDTを財産と認定した判決の言い渡しはまだ先だ。
現金が動かなかった取引
提示されたのは現金120万元。USDTをその場で受け渡すという取引だったが、紙幣は最後まで動かなかった。3月23日、肖(Xiao)姓の売り主は、王(Wang)姓の買い主に率いられた5人の男と、中国江蘇省徐州市内の店舗2階で会い、ドルペッグ型ステーブルコインであるTether(USDT)の店頭取引を成立させようとしていた。USDTは本土では取引が禁止されているにもかかわらず、非公式な決済手段として広く使われており、事件の期間中もUSDTの価格はドルペッグを維持していたため、肖が売るはずだったコインの価値は概ね120万元相当だった。
王は肖にとって初対面の相手ではなかった。今年に入ってから2度、現金でUSDTを購入しており、それまでの取引がトラブルなく済んでいたことが、今回の罠の信用の下地になっていた。王はUSDT取引が中国では違法だと知ると、売り主のコインを代金の支払いなしに奪うことを決め、徐(Xu)姓の男ほか共犯者を集めた。一行は事前に店と階段室を下見して役割を分け、同じ場所でもう一度現金での購入を持ちかけた。
当日、徐は120万元の入った袋を持って現れ、肖は紙幣を数え終えた後、王が指定したウォレットに相当額のUSDTを送金した。徐がただちに王へ電話で確認すると、王はコインが届いていないと答えた。肖が送金記録を確かめるためにその場を離れた隙に、徐は現金の袋を窓から建物の外へ投げ落とした。下で待っていた共犯者が袋を拾い、車で逃走する。肖が追いかけて立ち上がると、隣室に隠れていた張(Zhang)姓の男らが飛び出して行く手を塞いだ。肖が警察に通報し、計画全体がそこから露見することになった。
窃取から詐欺へ
警察は6月、事件を沛県検察院に送致した。当初の容疑は、被害者の目の前で財物を公然と奪う行為を定める「強奪」の疑いだった。検察はその後、ドライブレコーダーと現場の防犯カメラの映像を押収し、容疑者の携帯電話を司法鑑定に回し、追加の尋問も実施した。そこから導かれた結論は狭いものだった。120万元は始まりから終わりまで王の管理下にあり、信用を勝ち取るための小道具にすぎず、力ずくで奪われた財産ではなかった。実際に失われたのは、肖がすでに送金したUSDT側であり、起訴は詐欺罪で行われた。強奪罪は被害者の占有から財物が奪われることを要件とするが、この記録では何も奪われてはいない。
弁護側は法廷で別の罪名を主張した。契約の締結や履行における欺罔を扱う契約詐欺罪で、量刑の幅が大きく異なる罪だ。検察はこの構成を退けた。契約詐欺罪は市場秩序を守るためにあるが、仮想通貨取引は2021年9月に中国人民銀行など各部門が発出した通知により違法な金融活動とされているため、禁止された取引は同罪の射程に入らない、というのがその論理だった。同じ2021年通知こそ、肖自身の売却が表向きの取引にならなかった理由でもある。事件の全容は10月29日、公式の事件記録として公表された。公判は3時間余りに及び、最高人民検察院の評議パネルが出席して傍聴した。被告人5人のうち、一度も供述を変えなかったのは張だけで、王らはつぎつぎに供述を修正した。判決の言い渡し日は未定である。
禁止資産でも財産は財産
計画の前提にあった「禁止された資産は盗めない」という発想は、起訴の段階で崩れた。検察は送金済みのコインを、肖が送った瞬間に喪失が完成した財産として扱った。支配は秘密鍵に従い、価値の行き先を示したのは机の上の現金ではなく受け取り側のアドレスだった。事件が落ちたのは、今も非公式な決済網に支えられている市場だ。USDTの発行体であるTetherは第3四半期の準備金証明で余剰準備金79.5億ドルを報告しており、同トークンはグレー取引の決済路線であり続けている。だから損失事例が絶えない。インドでは1,599万USDTの取引所流出、韓国ではUSDTを回収する目的の韓国企業を装った偽サイトが発見され、29のウォレットから奪われた40万USDTの全額返済表明もあった。中国の禁止措置の上に築かれた「すり替え」詐欺を司法がどの程度重く見るのか、言い渡される判決がその一つの答えを示す。
AIによって生成され、AIによるレビューを経て、COINOTAGの編集監督のもとで公開されました。

